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セブンスソード―七つの聖剣―  作者: 音無 桐谷
第二章 闘技大会編
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闘技大会編2-2

 2-2

 

 四国闘技大会まで残り四日と迫った今日このごろ事件は起きた。

 

 焔が休憩でリーナの部屋でお茶を飲んでると外で人が騒いでいるのが聞こえてきた。どうしたものかと思って外をのぞくと街の中央広場で煙が上がってるのが見えた。

 焔は一階のロビーに下りて新聞を読んでいた七十代前半のおじいさんに話しを聞いてみることにした。

 

「街の中央広場から煙があがってるんですけどなにかあったんですか?」

 

「おぉ、どうやら食用の全長六メートル、重さ一トンの食肉用の豚が二匹ほど逃げ出したようじゃな まぁ一匹は騎士団で抑えているみたいだからそのうち騒ぎも収まるだろ」

 おじいさんはなんともないよ と言ったような口調で言いのけた

 

 しかし

 

「それって大事件じゃん しかも街の存亡をかけた」

 

 そうコノ街は一種の巨大な檻。壁をやぶらない限り出入り口は大通りの正面門しかないからだ

 

 焔はそこだけつっこんで飼育スペースにいたウサギ二匹を引っつかみ宿を後にした。途中

『耳!耳もげる~!!』

 という二種類の声が聞こえたが無視した

 

「街で豚が暴れてるそうだ二匹とも狩りに行くぞワンダー、スペード」

 焔はそう言って街へむかって駆け出した

 

 ◇◆◇◆◇

 

「なんなのよ!この豚!!」

 アリスとリーナは数人の騎士団の兵隊と一緒に豚の討伐をしていた。

 

 理由は単純、買い物をしていたら大通りから巨大な豚がこちらに向かってきたからである。

 

 アリスとその横にいたリーナは即座に戦闘態勢をとってアリスは杖から炎系魔法を放った。

「フレイヤ!!」

 

 アリスの放った直径十センチほどの火の玉は豚の目にみごと当たってひるました。しかし残りの一匹はリーナに詠唱の時間もあたえず突進してきて二人とその周りに強烈な突風だけあびせて後ろに去っていった。リーナはその後を追おうとしたがアリスに

 

「リーナ今は目の前に集中して!!」

 といわれたため対称を火の玉が当たった部分を前足で掻くとこちらを鋭い目つきでにらんできた豚に変えた。

 

 それからすぐに十五名ほどの駐屯騎士団がやってきてこちらに八人おいて残りの精鋭メンバーと思われる兵は奥へ進んだ。

 

 総戦力十名。しかもそのうち二人は魔導士で他はそれなりに強いはずの騎士団。だが豚の皮膚には傷一つつけれれなかった。

 リーナは得意な水系魔法を使って皮膚を切り裂こうとするのだがはじき返されてしまう。運良く傷がつけれても血が流れないほど脂肪が分厚い。

 逆に剣やランスのたぐいを使っている騎士団の武器はこの十五分ほどでもう刃がぼろぼろになって今にも砕けようとしていた。

 

 よって致命傷が与えれない状況が続いており広場で一匹足止めするのがやっとだった。

 

 騎士団の中にいる二名の連絡隊からの情報で、もう片方の部隊も同じ状況らしい。そしてこの豚どもは疲れをしらないらしく暴れるのをやめる気配がしなかった。

 

「くっ!撤退するしかないのか…」

 

 そんな騎士団の声がアリスの耳に届いた。アリスは

(あきらめるんじゃないわよこの意気地なし!!)

 そう思ってアリスは炎系の拘束魔法「エンチィア」を唱えていた。

 

 アリスの杖から炎のロープが現れてそれが豚の足に絡みつきもつれさせ転ばせる、そして集中攻撃。しかしダメージを当てえている様子はなく三分ほどで脱出される。それの繰り返し。

 そしてアリスもリーナも魔力の底がつきかけているのが感じることができた。

 

 ダメなの? アリスの頭にそんな考えが芽生えた次の瞬間、アリスの横を何かが通ったかと思うとその影は黒い光と青紫色の光、あわせて二つの閃光をたづさえて豚に跳びかかった。

 顔は何とか確認できたがその顔には白色の仮面で顔全体を隠し最小限の穴、つまり目と口の部分しか穴がなかった。

 

 そして何かが切れたような音がしたとおもったらその後に豚が頭を空にむけておとなしくなった。

 

 最初は何が起きたのかわからず全員の目がその黒い影に吸い寄せられたが、豚の頭がゴロリと地面に転がって首のない胴体から大量の血しぶきが空中に飛んでいきその数秒後、血の雨が降った。

 無論豚のまわりにいた数十名は真っ赤になった。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 それから数時間が経過し日もすでに半分以上が沈んでいた。

 

「しかしだれだったんでしょうねあの黒い影 速過ぎて顔が見えませんでしたよ」

「私見えたけど誰だかわからなかったわよ」

 リーナとアリスがそう言ってバスルームからシャワーと着替えを終えて出てきた 焔はナイスタイミングと言わんばかりにちょうど良い暖かさのミルクを用意して二人に勧めた。

 

「ところで焔」

「はい?」

 

 アリスが一口ミルクをもらってから焔に質問した

「この騒ぎのあいだアンタは何をしていたの?」

 

「寝ていました」

「ふ、ふざけんるな~!!」

 即答だった。それを聞いたアリスは立てかけておいた杖をもって焔に襲い掛かった。

 

「第一にアンタは私が雇った護衛、つまりボディーガード!わかっているわよね?!」

「わかってる、わかってる、だから殴るのやめよ、ね?痛いから」

 

 なぜか自分の仕事の態度について文句を言われ始めたので焔は話しをさりげなく戻そうとした。しかし雇い主は騙されずに文句を言い続ける。

 

 ――――それからおよそ十分。焔は頭に三個の大きなタンコブを作られ、やっとアリスの怒りは収まった。

 

「本当に寝てたんですか?」

 リーナのどこかまじめな眼差まなざしを受けても焔は

 

「寝てたよ」

 そう答えると今度はリーナが

「それじゃあ、一発殴らせて☆」

 

 そして焔の頬をおもいっきり殴った

「グハッ」

 焔はそう言って座っていたソファーから地面にひれ伏し気を失った。

 

 おまけ ウサギ達の会話

 

 時はすでに夜。わずかな明かりのついた一階ロビーそこの隅には白いウサギと黒いウサギの二匹が住んでいました。

 

「おい、ワンダーあいつ気を失ったぞ」

「なに!?焔が!…まぁいいや自業自得だし」

 

 ワンダーと呼ばれた白ウサギは若干驚きはしたがすぐどうでも良いという風な口で返事を返した。

「しかし、アイツはバカだな一人であの巨体を二匹もほふったというのに、嘘をついてまで隠そうとするとは…やはりバカだ」

 

「それが中条 焔という青年せいねんなんだよスペード」

 ワンダーが黒ウサギをそう呼んでたしなめた。

「それと……」

「それと?……」

 

 ワンダーがそう言って十分に間を取ってから話した

「あいつ感情的になったり戦闘中に意識が飛んだら、性格変わるし、記憶が吹っ飛ぶしで色々あるんだよ。」

「だからなんだ?……いやいい、そうなのか知らなかった」

 

 最後にスペードがそう言って二匹はそれぞれのわらのベットの寝床に入って寝息を立てながら深い眠りに入っていった。 

 

 ◇◆◇◆◇

 

「ほんとに時間が進んでるね」

 君がそう答えると

 

「もちろんでございますお客様」

 男からそんな答えが返ってくる。なんだかこれがお決まりになりつつあるようだった。

 すると男は急に持っていたステッキに指を当てて「1、2、3、」と唱えるとステッキからピンクや白の花束が表れた。

 君は突然のマジックで思わず拍手をしてしまった。

 

「ありがとおございます」

 男は一礼して話しを続ける

 

「おや、向こうでは三日が過ぎて四国大会、朱門国会場の・科学と電子機器の街 デジエンス・タウン についたもようです」

 

「道中なにがあったんだよ」

「秘密でございます」

 即答で君の質問ははじき返されてしまった。君はまぁいいやと半ばどうでもいいという気持ちでその質問を頭から消して物語の続きを見ることにした

 

 ◇◆◇◆◇

 

「や、やっと着いた~」

 アリスご一行は着いた瞬間にそう言って正面門のすぐ近くにあるちょっとおしゃれな喫茶店「イカロス」に入った。

 

 店内は白を中心としたシンプルな場所で旅の一息にはちょうど良かった。そして三人+二匹は一番入り口から遠くて大通りが見れる窓辺の席に案内された

 

「私はミルクのホットで」

「俺はコーヒー、アイスので」

「えーと、私もホットのミルクでお願いします」

 三人は案内されたウェイターに飲み物を注文して休むことにした。

 

 それぞれの飲み物が届くと三人はこの後の予定について話して始めた。

 

「そういえば、受付てどこでしてるかわかってるの焔?」

「ん?あぁ、二時までに闘技場前でだよ」

 アリスと焔の話しを聞くとリーナがポケットから草のツタのレリーフが入ってる少し高そうな懐中時計を取り出して今の時刻を確認する。

 

「今は十一時三十分ですね…宿を確保してから参加登録して闘技場の近くでお昼を食べましょ」

 リーナの提案に二人はうなずき、飲み物を飲み干した後、お会計をすましてその場を後にした。

 

 まず三人は闘技場から一キロほど離れた場所にある宿「夜桜」にそれぞれの部屋をとってから闘技場へ向かった。

 

「二人は先にレストランに行ってて 少し手続きに時間が掛かるみたいだから……終わったら伝書精霊で連絡するよ」

 

「わかったわ いきましょリーナ」

 アリスはそう言って焔と分かれた。

 

 ちなみに伝書精霊とは、その名のとおり連絡を取りたい相手にメッセージを伝えるためだけの精霊である。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 それからその後二人は少しだけ街を探索して闘技場の入り口が良く見えるレストランの窓側を陣取って料理を食べていた。そろそろデザートを食べようと思ったころ焔の伝書精霊がメッセージを持ってきてくれたため確認した

 

 まだかかりそうだから先に宿へ戻ってて

 

 メッセージにはそれだけ書かれていた。

「そんなに時間が掛かるもんなんですかね参加登録」

 デザートのパフェを食べていたリーナの疑問にもアリスは丁寧に教えてくれた。

 

「なんでも今年からVR技術を取り入れたみたいよ」

「どうしてですか?」

「理由は大会で剣士は本物の木刀を使っていたんだけどその…木刀同士の戦いは事故や怪我が多いし見栄えが悪くらしくて それなら参加者の武器や魔法を使った必殺技を再現できてなおかつ、物理的な怪我のないVR、つまり仮想現実で戦ったほうがいいと思ったらしいわ」

「へー そうなんですか」

 

 アリスの説明が終わったのと同時にリーナの食べていたパフェも食べ終わったため会計を済ましたあと二人は少し散歩してから宿へ戻った。

 

 ◇◆◇◆◇

 

「すっかり暗くなっちまったな」

 焔が機械まみれの部屋から参加登録を済まして外へ出れたのはもう暗くなって街灯が明かりを付け出していたころだった。そして鞘にしまった剣二本を背中に背負ったままその場を立ち去ろうとすると

 

「まて」

 

 わかい男の声がしたため焔は周りに人がいないことを確かめ自分だとわかった後、声の方に振り返った。

 そこにいたのは身長は焔とさして変わらず髪の色は黒色で仮面をつけた少年がいた。服装はいたって普通の絹服。ただ片手用直剣を左の腰に一本、左手には丈夫そうな盾を装備していた。

 

「なんですか?少し急いでいるので手短にお願いしたいのですが」

 そう焔が聞くと男は剣を腰から抜いて構えた。

「おいお前、何がしたいんだ?」

 焔がそう聞くと少年は

 

「俺と勝負しろ!」

 それだけ言って焔へ向かって剣を振った。

「おっと危ない、」

 

 焔はそう言ってバックステップで剣をかわして背中の薄紫の剣を一本抜いた。

 

「死にたくなかったら金を置いて立ち去れ」

 少年の声には殺気がこもっていた。焔はここの戦闘を回避する手段を考えていたが無理だと判断し速攻で敵を倒し逃走するという結論にたどり着いた。

 

 まず相手の第二撃を剣で受け止めて押し返したあと

「ミストラ!」

 と魔法を唱えて白の煙を周りに撒き散らせて視界を奪う。少年は戸惑ってまだ動けていないのを気配で確認したあと上へジャンプをして街灯を台にし鞘に入れた剣でおもいっきり、相手の頭に振り下ろした。

 

 相手の少年はうめき声と共にその場に倒れてしまった。それを確認した焔はとりあえず警察に突き出そうと思ったが、すぐその後に同じ格好をした人たちが来たため今度こそダッシュでその場から逃げた。

 

 それから焔はしばらく身を隠すのと情報を手に入れるため酒場にいた。そこで手に入れた情報は二つで一つは、あの通り魔は最近現れるようになったヤツでなんでも戦った後負けたら金を取られるとのこと。

 だが実際には誰も殺していないと言うことと、もう一つはめちゃくちゃ強いこと。あの剣と盾はここら辺で普通に復旧している武器なのだがついこの前巡回中の二メートルはある巨体の兵士に圧勝したらしい。

 

「あんまりかかわらないほうがいい」

 それが情報提供者…酒場のオーナーのセリフだった。

 そのあと焔は真っ直ぐ宿に戻ったのだった。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 宿にに戻った焔はアリスに「遅いわよ!!」と怒られてから部屋に戻った。

「ついに明日か……」

 ベットに体を預けていた焔はついそうつぶやいて窓から見える満月の月に手をかざし掴みとるように手を握って明日の勝利を胸に深い眠りに落ちた。

 

 四国大会まで後……一日。

 

 続く 

 

 

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