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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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閑話 関係

「この報告書を見る限り、事件性は無い。人為的要素が無い。信頼している人達が調べてくれたんだ。覆ることは無い。

だから、人外的な要素を調べるしかない」

と、要が言えば、浅葱も頷く。


ピッコ~~ン



『◯◯◯をみつけたよ!』 ガーディアン連絡網 from 藍




辰巳 藍の行方が分からなくなって二月。白彦神社の境内は、背の高い杉が参道から並んで陰を作る。

冬でも夏でも景色に変動が無い。杉の根元が杉葉が落ちているかいないか、凛とした空気に時間はゆっくりにしか動かない。

ここだけが切り離された場所であるかのように。


神社の参道坂道を車を止めた駐車場からゆっくりとした足取りで上っていくと、瀧野家の母屋から昼食用の料理の匂いが風に運ばれる。


署長の殿間さんに召集された各々のメンバーは、事件なら顔を会わすこと無いはずの所轄外の面だった。


義弟になる陸は、学生なら陰キャラとして、目立たず学生ならではの恋愛や葛藤といった青春を経験するのを拒んできたタイブである。

妻のそらは、双子と言わない限り似ているところを探すのが難しい位反対の性格をしている。

同じ署内で事務職であるが、明るく正義感があり、刑事課希望は体格的に不向きと判断された。多胎児には比較的多い小柄である。多胎児と言うからには母胎の中ではもう一人いたらしいが、途中で心音は2つになったと教えてもらった。全く似ていない姉弟だが選んだ職業は警察だった。

義弟の才能は家族にも秘密にしていたと空は言うが、陸からすれば秘密にしていたわけでなく空が興味がないから知らなかっただけだと事無げに言っていた。世界大会優勝連続三連覇も知らなかったとこの前の教えてくれたが。


俺もそんなオタクみたいなゲームに世界大会があるなんて知らなかったクチだから、強くも言えないが。



浅葱は、同じ小中で何回かクラスも一緒になったが、美形で女子にチヤホヤされている感じの悪い、男子には敬遠されるタイプだ。

本人は女子の黄色い声にも靡かず、友人を作って屯っている俺たちをどこか遠くに見ている。

そんな浅葱だが、いつもの冷淡な様子が一変して焦った顔して走る姿をたまに目に入ることが有った。一年生の女の子が倒れたと聞けば、授業中であっても教室から飛び出していた。兄弟がいなければ興味もない下級生だが、あまり学校に来ていない芸能人と噂があった可愛い子の噂は聞いたことがあったが、本当に病弱で学校に来れなかった藍ちゃんだったんだな。

六年生と一年生では、興味も関心も違う。


俺には、藍ちゃんとの接点は全く無い。後から考えれば、浅葱にも要にも共通して話題に上がる事が妹の話だ。

妹と言うが、従兄妹を小学生が父方の母方のなんって言わない。本人達が妹と認識しているなら妹と表現していたことなんだろう。

クラスの女子が浅葱に付きまとっていても、鬱陶しそうにしても無視はせずに、何やら聞いている。今流行りの物やキャラクター、アイドルや話題を振って聞いている。

藍ちゃんの為なら何でもするところは、今も変わらない。



要とは、学年は一つ下だが、通った道場が同じだった。そこで師範代としてたまに指導に来ていた先生と同じ名字。

先生と言っても、学校の教師ではなくて剣道道場の先生だ。剛先生も誠先生も大学の大会で日本一になっている。全部の大会でそうなら物凄いが社会人も入れると上には上がいるそうだ。


剣道に興味があった訳じゃないが、警察官になりたかった俺は、剣道か柔道の道場に通うことにした。周りは少年野球にサッカーやミニバスとチームプレーの競技が大人気だったのに、交通安全の指導に学校に来たお巡りさんが、格好良くて一緒に来ていた女のお巡りさんが可愛くて。


母親が調べてくれた道場に、要がいた。小学校が一緒でも学年が1つ下になれば気にも止めない。だけど、要の事は知っていた。いつも無愛想な浅葱が笑って話している場に要がいたからだ。


校医の香山先生と浅葱と要が、話しているところは春の健康診断で見かけるいつもの事。香山先生は、小児科だから学校の子供達は殆どお世話になっているし、名前を確認しなくても香山先生は一人ずつ覚えていて凄い。孫が学校にいるらしいが、俺は知らない。


高校からは態々連絡を取るような事はしないし、されたことも無い。要は剣道繋がりでたまに会うが、上下関係を無視した生意気なヤツだ。

警察関係の広報に要が皇宮護衛官となっていると、知った時は驚いた。

昔から知っているが公務員とか似合わなすぎて別人かと思ったぐらいだし。


この白彦神社で会うまでは、正直浅葱のことも要のことも頭の片隅にもなかった。この忙しい3月の終わりに個人でも所轄でも人事異動がある公務員に、訳も分からず召集かけられた事項が、行方不明者探し。


行方不明者なんて、年間どれだけいると思っているんだ。確かに犯罪に巻き込まれたケースもあるが、子供じゃなければ、大半は自分から居なくなる事が多い。


署長、自ら総括すると言って大丈夫なのだろうか?


白彦神社って浅葱ん家? 何で? 要が説明している?


「おはようございます。朝早くからありがとうございます。辰巳 要です。警察庁皇居護衛をしております。今日は私が付き添います。神社内のことは、宮司 瀧野 千種が担います。

遅くに、関係者各位の経緯のデーターは送らせて頂きました。裏取りの資料として参考まで」

と、珍しくやつれた要が挨拶している。


「大変参考になります。余分な人選をしないで済みました。こちらからは3班で動くつもりです。

1班は、周辺の捜索自宅からこちらの神社までの足取りを追います。聞き込みと防犯カメラの確認。


2班は、主に神社内の痕跡と、頂いた経緯の確認一般的にアリバイの確認ですね。


3班は、サイバー的な検索をしていきます。

が、担当者が言うには、少し変わった有名な方なんですね。書き込みの中身が掴めないと言っておりました」

と、署長の殿間が言っているが、いつもの間に。


「私たちは、事件性を見つけて欲しいのです。まだ、犯罪に巻き込まれたと確証がない中で、署を動かして殿間さんは大丈夫なんですか?」

と、要が態々署長自ら来てくれた殿間に気遣っている。……本当にな!……







「兎に角、殿間さんの指示で捜査は終了になったが、俺も西川も中野も継続捜査に入ります」


「川島、もういいよ。組織の人間が上に逆らうな。気持ちだけで良い」

と、浅葱が言う。


……納得出来るか! 藍ちゃんを調べれば調べる程自分から居なくなる子じゃない。芯の確りした気持ちの良い子だ。

もっと早くに関わり合いたかったぞ!……


「別に諦めた訳じゃないけど、確かに川島先輩は手を引いた方がいい」

と、要が言ってくる。


……何だ! いつもなら無理矢理にでも手伝わせるだろうが、くそがっ!……


「なんでだ? 一人でも手がある方が良いだろう?」


「この報告書を見る限り、事件性は無い。人為的要素が無い。信頼している人達が調べてくれたんだ。覆ることは無い。


だから、人外的な要素を調べるしかない」

と、要が言えば、浅葱も頷く。


……何だよ? 人外って?



ピッコ~~ン


……誰の携帯だ? オレか? 要か。……

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