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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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裏技

「あの、どのような風の吹き回しで、私は呼ばれたのでしょうか?」

と、藍が問う。


「すまぬな、ルカからアイの気持ちを考えて一緒に検討すべきだと提案されての事だ」

と、カール様が仰る。


「今までは、アイが意識がなかったり体調を崩したりが多かったから、此方としても配慮がなかったな」

と、シアン国王陛下が仰る。


……うっ! 尤もな事を言われてる。


「我が儘を申しました。確かに体調を崩したままでの、質疑は出来なかったでしょう。私がルカに不満を打ち明けてしまっての事でしたら、私こそ恩知らずな言動を致しました。すみません。

ルカに甘えて直に、言いすぎました。ごめんなさい」

と、素直に謝る。


「いいえ、私はアイの気持ちを伝えただけです」

と、ルカが答える。


「兎に角アイも、一緒に知恵を出してくれ。

確認だが、アイは私と王都に一緒に来てくれるで間違いが無いか?」

と、シアン国王陛下がアイに聞く。


「はい、シアン国王陛下の側に居るとお約束致しました」

と、藍も答える。


「そこで王都では、直ぐに王宮で生活するのと、ダーニーズウッド辺境伯別邸での通いと、どちらが良い?」


「えっ? アカデミーの寮ではないのですか?」


「そうか、その話からする方が良いか」

と、シアン国王陛下が仰る。


「アイ、アイの歳を一考に入れてなくてな、此方のアカデミーでは、アイの歳では編入出来ないのだが」

と、カール様が言って、


「アイの国では、教育は何歳までとか無いのか?」

と、ミカエル様が聞く。


「私の国では、何歳でも教育場は開いています。勉強をする気があれば、80歳でも学生はいますので、年齢制限が有るとは思いませんでした。何歳まででしたか?」

と、藍が答えて問う。


「ふむ、此方では一般平民を入れた教育は、14歳から20歳までだ。但し医療科だけは22歳までとなっている。

アイには教育科に編入して文官の資格を取って貰うつもりだったが、編入制度でも年齢で許可して貰えぬ」

と、シアン国王陛下が答えてくれた。


「特例という裏技は無いのですか?」

と、藍が聞けば、


「特例? 裏技? とはなんだ?」

と、カール様が問う。


「そうですね。私は多分此方の教育課程は網羅していると思うので、教育科の先生方に試験をしてもらって、外国では資格を取得済みなのを、確認してもらいます。合格すれば此方の資格で働きたいと、文官の試験を受けて取得するという、裏技ですね」

と、藍が説明する。


「なる程な、アイが外国人であるから出来る事か。隣国なら資格取得は問合せが出来るが、アイの国では無理だから資格能力を保持していることを、試験で証明するか」

と、ミカエル様が言う。


「そうなりますね。合格しないと意味がないのですが、私は此方の言葉を覚えたばかりで、教育課程を網羅と大きく言いましたが、試験となると言語の壁が有り対した裏技ではないですね」

と、藍が言う。


「それは、教育科の教師達を立ち会わせて、試験の答でなく問題文の質問を許可すれば出来ることだと思う」

と、シアン国王陛下が仰る。


「問題文の解釈をお願いすると、それなら能力不足と判断されませんか?」

と、藍が問う。


「実際にアイは一季節も滞在しておらぬのに、そこまで言語を理解しておるではないか。

その証明位は私の言葉で、理解される。文官の能力が有ることを示して言語の不備は、補習となり補佐がいれば問題ではない筈だ。

現に、ルカは文官の資格を取得していて、アイの護衛として付ける予定だしな」

と、シアン国王陛下が仰る。


「えっ?、ルカが一緒なの? 文官の資格?」

と、藍が呟けば、


「私は、14歳から16歳まで、アカデミーに通いました。侍従として必要だと言われて取得しております」

と、ルカが説明すると、


「護衛と言ったら、騎士の方でなくて?」

と、藍が疑問を言えば、


「武術、剣術は私が教えられますから」

と、アートムさんが答える。


「では、ルカも文官のとして働けるのでは?」

と、藍が言えば、


「それも考えたが、そうするとルカは王宮の文官として働くことになる、アイの側に居れるわけではないから、アイ付の護衛侍従として側に付ける」

と、シアン国王陛下が仰る。


「ルカはそれで良いのですか? ダーニーズウッド領邸でのお仕事が有ったのに、私の為に付き合わせてしまいます」

と、藍が言えば、


「王都に二年おりましたし、アカデミーの中も存じております。王宮内はアイと変わりませんが、護衛として側に付きます」

と、ルカが答える。


「文官の試験は、1の1月に手配するで良いな」

と、シアン国王陛下が確認する。


「出来れば予習をしたいのですが、この前まで学生でしたが、専門外な事では抜け落ちや基礎の確認をしたいです」

と、藍が慌てて告げる。


「それなら、ダニーが教育科だから頼んであげよう。教材は借りるといい」

と、ミカエル様が仰る。


「内容が変わってなければ、私でも分かると思います」

と、ルカも言ってくれる。


「では、文官アカデミーの件はこれで良いな。

で、アイは住まいをどうする?

ダーニーズウッド辺境伯別邸か、王宮で手配するかになるが」

と、シアン国王陛下が聞いてくる。


「住まいとは? 王宮に文官だけの部屋があるのですか?」

と、藍が聞けば、


「いや、アイは私の専属の文官として、私の侍従の並びの部屋を用意するつもりだ。

が、そのもの達には、アイの素性は明かさぬ。明かさぬ故の雑用が、増えるかも知れぬ」

と、シアン国王陛下が苦渋顔をする。


「その為の私です。雑用などは私が処理致します」

と、ルカが言うが、


「それが文官の本分の仕事ならば、私がすべき事ですよね」

と、藍が言う。


「そうだな、アカデミーに通う事に成っても王宮の場合はその部屋からになる。

もう一つの提案であるダーニーズウッド別邸からは、王宮の仕事に慣れるまで、アカデミーも王宮もミカエルが管理しているダーニーズウッド別邸から、通いとなる」

と、シアン国王陛下が言う。


「ウチの別邸からだと、アイがアカデミーや王宮から、帰宅した後は自由な時間をあげれると思う。

ただ、メアリー、ダニー、ケビンもアカデミーに在籍中だから、アカデミー内と別邸内では、会うことになるけどな」

と、ミカエル様が説明する。


「クスクス。フッフッ」

と、藍が笑う。


「どうしたのだ?アイ」

と、カール様が聞いてくる。


「いえ、嬉しいのです。どちらを選んでも一長一短有ることを、隠さず教えて下さいます。

私の事を考えて言ってくださっているのは、よく分かるのですが、私はどのように思われているのでしょうか?」

と、藍が笑いながら聞いてくる。


「どのようにとは?」

と、アートムさんが聞く。


「そうですね。長所短所の明確な指摘を後で追及してきそうだとか、言質の取り方が細かくて機密だとか、話の相違点の追及が有りそうだとかでしょうか?」

と、藍が答える。


「「「「「………………………………………………!」」」」」


「何故? そう思うのだ?」

と、カール様が勇敢に聞いてくる。


……あら? 当たってた! カール様が一番免疫有りそう……メリアーナ様が奥様だからなぁ……


「フッフ。私の祖母や伯母、母の性格を良くご存知の方の入れ知恵かと思ったのです」

と、藍が答える。一斉にシアン国王陛下に視線が行くが、概ね世の女性は強く出すか出さないかだけだと思う。


「いや、私の異母兄に、似ているとは言ったぞ」

と、シアン国王陛下が言う。


「確かに、生前のサイニー殿下を彷彿させると仰ってました」

と、アートムさんが答える。


「どちらにしても、一旦ダーニーズウッド別邸に滞在してもらう。王宮に成っても直ぐ様部屋の用意が出来ないからな」

と、シアン国王陛下が言えば、


「ルカはダーニーズウッド家からの貸出し、派遣みたいな事になります?」

と、藍がカール様と、ミカエル様に聞く。


「あぁ、今までと体制は変わらなぬ。アイの庇護者は、シアン国王陛下で庇護地はダーニーズウッド辺境伯領土である」

と、カール様が仰る。


「庇護者? で、よろしいのですか? 保護者なのでは」

と、アートムさんが言う。


「庇護者で通す。保護者と言えば勘ぐってくるのもおるしな」

と、シアン国王陛下が答える。


「あくまで、アイはシアン陛下の友人の孫で通すと」

と、ミカエル様が確認する。


「アイの身元を明かすつもりはない。ここに居るものだけが認知しておればよい」

と、シアン国王陛下が言う。


「シアン陛下。…………申しにくいのですが、別邸の執事ルクールには、知らせないことには僕だけではアイを守れません。ニックでも苦労していましたし……」

と、ミカエル様が項垂れながら告る。


「…………それも……そうだな」

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