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衣服を溶かす魔法7



 通された部屋の内装は先ほど、オルセンが殺されていた現場の部屋と寸分違わない様子だった。調度品のそれぞれからその配置に至るまで、ここの宿主のこだわりを感じる。


 魔灯が焦げる匂い。リビングスペースの食卓風の机の上にステンドグラスで彩られた光が煌めく。


「さ、ヴァンダイン。彼女の目の前に座ってくれて良い」マルコに勧められて、ヴァンダインは彼女の目の前に座る。彼女は食卓の一つの辺に向かい座っている。


 ヴァンダインは視線を這わせて、姿を確認する。彼女は簡単に設えられた衣服が着せられ、顔には化粧が施されていなかった。顔まで行ってところで視線が合う。彼女のそれはズレ、マルコへと向かう。


「マルコさん、そう、あなたの名前はマルコさんですよね」


「そうです、リシェルさん。覚えてもらって嬉しいです。彼はヴァンダイン、僕の友人です」今度は友人と評したマルコをまたヴァンダインは鋭い目で見る。


「あなたがヴァンダイン。うん、覚えておきます」


「覚えておくとは何だ。死んだ後にでも私達を呪うつもりか?」


 ヴァンダインの軽口にリシェルは快活に笑う。

「ははは、この魔法の世界で態々死後にかける呪いなんて馬鹿な人はいないでしょう。体に残る様に魔法を刻んでも発動までに解除すれば良いだけの話。人は自分の意思で魔法を解ける。そんな事、みんな小学校でも習いますよ」


「まぁ、そうだな。じゃあ、人の人体に有害であればあるほど刻まれた魔法の効果が出るまでに時間がかかると言うのも知っているか?」


「知っていますとも。私、これでも物覚えは良いですからね」

 えっへんと、鼻高々にリシェルはこちらにアピールする。


「物覚えが良い。なるほど、これはこれは心強いじゃあないか。では話してもらおうかな。昨晩の事を明瞭に、覚えている限り」

 ヴァンダインは前のめりになる。態度は余裕を持って威圧的にリシェルへと答えを求める。


「ふーん……何だか偉そうな人ですね、マルコさん」


「悪いね。彼はそう言う男なんだ、どこまでも自分のテンポで会話を進めようとする。でも悪いやつじゃあ無いんだ、それに頼りになる奴でもある」


 リシェルはマルコの言葉に耳を傾けてうんうんと同意を示す動きを見せる。


「マルコ、この事件で知り合ったにしては随分と仲良く見えるな、知り合いだったのか?」


「いや、僕が一方的に彼女を知っていただけだ。彼女のことをと言うか、彼女の記事を読んだ事があってな。名前から僕が本人か、尋ねたから打ち解けただけだ」


「おいおい、それが彼女が犯人では無いと思う理由では無いだろうな。市警側の一方的な感情で捜査を進めるのは危険だ」


「大丈夫、僕に限ってそれは無い。誰だって平等に調べ尽くす。ヴァンダイン、それは君が良く知っているだろう?」


 ヴァンダインはマルコの顔を見て、彼の翳りの無い笑顔を確認する。一つ溜息を吐く。


「まぁいい。信用しよう。とりあえず話を聞かせてくれ」


「分かりました、信用します。では、私が見た事を全部話しましょう」


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