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セブンスソード―七つの聖剣―  作者: 音無 桐谷
第四章 ブラッドパレード編
19/32

外伝  正月特別編

この特別編は、サマースクエア編を読んだあとに読むことをオススメします。

 正月特別編


 これは、旅行から帰ってきた次の日のお話であるその日はお昼の少し前から雪がちらついていた。

「あーあ、今日も働いたな~」

 焔は、街、エレフラワータウンで落し物のバック(三百万円の宝石入り)を探す依頼を受けて見事持ち主へ無事に帰したあとの帰りだった。空は灰色の雲に覆われていてその雲からは雪が降っていて少し寒い日だった。


 そしてリーナの宿へ戻る途中、突如……

「何で、雪がつもってるのかな~?」

 焔は少し震えながら、文句を言って歩いてた。文句の理由は一時間前から降っていた雪がリーナの宿がある丘とそおの先の山の一帯を一面真っ白に染めていたからである。


 ◇◆◇◆◇


「で、どこから持ってきたんだそれ?」

 焔は宿の上の階(三階)、リーナの部屋の中に入った瞬間ため息とともに三人の少女に聞いた。

「だって、寒いじゃないですか~真夏のようなところから戻ってきたと思ったらいきなり極寒の宿なんですよ~」

「「そうだ!そうだ!」」

 リーナの正論に他の二人、アリス、ミネルバも賛同の声をあげる


「いや、別にダメなんていってないだろ……」

 そういいながら焔は報酬のお金で買ってきたみかんをどこから持ってきたかわからない「こたつ」と張り紙がされた布のついてるテーブルの上に置き、そのこたつの中に入った。


「おぉ!これは…………………………………………あったかい!!」


 そして焔自身も中に入って気づいた。この中は火でも焚いているかのように心地の良い暖かさが広がっていることに。そして焔も一気に肩の力が抜けてしまった。

「どう?どう?アンタもこれにはかてないでしょ~♪」

 得意げに若干笑みを浮かべたアリスが焔に顔を近づけて言ってきた。

「あー、そうだな~……ものすごく今でたくないよ ここから」

 そして焔も手まで中に入れて背中を丸め、頭だけをこたつのテーブルの上に置いていた。

「じゃあ、みかん、剥きますね~」

 そう言ってリーナは両手でみかんのオレンジ色の皮を剥き始める。

 だが、焔の意識はついにこたつの勢い(暖かさ)に負け、夢の世界へと行ってしまった。


 ――――――――――それから小一時間


(…………ん?俺はいったい……そうだ、こたつの中でフワフワしていたら寝てしまって……あれ?なんか左右と体に何かが…………!!)


 そしてそこで意識が復活し、事態を把握して初めて気づいた。

 自分の体が右にリーナ、左にミネルバ、そして体に抱きついているアリス、がいることに。


(なななな!何だよこの状態は!!全員テーブルの四方に一人ずつ座って過していたんじゃないのかよ!)

 焔の顔は青ざめて(ばれたら、アリスに何をされるかわかった紋じゃないから)、珍しくパニック状態になっていた。


 ぐにっ


(うぐっ!!)


 そんな効果音がつきそうなくらい強くリーナが焔の腕に抱きつき、その豊満な膨らみを当ててくる。そして余計に焔はパニックになる 

 そんなタイミングでさらにミネルバが近づいてきてミネルバの生暖かい息が首の部分までにかかる。そしてその甘い吐息は、とんでもない破壊力を有していた。

(何か俺しちゃった!?何かしちゃったのかよ、おい!!!)

 オーバーヒート寸前の焔に止めをさすように、雇い主兼職業仲間のアリスの顔が焔の顔に近づいてきた。そして鼻と鼻がくっつくほどにまで近づいたころで、……


「あうっ……」


 焔の意識は暗闇の中へと落ちていった。


 ◇◆◇◆◇

 ―――――――――焔がこたつで寝た直後……

「さて、みかん食べませんかほむらさ~ん?って、あれ~?寝ちゃいましたか?」

 そういってリーナが声をかけたが焔からは返事がない。試しに頬っぺたを突っついてみるがまったく反応がなく、顔をうつぶせにしたまま寝息が聞こえてくる。

「ふふっ、いいこと思いついちゃった♪」

 寝ている焔をを見たアリスが人の悪い笑みを浮かべて他の二人に耳打ちをした。それを聞いたリーナも笑みを浮かべ、ミネルバも好奇心ありありの顔でアリスの提案に乗っかった。


 ――――――――焔気絶後……


「……とても面白かったです!焔さんの反応」

「そうね、これは……ビデオ撮っておいて正解だったわ」

「ホムホム……かわいい」


 三人がそれぞれの意見を言いながら気絶した焔を見ていた。

「でもアリスのはちょっとやりすぎなのでは?」

「いいのよ、いいのよ、これくらいしたほうが……ってあんたこそ、私にはないもの使ってコイツに攻撃してたじゃない!」

 そういって二人は言い合いを始めた。それを眺めていたミネルバは、いきなり焔の頬に長い髪をかき上げながら、


 っちゅ


 と軽く音を立てた上手なキスをした。

「「な、何してるのよーーーー!!(してるんですかーーーーーーー!!)」」

 アリスとリーナは同時に大声で叫び、ミネルバの行動について追求した。


「何してるのよ!いい、これは私のよ!!勝手なことをしないで」

 アリスの傲慢な意見にミネルバは無表情で

「……焔はみんなのもの……」

 と言い、その後飛んでくるはずだった意見も同時に潰した。

 アリスとリーナがミネルバを睨みつけているとミネルバが「そうだ」と手を打って


「二人もすれば?キス」


 ――――――――それから数分後……


 ようやくフリーズ状態が解けた二人は

「同時によ!!」

「はい!同時にしましょう!!」


 と言うことで納得した


 そして、二人とも息が荒くなるのを抑えて、焔の頬に唇を近づけ……


 チュッ


 小さいけれどもとても綺麗な音が二つした。


 そして、気づけば外は夏の気温を取り戻しており、みるみる寒さが和らぎ、雪もすっかり解けて消えてしまっていた。

 二人はその場に顔を真っ赤にし、ミネルバは重さ十キログラムはある木で出来た大剣を担ぎ、外に出て行った。


 ◇◆◇◆◇

 ――――――――日がほとんど沈んだ頃


「なんか、長い夢を見ていたような気がする……」


 焔はいつの間にか自分の使っている部屋のベットの上で寝ておりなぜかはわからないが宿に帰ってきてからの記憶が飛んでいた。


「でも、悪くない夢だった……きがするな」


 そして焔はいつものように、ベットの上から跳ね起きで立ち上がり、開いた窓から漂うシチューのいいにおいがするリーナの部屋へと足を運ぶのだった。


 正月特別編 終


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