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Gronwidz Girl  作者: 白先綾
第一界「music無」

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は7し「希望の忌み子」

 微睡世界カイナの神、カイナ・クイナは現状では現実世界で生まれた時点で二度の死が約束された究極の忌み子である。まずクイナの分解字形についてだが91無、入口1と出口9の無い存在。全体的な見方としては入口たる生も出口たる死も無く存在し続ける呪いの(たなごころ)上に在って個々の存在自体の希薄さも無に等しい神への供物としての亜神の別称である、もし上位存在の究極神が居るとするのならの話だが。ここで更に怖いのは出口側から入って入口へと向かっているかの様な字形、しかもその先には無しかない。ゴールをまず失う所から始まっている徒労のエンドレスロードとでも言えばいいのか、人を核に並び立つ瞬間の祝福された子として誕生させると言う一点に向け多過ぎる尊い犠牲をこの微睡世界は数多くのカイナ・クイナ化(びと)達に強いて来た。

 カイナ・クイナ化と言う言葉通りカイナ・クイナは並行世界に両者並び立って存在していない。カイナ・クイナは14歳の何処かで確実に現実世界で葬り去られる、そして親の夢見た幻の影響で異性として転生し最大一年ほどと目される期間を生き延びる事になる、そう、今まで15歳を抜け出た者は無いと言う事だ。その蝉の様な儚い形態をカイナ・クイナと言う名前が包括していて、しかも転生した瞬間カイナ・クイナ化した人間はその名前に疑問符を抱く事無く自覚的である。

 つまり、「世界への疑問符」を抱いたらしきカイナ・クイナは数多の彼らの屍の山の何処にも科学が生じるまでまだ居なかったのだ。疑問符を抱いてすら立ち向かう事の怪しい微睡世界と言う舞台装置、そこではエコーと言う科学が成立するまで一定の約束された死のリズムが世界の裏側で脈打って来た、在り続ける事で素直で純真な頭のカイナ・クイナの各種死に様をコレクションする事しか実現して来なかった。そんな中でエコーがもたらした物として最大の事象なのは親の間違った期待の幻想に揺蕩わざるを得ないカイナ・クイナを夢見の期間を短くさせる事で幾ばくか現実世界サイドに脳を繫ぎ止めるその効果である。カイナ・クイナと言う存在として親の夢見を脳に植え付けられた状態で転生する事を麻薬の服用に例えるならそれが軽くて済むと言う事だ。冴えた頭で立ち向かうなら「世界への疑問符」を感じられるかも知れない、そういった意味ではエコーを受けた現代っ子達としてのカイナ・クイナはある種祝福された子になり得る希望の忌み子である。

 だがそもそも微睡世界への適応能力が低いとも言えるその希望の忌み子は苦しみが常時大きい、人としての核たる何かを目指す試練の日々に親の夢見注入と言う痛み止めが薄い状態で挑まなければならないのだから。才能や恵まれた使徒に乏しいケースの現代っ子カイナ・クイナははっきり言って転生後そのまま自殺するレベルであり、むしろ麻薬成分過多で頭がお花畑な原始に近い時代に転生出来たカイナ・クイナの方が多少長生き出来た分だけ幸せと言えるかも知れない。

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