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Gronwidz Girl  作者: 白先綾
最終「界泣」

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28/38

8なし2「アンコールとしての祝宴」

 場所としてはやはり大口の反対側に出ている様だ。ここまで来るとほぼ怨嗟らしい怨嗟も確認できない様でクリネはやっと人心地がついていた。クイナはクリネが橋の上でもがき苦しんでいる期間中加速度的に野放図に広がった彼の両頬のみならぬ体にも差し掛かった緑の線を、いつものバランスに愛撫も兼ねて仕上げた後でその出来栄えを満足げに眺めていた。その後逆にクリネが彼女を見やった時には髪飾りを片方だけのストックと言う事にしてそれで優雅にスキーをする人、の動作の再現に躍起になって居る様相だった。ここぞとばかり尋ねるクリネ、<『スキー』とイえば、あのトキの”き”ってケッキョク『何』だったのかな>核心を突かれたクイナはスキーでのバランスを崩して転ぶかの様な動作をする。

「誘導尋問じゃんそれー、ブブー、ルール違反です。罰として一般人によるスキージャンプの刑、なお鳥としての飛翔アドバンテージは脚に装着するスキー板の重しにより無効になる物とする!」

 羽根を外せば空想上のストックがもう一つ確保出来る事にはたと気付いたクイナが羽根を外した後でビシッと指差しをしながら決め台詞を言う。クリネはそれに乗っかり橋の滑走前半部分で苦しんでいた姿を演じてお道化て見せる。クイナ自身もスキージャンプでプロがやる物ではないが素人なりのポーズとして髪飾りともう一つ先ほど分離させた翠に染まって居ない羽根の仮想ストックを両の小脇に抱えて前傾姿勢を取っている。

「前に泣き虫って言っちゃってごめんね。クリネは本当に強い子だよ、さっき苦しんでるの見ててよく分かった」

 真剣な顔を崩さず言う。崩したのはジャンプをしたと言う体で小脇に抱えた両のストック擬きを手に握り直した時だった。笑顔で髪飾りに羽根を刺して続ける。

「”き”の正解はもう少し頑張ってからにしよう。まだこの先何が待っているのか、そしてそれを乗り越えられるのか分からない様な状況だもの。それにクイナの高度飛翔と言うけじめも付いてないしね」

 そう言ってクリネの左頬を(つね)った、恐らく意地悪なスキーと”き”を引っかけた問答の仕返しだろう。

「大体それを言うなら自分だって……いいの真相を明らかにしてないじゃんか。どっちもどっちだからね、クイナだけを一方的に余罪の追及をするのはずるっ子だよね。”可愛”くないなぁ~このこの~」

 と可愛いの”可愛”を強調しながら抓りの強度を上げて来た。このまま行くと前半滑走での苦悩の二の舞なのでクリネは降参と言う事で丁度足解放タイミングだった事に合わせて上空飛翔で逃げた。

「あぁー、試練の苦悩と同じ位嫌な事しちゃったのか。ガーン、可愛くないわこれ」

 と頭を抱えるモーションをすると同時に髪飾りを頭に戻した。彼女からすれば髪飾りを付け直すと言う事は橋の上での戦いよりおしゃれに意識を傾ける余裕が出て来た、と言う訳でセリフの割には喜ばしい事ではあった。この飾り付けを合図にこうして「体」の試練はほぼ幕を閉じた。クリネが上空飛翔をしたのは前回の足解放タイミングを逃してしまったので前半部分よりは薄まってはいても翠の怨嗟の心での(うずたか)さがかなり危ない所まで来ていたせいでもあったのだが、それは他己評価強い子として言わないでおいた。

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