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ユメウツツ  作者: にこ
序章
7/17

捕われの塔

 あたしは遠野朱里。高校1年の15歳。おそらく休学中。


「神隠しにあって消えちゃいたい」


 なんて言ったせいか…あたしの住んでいた世界とは別世界に飛ばされてしまった。

 本気じゃなかったの、ごめんなさい。しても帰らせてはくれないみたい。

 それどころか、今この異世界で、ドラゴンによって捕獲拘束されてる始末…。 


 ドラゴンの化身であるリオは、すっっっごくキレイな同い年くらいの男の子で、初め、天に召されたと勘違いしたあたしは、本気で天使かと思った。

 でも、実際はあたしが気を失ってる間に‘主従の首輪’はめてくれちゃってる悪魔だったんだよね。


 竜鱗を細かく砕き、蒼く輝く宝石のようにした粒を全面に散りばめた革のチョーカーが、あたしの首にぴったり張り付いている。

 単なるアクセサリーとしてみれば、満天の夜空を思わせる光を放つ魅力的な逸品なんだけど…あの悪魔への服従効果付きの、いわゆる呪われたアイテムだから、魅力暴落だよ。


 さて、目が覚めてから半日程が経過。


 外界との唯一の接点が天窓という、石造りの何もない小部屋でずっと放置されているあたしには、この世界がどうなっているのか分からない。

 魔法の存在するファンタジー色濃厚なのを、勝手にイメージしているけど、実際どうなんだろう?


 お腹も空いてきたし、薄暗くなってきたし、あまりに情報が無さすぎて、ドラゴンに捕まってる現在の立ち位置が、吉か凶かも判断つかないし…。

 そもそもドラゴンにとって人間は、いざという時の食料にもされちゃう対象だったとしたら?

 …怖っ。大凶確定だよ~。


「隙をみて、逃げ出すしかないかな?」


 せわしく動かしていた指を休めると、手にしていた携帯を閉じ、朱里は天を仰いだ。小さな天窓に四角く切り取られた空が、徐々に闇色へ移ろうとしていた。


「逃亡を謀るつもりですか?」


 突然に部屋の大気が乱れ、風が起こった。


「え!?…何?!」


 ふわりと舞い上がった黒髪…その隙間から、天使な姿で悪魔が語りかけてくる…。


「逃亡など、主に逆らった場合‘主従の首輪’が首を締め上げますよ。憶えておいてくださいね」


 不条理な異世界の洗礼を前に、朱里は絶句するしかなかった…。


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