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Gronwidz Girl  作者: 白先綾
最終「界泣」

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29/38

「心」編「グロンウィッズの少女(クイナ)」/ 8なし3「15歳世界」

 二人はそれから程なくして対岸の崖岸(がいがん)に辿り着く。大穴の反対側に抜けてから二人はある程度スキーの真似事などしてはしゃぐ余裕が有ったのだがそれにも元手となるエネルギーが必要で段々とその様子は消沈し、辿り着く頃には試練での疲弊も有り思いっきり地面に横たわってしまう始末だった。

「あー、疲れたねー。とにかくもお疲れさん、相棒」

 とクイナは戦いの中心に居たクリネを(ねぎら)う。<そちらこそ>とクリネは高度飛翔のトライアルを含めたクイナの苦悩と献身を知っているので言葉を返す。

「このまま寝ちゃおうか? でも寝ちゃうと結局お腹の虫が鳴く事になるしまずはこちらの果樹園を探す方が先かな?」

 クイナが果実に言及した事でクリネは対岸における新たな緑の声を聴く。ここまで辿り着いたカイナ・クイナの過少さがそうさせるのかその翠の声ももはやどこか遠く朧気なのだがそれでも何となく伝わる物は有った、こちらの果実は危険だと。見つかった所で単純にそれを平和の中で食すと言う訳には行かないのかも知れない。逆に言えば果実の有る無しに関しては心配する必要は薄そうなので助かるが、そもそも危険と言う事は橋で言う所の怨嗟の応酬に匹敵する何かが待っているのはほぼ確実で今後の煩悶の中心点はそこなのだろうな、とそう感じる。それに「技」を司る所の果実だけと格闘した所で生産性が無い、こちらの何処かに「心」に相当する何かが有る筈だ、まずはそれの当りを付けるべきだろう。あと結局の所クリネは”使徒”だ、話の核に属する存在ではない。クリネだけで偵察に行ってもクイナの血を舐め取り無かった事に出来る世界の作りからして容易に見つけられるとも限らない。対岸世界は14歳だったクイナの成長痛の極まる地、つまり橋を渡り切ったと言う儀礼的な意味込みで15歳世界なのだ。そこで(まずは果樹園だろうがそれはそうとクイナ、誕生日おめでとう、で良いのかな。今までは別れて行動する事も有ったが多分それじゃダメだ。私には君が必要で、君も恐らくそうである筈だ。君の1歳分プラスになった部分を私だと考えてくれ。私の存在など大きさで言えばその1歳分程度の物だがそれでも君にとって不可分な役割を遂げてみせるよ)と祝辞込みの決意表明をクイナに届けた。

「なるほど、確かに成長痛も止まったしクイナの年齢については頷けるね。こんな荒んだ世界でもクリネに祝って貰えるだけで何より嬉しいよ。蝋燭でもあればクリネの右頬から命の炎を貰って果実に刺してバースデーケーキだ、みたいにやりたいんだけどね。じゃあ行こうか果樹園。見るのは初めてだけど、きっと途中に川が有る。そこの誘惑をどうにかしなくちゃ」

 15歳世界での二人の短い決戦の旅が始まった。

「”嫌いじゃない”よ、クリネのそう言う(へりくだ)りキツい分優しいとこ」

 こちらの応酬も未だ健在の様だ。

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