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セブンスソード―七つの聖剣―  作者: 音無 桐谷
第五章 七王会議編
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七王会議編5-3

誤字・脱字あったら教えてください。

よろしくお願いします。

 円卓の席が全部埋まったのをみた首相の秘書らしき女性は、ごく普通の口調で話を始めた。

「えー、今回の議題は、極秘に通達した書類通り、群雲城の攻略について七王から意見を求めたいと思います」

 当然、周りの一般席にいた、人々は驚いた顔でざわめきだす。しかし、フェルナンドはそれを片手で制止させ続きを促した。


 するとまずは一位のクラウスが手を上げた。

「まず、攻略の兵力は?」

「今のところココにいる七王のみです」

 アリスは秘書のそんな発言に心底驚いて、大声を上げそうになった。しかし、クラウスは最初は驚いた顔をしていたが次第に不敵な笑みに変わり……


「上等だ!!ほかのも良いよな?」

 クラウスの問いかけに他の七王は


 マグヌス:「もちろんだとも」

 ニルス:「いいよ!そして、こっそり、美少女悪魔とカラオケに……フフフ」

 ヴィルヘルム:「いいねその賭け、乗った!!」

 エカテリネ:「いいわよ、そっちの方がゾクゾクするから……」

 ホムラ:「それで四国が救えるのならな」


「それでは、攻略は七人+αで、残りの兵士はすべて国防に廻します。それで良いですか?」

 そこで、マグヌスが秘書の発言にたいして疑問を提示する。

「他に誰かいるのかい?」

 すると、秘書は焔のほうを見て、

「なんでも、中条殿が、「勝手に連れて行く連中がいるから」と言われまして……それが?」


「おい?どこの馬の骨だよ……! お前まさか、美少女を連れて行く気か!?」

「……だったらなんだよニルスさん?」

 二人は、とんでもなく真剣ににらみ合い、一触即発のムードを作った。するとニルスが立ち上がった。アリスは、とっさに焔に攻撃をすると思い、携帯ようの片手杖を出そうとしたが、

「……うらやましすぎるってーの!!!俺も美少女ほしいなぁ~!」

 と言いながら突然ニルスは右左交互に身をよじり身悶える仕草をした。

「……アリス、あれは相手にしなくていいからな」

「……わかったわ」

 焔とアリス、それに他の七王や首相の秘書、その首相までも冷たい視線で、ニルスを見つめた。

 その数秒後、「……なんだよ、みんな真剣話しやがって、悪魔なんて俺達全員でかかれば、テントウムシ程度だろ……」とかなんとか呟きながら自分の席についた。


「……じゃあ、話を戻すのだが、君は誰々を連れて行くんだい?」

 エカテリネはそう切り出し、焔に話を促した。


「今ここにいるアリス・ローゼと、フェアリーのマスターに預けている、ミネルバ・レイチェル、そして第四部隊の隊長殿に預けているリーナ・アルベルトの三人を連れて行きたいと思っています。」


 その発言に他の七王達は、数秒黙ってアリスを見つめ、


「……生きて返せられるのか?」

 クラウスは確信をつき、そう尋ねた。焔は一度深呼吸してから力強く、

「……俺が守って見せます」

 と堂々と言った。

 アリスは少し恥ずかしかったが、身悶えるわけにもいかないので、がんばってポーカーフェイスを貫いた。


「良いんじゃない?焔が守れるって言ってるんだしさ」

 ニルスがそう言うと、他の人たちも静かにうなずき、そのことについては何も言わなかった。


「それでは、具体的な日付を決めたいと思うのですが、……ここで、一般公開の会議は終了しあとは秘匿会議としたいと思います。……では、」

 進行役の秘書がそう言うと、首相の脇に控えていた、三十歳前後の女性秘書が指を鳴らす。すると突然、周りを囲んでいた人たちが一瞬にして全員消えてしまった。

「へぇー、おばさん、高位魔導士だったんだ」

 ニルスがそうでもないように、冷静な分析結果を述べた。


「では、具体的な日付ですが……中条殿、連れて行く方々の特訓の帰還を考えてどうでしょうか?」

 そう尋ねられた焔は、腕を組み、しばらく考え

「一週間、ってところかな?」

「他の七王から意見は?」

 秘書がそう尋ねるが他のものからは手も上がらなかった。

「それでは、これにて、七王会議を終了させていただきます。ご参加ありがとうございました」

 するとまたもや、脇に控えていたさっきと同じ人物が指を鳴らすと、全員の視界が眩い光に包まれた。


 ――――――ミネルバ&アクセル


「それが戦争だよお穣ちゃん」

 模擬戦終了直後、ミネルバが、リーズに愚痴を言っていると、そんな言葉が投げかけられた。

 ミネルバはアクセルに斬りかかりたい衝動を必死に抑え、店の手伝いをすることにした。


 ただいま正午、ちょうど店には昼食を食べる人たちが訪れており、少々急がし時間帯だった。

「……」

 ミネルバはひたすら無言で皿洗いを厨房でこなしていく。

「俺と模擬戦をした感想は?」

「……最低な人」

「ハッハッハー!最高のほめ言葉だな」

 アクセルは大き目の中華なべで、チャーハンを作りながら、笑った。ミネルバは目をあわさずに、言葉を紡ぐ。

「……でもそれは、戦争での話、あれは模擬戦、……恥ずかしくないの?」

「恥ずかしくない 今はあれが俺の戦い方だ」

 アクセルは堂々とそう言った。そしてついに、ミネルバはきれた。


「あんたさっきから何なのよ!こっちはギルドの闘技大会で、準優勝したわ!でも貴方は何?何の実績があるって言うの?ただの軍人を下宿しているバーの店長じゃない!!正々堂々と戦って負けるならわかる!依頼でも不意打ちを経験してる!だから……」

 ミネルバは、少々意味不明な発言もしながら怒りをぶつけた。

「だから、あんな勝負はなしってか?」

 アクセルはさっきとは比べ物にならないくらい、冷淡な口調で言った。

「だったらなんだ?逆に正々堂々闘ったら、勝てたとでも言うのか?」

「……えぇ、そうよ!」

 その言葉を聞いたアクセルはガスの火を止め、ミネルバの目の前に立ちふさがった。

「甘い、甘すぎる!!そんなんじゃ、死ぬぞ?今度のいくさは!!!」

 ミネルバはその迫力に怖気付き、その場にへたれこんでしまった。

 それを見下ろしていたアクセルは力強く、

「だからお前を、真の意味で強くしてやる!」

 と宣言した。


 ――――――リーナ&エドワード


「精霊召喚?」

 リーナはエドワードにもう一度そう尋ねた。

 二人は一度模擬戦を終了し、木陰で美味しい昼食を食べていた。

「そう精霊召喚だ 今度はそれをリーナ君にはしてもらう そうだな……召喚の場所は、町外れにある大きな湖にしよう あそこなら、霊力の量も大丈夫だろう」


 精霊召喚とは、契約している精霊の健康状態などをチェックしたり会話したりするための魔法技術で、そのためには精霊の力の源、「霊力」が満ちている場所が好ましい。


 そして二人は、昼食を終えたのち、街を出て、湖へと向かった。


 ◇◆◇◆◇

 二人は二十分ほど歩いて、綺麗な青が広がる湖に着いた。

「綺麗なところですね~」

「そうだろ、僕のお気に入りの場所なんだよ」

 二人はそんな会話をしながらせっせと木陰にお茶の準備をしてから、湖の近くまで行った。


「それじゃあ、こっちの精霊から話しかけて、相手の精霊に出てきてもらう、「呼応式」というので出します もしかしたら気を失うかもしれないけど……準備はいいかい?」

「はい!いつでもOKです!」

 そしてエドワードは自分の精霊を出して、正座をするリーナに向かって召喚の儀式を始めた。

「我、火の眷獣を統べる者なり そなたの中に眠りし水の精霊よ、我が呼びかけに答え、我の前に姿を現したまえ」


 言い終わり、数分の時間が過た。エドワードが「失敗したかな?」と思い始めた次の瞬間、


「何時?」

 どこからとも無くそんな声が聞こえた。エドワードは真っ先にリーナを見る。するとそこには、目を閉じていたリーナが目を開き、瞳が普段の倍くらいの輝きで緑色に輝いていた。

「え?……今は、午後の三時ですが、」

 エドワードは自分の胸ポケットから懐中時計を取り出し、確認した。それを聞いたリーナ(?)は、

「お茶ほしい」

 と言い出した。エドワードは取り合えず手を持って慎重に木陰のところに準備したお茶セットのところまで連れて行った。

「うむ、中々の味だ そなたはとても入れるのが上手だな」

「お褒めいただき光栄です ……貴方のお名前は?」

 エドワードは、「精霊が、使役者つまりマスターの意識を支配する」と言うのを初めて見たので、興味津々だった。

「普段は名乗らないんだけど、このお茶に免じて特別に教えてあげよう 我が名はウンディーネ、この世界を神々と共に創造した四大精霊の一人よ!」


 エドワードは目をパチクリさせながら、凝視した。

「本当の本当にウンディーネ様ですか?」

「本当の本当にそのウンディーネ様よ!」

 ウンディーネは繰り返すようにそう言った。

 エドワードはあらかじめ焔に聞かされていた、群雲城について、今の世界の危機的状況について説明した。

 それを聞いたウンディーネは、

「……確かなのならば、これをこの子に渡しておくれ」

 そう言ってウンディーネは指を パチン と鳴らすと、リーナの上に、縦二十センチ、横、十五センチ、厚さ四センチ近くはある大きい魔導書を出した。


「これは?」

 エドワードが尋ねると、ウンディーネは、

「これは、「水流の魔導書」まだこの子の力では私を制御しきれないからこれを渡しておきます ……それから、貴方がちゃんと指導してあげてね まずは開いた最初のページの魔法を覚えさせてあげて、これさえ使えれば、そこら辺のゴブリンくらいなら三十体は一度に屠れると思うから それじゃあ、お元気で」


 そう言ったあとリーナの目の輝きは薄れていきもとの色に戻った。そして、

「……あれれ?私、どうしてエドワードさんと向かい合っているのでしょうか?」

 といつもの声色でそんなことを言った。エドワードはそれを見てウンディーネは戻ったらしいと判断した。

「この魔導書はなんですか?見たことがないのですが……」

 エドワードは突然の状況に困り果てているリーナにやさしく

「大丈夫、僕がちゃんとその魔導書に書かれている魔法を使えるように教えて差し上げますから」


 そのあと、そのまま練習しようとしたのだが、空気中の霊力が少なすぎて、魔法の発動、成功率共に、激減していることをエドワードの精霊に教えてもらい、二人は一度この場を後にし、明日来ることにした。


 ――――――――――――群雲城攻略決行まであと八日


 続く


おそらく次回、で「七王会議編」最終章だと思います。

では!

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