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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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相談

「ねぇ、ルカ。メリアーナ様にご挨拶をしたいのだけど、ご都合を聞いてもらえない?」

と、机の上でメモを取る。

ルカには悪いが、日本語で書けば先ず読まれることはないだろう。

碧お祖父ちゃまは、読めるみたいだが、英語で書けば読めない。英語で書いてもいいがスペルが曖昧な単語も携帯を使う訳にはいかないから、やはり日本語で書きたい気分なのだ。


此方の文章文法は、ほぼ英文法であるから話の途中でも予測がつくのがありがたい。

これが私の馴染みが薄いアフリカの多言語やアラビアの右からの読みで無くて良かったよ。

覚えようにも周りに関係がある人が居なかったが、父の友人には面白いとアラビア圏に赴任されている人もいらっしゃった。


私はよくよく考えてみれば、井の中の蛙なんだな。地球上の200国の1つ、小さな国である日本。その小さな土地の中でも一部しか私は知らない。

情報だけは、視覚や聴覚で得れる物はあるけれど、実際の嗅覚、味覚、触覚はその場に行かないと得れない。

ほとほと世間知らずな生き物であることに、実感する。


そんな私でも、日本の教育過程が良く出来ていると感心する。環境や時間は違っても基礎的なことは、強制でも集団で習うことは小さいなりに社会勉強の一環であるし、貧富の差はあるだろうが、読み書きが99%出来る国民性。

成人に成れば自己責任も出てくるが、常識的な意識の人が多い。問題になるのはたまにいる非常識な考えや主張する人であって、無知で有ることを省みない人なんだろうと思う。

私もその一歩手前にいるのだろう。片寄った経験と知識を持つ私でも、チャンスを貰ったんだ。


と、つらつらとメモに決意表明を書いていく。

……わたしって目標を立てないと、意外に動けない人だと自覚があるのよね。

こうやって書いて残すのも、自分を追い込まないと言い訳にするからだし、言い訳できる要素を持っていると逃げ上手になるからな……



「アイ、メリアーナ様は午後からグロー先生が往診の時にどうかって仰ってたよ」

と、ルカが予定を確認してきてくれたようだ。


「グロー先生がご一緒ならお聞きしたいこともあるから」

と、藍も返事をする。


「分かったよ。その予定にしておくよ」




お昼下がりのカール様の別邸で、藍が呼ばれたのは談話室でローマさんの案内で入室すれば、


「メリアーナ様、グロー先生、ロッティナさんこんにちは」

と、藍が挨拶をする。


「まぁ、アイ。あまり顔色が良くないですよ」

と、真っ先にロッティナさんに注意される。


「うぅ~はい。心当たりがありますので」

と、藍が言えば、


「さぁさぁ、側に来て顔を見せて下さいな」

と、メリアーナ様に呼ばれて側に腰かける。


「メリアーナ様、御加減はいかがですか? 私のためにお時間を取ってくださったのでしょう?」

と、藍が問う。


「朝は、メアリーやダニーとケビンが王都に帰る挨拶に来ていました。

孫に遠慮は要りませんが、カール様の指導の元少しは改善されたようです。

アイには迷惑を掛けましたね」

と、メリアーナ様が仰る。


「私は、一人っ子なのでご姉弟の絆が羨ましいです」

と、正直に答える。


「内も同じ事を言っておるよな。ロッティナ」

と、グロー先生がロッティナさんに振る。


「そうですね。私の娘も一人っ子ですからね。私は三人兄弟の真ん中ですが、上と下が男ですから男勝りだと父によく叱られました。兄妹仲は良い方だと思います」

と、ロッティナさんが言う。


「兄妹が多くても少なくても、仲が良ければそれでも良いが、大人に成れば問題も色々有るからな」

と、グロー先生は仰る。


……何処の世界でも同じなんだなぁ…………


「あの~ぅ、グロー先生にお聞きしたいことが有るのですが、メリアーナ様の診察はこれからですか?」


「いや、今日は往診と言うより、メリアーナ様の顔を診に来ただけだ。ロッティナから体調が戻りつつあると聞いておったからな。

身体に必要な薬なら出すが、服用せずとも改善するなら取ることはないからな。で、なんだ? 聞きたいこととは」

と、グロー先生は問うてくる。


「これなんですが」

と、香り袋をテーブルに出す。


「先程から、微かに甘い花の香りがしていたのは、アイが持っているものだったのね」

と、メリアーナ様が言えば、ロッティナさんも頷く。


「なんじゃ、花より葉の匂いが強いのか?」

と、グロー先生は問う。


「はい。花の部分は甘い香りを出しますが、葉も油分を含んだ爽やかな香りを出します。お茶がそうですよね」

と、藍が答える。


「そうじゃな、薬草も効能がそれぞれ違うな。根を使うもの、葉を使うもの、実を使うもの、使い方を間違えれば毒にもなるの。で?」

と、グロー先生が聞いてくる。


「私の国では、香りも薬にもなるのです」


「ふぅ~むぅ、気化効能的なものか?」


「はい。服用が一番効能が良いと思いますが、後は塗布ですね。香りで鎮静や鎮痛が反対に興奮や酩酊などをもたらします」

と、藍が説明する。藍の背後でルカが驚いている。


「そうだな。で、聞きたいのはこの香りは大丈夫かということか?」

と、グロー先生が聞いてくる。


「いえ、これはルッツさんに頼んでお館の庭園に有るもので作ってもらった無害な物です。多少薬用性の物はありますが、その部分は使っていないのでこれは大丈夫です」

と、藍は答えた。


「それならなんだ?」

と、グロー先生が聞く。


「グロー先生が育てておられる薬草の中で、受粉といいますか、虫が寄って来ない、一定の虫しか来ない薬草もしくは、畑の草とかご存知ないですか?」

と、藍が聞けば、


「あぁ、有ることはあるが、あまり良い匂いではないぞ。それに少し根に毒もあるからな」

と、グローが答える。


「それっていつ生育するものなんですか? 手に入りますか?」

と、藍が聞けば、


「それって、義父様。あれですか?」

と、ロッティナさんが聞いてくる。


「そうだ。ダルギがくれた種子で一回育てた事があるだろう」


「あれは……駄目です。義父様。とんでもなく臭かったじゃないですか」

と、ロッティナさんが止める。


「ロッティナの家では、作付けしているんだろう?」


「民家から離れたとこにです。私はあの臭さは苦手て手伝ったことはないです」


「それ程でも無かったと思うが、他にも臭い薬草も有るじゃないか?」


「あれは、駄目です。無理です」

と、ロッティナさんが顔をしかめる。


「と、ロッティナが言っとるが、アイはどうしても欲しいか?」

と、グロー先生が聞いてくる。横でロッティナさんが首をブンブン振って拒否しているが、


「乾燥した物を、少しだけ欲しいかなぁ~」

と、藍が遠慮気味に言えば、


「手には入るだろうが、今は無いぞ」


「はい。急ぎませんから」

と、藍が答えた。


……しまった。注文したことになったよね。経費が……私が思っているものかどうか分からないなら、見るしかないし。


「それより、アイ。顔色が悪いのはロッティナが言っておるが、自覚はあるようじゃが」

と、グロー先生が聞いてくる。


「はい。それもグロー先生と、ロッティナさんにお聞きしたいことの1つです」

と、藍が言う。


「アイ。体調が思わしくないなら無理する必要はないのですよ」

と、メリアーナ様が言ってくれる。


「いえ、グロー先生には、お薬の相談とロッティナさんには対処法を教えてもらいたいと思って。

月に1度来る女性の生理のことです。私は不順なのできっちりと決まっては来ないのですが、胸の張り具合や下腹の固さなどから、そろそろ来る頃だと思いまして」


「ルカ、少し席を外しなさいな」

と、急にメリアーナ様が仰って、真っ赤な顔のルカが退室していく。


……あれ? 生理の話ってしちゃいけないの? 身体のバロメーターだから、平気で保護者の前では話していたけど……


「……そうさの、薬で言えばアイにはあまりきつい薬は服用させられぬ。いつもはどんな症状だ?」

と、グロー先生が聞いてくる。


「私は季節によっても症状が違うのですが、常には頭痛と腹痛に冷えですね。酷い時は腰痛と吐き気がたまに伴いますね」

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