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衣服を溶かす魔法8


4


 昨晩は、オルセン・ドラモンドが会長をするドラモンド商会、その創立50周年を記念する祝賀会が行われました。


 私は一般の記者として自社を担当して1人その会に参加しました。記者といえどもそれなりの正装はしていくもの。それでも悪目立ちをしてしまいかねないほどの厳格と荘厳。六区と言えばドラモンド。その言葉に恥じないほどにそれはそれは盛大なパーティーでした。


 試す様にはなりますが、オルセンが芸術の方面にもかなり力を入れている事は知っているでしょうか。彼が六区の中で有力者の1人となれたのは彼が持つ独特なセンスのおかげであったと、1人の記者として述べさせてもらいましょう。彼は貿易の才はもれなく有りましたが、それを成功させる上で自分の感性も遺憾無く発揮しました。


 この六区の貿易港。この入り組んだ入江を手掛けたのもオルセン・ドラモンド、その人なのです。この港町をこの景観にし、権威ある区としてのイメージアップを図り、その戦略は見事に成功しました。


 来航した他区の船団は未だ盛んでなかったこの美しいだけの港を見て、『この煌めく港は、その中に豊穣の未来を見せる』と語ったほどです。


 この芸術性の側面も表現する様に、祝賀会では彼のデザインした港の図案や模型。精巧に美しく描かれた港の風景画や、彼自身の絵、仕舞いには有名俳優が扮した自伝映画『オルセン・ドラモンドの半生』が上映される程でした。


 それらの催しも終わりを迎えて。私は集まった記録を再度確認しながら、会場から立ち去ろうとしていたその時、ふわりといった浮遊感が体を満たしたのを覚えています。私は続けて、意識を無くしました。アルコールとは比べ物にならないくらいに強い幻惑感とすぐさまのブラックアウト。


 次に私が意識を取り戻したのは午前3時でした。まだ意識は朦朧として、景色は波打つ乱れた映像が流れるばかりで判然とはしません。けれど、そこに私は見たのです。目の前にいるオルセン・ドラモンドの姿を。私はいくら酩酊状態でも、見える指の本数を間違えたとしても、見えているものが指である事を違えたりはしません。


 確かにそれはオルセン・ドラモンドの姿でした。


 しかし、それを確認した後、私はまた意識を失いました。再びのブラックアウト。


 ……そして次に私が目を覚ました時。私は化粧もせず、衣服を何も着ていない。市警の皆さんがその様な私を起こすところだったという事です。


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