第一話 始まりの印
わたし、千歳真琴!
ごく普通の高校2年生!
趣味はちょっぴり渋いかもだけど、今日も元気に御朱印集めするぞーーっ!!
「お、真琴殿のお出ましだ〜〜」
「まーた御朱印帳カバー変えたのー?ほんと真琴の趣味はしぶしぶですな〜〜〜」
今日も今日とて友達の2人に趣味をバカにされる1日……
「今週テスト週間だから部活ないの神。」
「帰ったら溜まってるアニメ消化しよっと」
「いや、テスト勉強しろよ。」
「真琴は?また神社寄るの?」
『そのつもりーー!』
「「だよねぇ〜…」」
友達の2人に別れを告げて颯爽と神社に向かう。
ふさふさと揺れる並木道、心地いい木陰にちょっと心躍るいつもより早い放課後。
御朱印を集めるのはいつも週末。せっかくだし今日は近くの神社に向かってみる。
「 ようお参りくださいました。」
神社の巫女から御朱印帳を受け取り、帰路につく。
その時だった_____
ズシャ…ズシャシャ……
目の前に見た事のない謎の物体…いや、生命体……?人でも獣でもない、美しくも不気味な異形の存在だった。透き通るような白銀の体からは淡い光が漏れ、その輪郭は揺らいでいて現実味がない。
けれど瞳だけは深い赤で、底知れぬ憎悪と孤独を滲ませていた。
まるで長い間忘れ去られ、廃れた祠に取り残された神の怨嗟が形を成したかのようだった。
『キ、キャーーーーーッッッ!!!!』
腰が抜け、足がすくんで動けない、、、
化け物がこちらに向かいながら刃のようなものを振りかざす。
やば……お、おわっ…………
その瞬間、眩い光に目を奪われた。光の中に現れたのは、蒼銀の髪を風になびかせた青年だった。その存在感は、ただの人間ではないと一瞬で分かるほどだった。彼の纏う白と蒼の装束は、古の神社と現代の気配を融合させたかのように洗練されている。
冷静な瞳は深い海のように静かに化け物を捕らえている。
「ここはお任せ下さい。」
そういうと、しなやかな剣さばきで制圧していく。白銀の刃が眩しい陽光を跳ね返し、化け物の呻き声が静かな神社の境内に響き渡った。
「若様、今です。」
『へ?わ、私……?』
「なるほど、、ここはひとつわたくしが。」
''祓え給い、清め給え、神ながら守り給え、幸え給え''
剣を降ろし、静かに祈りの言葉を捧げると、化け物は一陣の風に溶けるように掻き消えた。
辺りには凛とした空気だけが残り、まるでそこに化け物など最初から存在しなかったかのようだった。
青年は鞘に剣を仕舞うと真琴の前で跪き、透き通った声を響かせる。
「お怪我はありませんでしたか?」
「お目にかかれて光栄です。ずっとお会いしたいと思っておりました。」