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セブンスソード―七つの聖剣―  作者: 音無 桐谷
第四章 ブラッドパレード編
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ブラットパレード編4-2

「そんなのだめよ!危険すぎるわ!」

「そうですよ!みんなで逃げましょうよ焔さん」

「ホムホム行くなら私もいく!」

 焔の一人で行く宣言を他の三人が声を張り上げて止めようとした。しかし、焔は鋭い目をして逆に質問してきた。

「じゃあ、これ以上街の人を危険にさらしたいのか?」

 その言葉を言われた三人は反論ができず押し黙ってしまう。そこにもう一人の男、ロベルトが口をはさむ。

「だが、さすがにそれはいくらお前でもきつくないか?なんなら隊と合流した後に一緒に行ってもいいんだぞ?」

 しかし、焔はその提案すらも首を横に振って自分だけで行くと主張した。ロベルトは不思議に思い

「そこまで言うには何か策でもあるんだろうな?」

 と尋ねた。すると焔が「待ってました」といわんばかりの不敵な笑みを浮かべて作戦を言った。

「作戦はこうだ、まず俺が囮になって敵をひきつけている間に、ロベルト達が乗ってきた揚陸艦で住民の出来る限りの収容を行い、その後に俺が逃げて揚陸艦に乗り込み逃走する……これでどうだ?」

 全員焔なら出来そうだと判断していたが、唯一その提案に疑問を感じたリーナが質問するように手を上げて言った。

「あの~それで焔さんはどうやって一キロ近い距離を逃げるんですか?街は瓦礫だらけで加速魔法は危険だと思うんですけど」

 リーナの言うとおり中央広場から港にある揚陸艦までは一キロ弱ある。リーナの的確な質問に焔は数秒硬直したが、何かを思い出したように手を打ち、来るときに背負っていたリュックサックの中からあるものを取り出した。

 その物とは小さな白い羽が生えた赤のスニーカーだった。しかも羽はごていねいに片足につき二枚両サイドをあわして計四枚ついている。

「これはどうしたの?何か高そうだけど……」

 アリスがもっともな質問をすると、それに焔はそっけなく

「この前の宝石盗難の依頼達成したときにお礼で送られてきたんだよ」

 されから、一同は次のように役割を振って行動に移った。


 第一斑 焔…敵をできる限り殺してリーダー格の蜘蛛へ進む。


 第二班 アリス&ミネルバ、…街を動き回り、住民の非難を手伝う。


 第三班 第二小隊のメンバー&リーナ…住民の避難誘導と敵の索敵。見つけしだい司令部に連絡する。


 ◇◆◇◆◇


 第二班アリス&ミネルバ


「そっちに逃げ遅れた人いた?」

「大丈夫いない」

 アリスの呼びかけに駆け足で来たミネルバが普通に答える。そして二人はこのエリアから立ち去ろうとした時、

「他にうまそうなのはいないかな?……!」

 突然後ろの建物の影から少年の声が聞こえてきた。その声に二人はすぐに振り向き相手を確認した。

「いやー人間どもの肉はやはり美味だな」

「えぇ、お兄様」

 するとそこには人の形をしていて頭の上から細長い触覚みたいなのが生えた少年と、怪しい輝きを放つ羽を持った六、七歳ほどの少女がいた。

「悪魔ね!……よくもこの街を!!」

 アリスは見た目纏っている隠し切れていない殺気と血の匂い、それに何より見た目から瞬時に悪魔と決め付けた。すると少年の方が本当に驚いたように

「何でわかったんだ!?変装は完璧だったはず!……どうしてばれた??」

 その意味不明とも判断できる質問にミネルバが丁寧に答える。

「君、頭から何か生えてる、女の子は、羽丸見え……」

 すると少年は頭の辺りに手を当てて

「あ!しまった…………フッフッフッまぁいい、と言うか妹よ、ちゃんと仕事しなさい。何か強そうな人に見られたじゃないか」

 すると女の子が頭をさげて

「すいませんお兄様、ここら変にはもう真人間の気配はなかったものでつい解いてしまいました」

 その回答にお兄様と呼ばれた少年は手を顎にあてて考えるポーズをとり、一つの疑問にたどり着いた。

「……待て、真人間の気配はなかったんだな、じゃあ人の気配は?」

「!……すみません、相手にしていませんでした」

 それを聞いた少女は、はっとした表情で目を見開き口元を押さえて謝罪の言葉を述べた。謝罪を聞いたお兄さんはため息を一回だけつきこっちを剥きながら

「まぁいい、たまにはスリリングな食事もいいだろう……離れていなさい」

「わかりましたお兄様……ご武運を」

 女の子はうやうやしく一礼し、羽をはばたかせその場から上空へと移動した。

「それでは食事の時間とさせていただきますね」

 少年はアリスの方を見て微笑みながらそう言った。


 ◇◆◇◆◇


 第三班 第二小隊&リーナ


「あ!あれじゃないでしょうか?言っていた揚陸艦」

 そういいながらリーナが除いていた双眼鏡をロベルト・アコノールに渡した。受け取ったロベルトは神妙な趣でのぞいて自身満々に

「おう、あれだな……それじゃあ、俺は通信で仲間達を呼び戻すから君はそこで空中から敵の索敵を続けてくれ」

 と指示を出してその場を離れた。

 ちなみに今は港に三百人程度の人が集まっており、見えた揚陸艦の大きさからみて余裕で乗れると思った。

(だけど、他の人はみんな殺されちゃったんだよね……)

 それでも、リーナはつい、身内を殺された人のことを考えてしまい気持ちが落ち込んでしまった。

「そう気に病むな、まだ終わったわけじゃないんだからよ」

 そこにはもう立ち去ったはずの焔がリーナの肩に手を置き立っていた。

「どうしてここにいるんですか!?」

 驚きのあまり大声で尋ねてしまった。すると焔は手を横に振って

「待て!待て!誤解だ 揚陸艦が来るまでは、大事を起こさないでココで警備していた方がいいってことになったんだよ」

 それを聞いたリーナは静かに「そうでしたか」とつぶやきまた双眼鏡と精霊のダブル索敵を続けた。

 あまり邪魔をしては悪いと判断した焔は予定通り街の中心の方へ足を運んでいった


 ―――――――――それから数分近くに人の気配がしたためリーナが振り向くとそこにはロベルトに加え、男女一人ずつ、同じ鎧を着た人が立っていた。

 男性は両手持ちの杖を携え、

 女性の方は大剣を背負っていた。

「あなた方は?」

 リーナがそう尋ねると始めてみた二人が丁寧に自己紹介をしてくれた。

「第二部隊隊長のアラン・マルサスです ご協力ありがとうございます」

「同じく第二部隊のドミニカ・バンクスです」

 リーナも一礼して挨拶をした後、隊長のアランから今後の予定について説明を受けた。

「この後俺達第二部隊は揚陸艦、「スネーク」が到着しだい住民を収容した後、撤退する……何か質問は?」

 その問いかけに気になっていた他の三人のことについて聞こうとして口を開きかけたところをロベルトに止められた。リーナは声を上げて講義しようとしたが、ロベルトの「安心しろ」と言っているような目を見て黙ることにした。

「隊長、質問……いえ、報告があります」

「どうした?」

 ロベルトは一度だけ深呼吸してその質問を言った。

「ただいま民間の魔導士とギルド「オリンポス」のNo.2剣士にも協力してもらい住民の非難活動に当たっています それにあたって魔導士と剣士の回収が終わってからでも出発はよろしいでしょうか?」

 その質問にアランは顎に手を当てて少し考えた後、

「いいだろう その人達の名前は?」

「一人はアリス・ローゼ、もう一人はミネルバ・レイチェル、そして最後の一人が別任務に当たっていた第七部隊隊長、ホムラ・ナカジョウ中佐です」

 焔の名前を聞いた瞬間アランは目を見開き驚きを隠せずにいた。それは隣にいたドミニカも同じ用で目じりに涙を浮かべていた。

「ど、どういうことですか?焔さんは傭兵じゃなかったんですか!?」

 それはリーナも同じでロベルトに「説明してください!」と迫った。それを見たロベルトは、あれ?と言う表情を見せて頭の後ろを掻きながら答えてくれた。

「アイツ言ってなかったのかよ…………あいつは大東連合所属第七部隊の隊長やっている大東連合の軍人だよ あ、俺はあいつの同期な」

 それを聞いたリーナは驚きを隠せずどうしていいかわからなかった。それをみたロベルトは

「アイツが生きて帰ってきたら聞くんだな」

 と笑いながらそう言ってくれた。

「……わかった。こうなっては仕方がない、アイツの回収もしてやろう」

「……隊長のご好意感謝します」

 そう言ってアラン以外の二人は哨戒任務のため港の入り口の方へ向かっていった。リーナはこの際なのでアランに色々聞くことにした。

「どうしてこの街にきていたんですか?」

「匿名の情報に基づき、悪魔がでると聞いていたから偵察に来たんだよ」

「どうして、すぐに情報を朱門国の政府に出さなかったのですか!?そうしてればこんな事態も未然に……」

 リーナはそう言ってアランに詰め寄ったがアランは一、二歩後ずさり、

「この襲撃に関しては政府が絡んでいるんじゃないかという情報もあったんだよ」

 と言った。それを聞いたリーナは信じられなかった。あまりにも信じられず、聞き返してしまうほどに。

「それは……つまり、朱門国が、悪魔と契約した、と言うことですか?」

 するとアランは表情一つ変えずに

「そのとおりです」

 と現実を述べた。


 第一班 焔


 焔は息を殺しながら敵の数を確認し、奇襲のタイミングを見計らっていた。

(敵の数はゴブリン四体だけのようだな……これなら!!)

 そして、ちょうどゴブリンがこちらに背を向けて話し合っている所を狙い焔は片手に持った淡い紫色の剣、「ムーンライト・ラストホープ」で敵の懐に一瞬で潜り込み切り裂いた。


 ―――――――中央広場

「アイツだな……」

 焔はそうつぶやいて敵の様子を探った。リーダー格の巨大蜘蛛は軽く全長が二十メートル近くあり、足には針のように鋭い八本の足があった。人でいう腹の部分は大きく丸く膨らんでおり、今にでも割れそうな印象を与え、体の色は全身濃いこげ茶色の毛に覆われていてこれまた気持ち悪さを増大させていた。

 すると、耳元につけていた無線機から聞きなれた同期のロベルトの声が聞こえてきた。

「どうしたんだよ、急に」

 焔の声を聞いたロベルトはいきなりため息をついてから言葉を続けた。

「おい、お前そばにいる女の子達くらいには軍人としての立場くらい説明しても良かったんじゃないか?」

 それを聞いた焔もロベルトと同様ため息をついてから返事をしてやった。

「しゃーないだろ、……って!話したのかよ!……おい、まさか、あのこと(・・・・)まで言ったんじゃないよな?」

「それはさすがにいってない!神に誓う!絶対だ!」

 その質問にロベルトはあわてて否定した。焔は無線越しでもわかる気分の悪そうな声を上げて本当の用件を聞くことにした。

「で?もういいのか?」

 その質問にロベルトは重たい声で

「あぁ、こっちの準備はあと数分でできる ただ、もう悪魔達が感づいてこっちに向かっている……頼むぞ」

 と答えた。そしてロベルトは最後にたっぷり間をおいて

「死ぬなよ 絶対生きて帰ってこい「黒の流星」!」

「おう!」

 焔はそう言って巨大蜘蛛めがけて一直線に突っ込んでいった。


 続く




次回からは焔の戦闘を描きたいと思います。

なにか辻褄が合わないところがあったら教えてください。

今後もよろしくお願いいたします。

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