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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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祖父の思い

立替払い……明細書……請求書?ってこと?


「あの、請求書みたいなものでしょうか?」


「そうだな、アイが言っていただろう? 少しつづでも返していきたいと」


「はい、言いました。私に出来る仕事をしてお返ししたいと」

藍は、書類を見直す。が、金額が記入されていない。

項目の所にアイに関する経費は、一切シアン国王陛下の私財で賄われる。としか記入されていない。


「あの、シアン国王陛下。これでは私がどれだけのことをしていただいたのか知るようがないのですが」


「金額にしたら、私が生存中に返せる金額ではないと思うぞ、今のアイでは」

と、シアン国王陛下が言いきった。


「返済不可能な金額になっていると言うことですか?」

と、藍が問うと、


「そこまでとは言っておらぬが、アイが自立して日々生活していくのに、飲まず食わずでおれぬわな。

アイは体調を崩して何日で復活出来る、自然に治癒するのか?」

と、尤もな意見を示される。


「踏み倒すしかなくなりますね」

と、正直に答える。


「この書類は私の私財を管理している者達への証拠として、アイが私の孫と判明するまでに書いた書類だが、私はここに内容明細を記入してアイに返済をしてもらうつもりだ」

と、シアン国王陛下が仰る。


……お金で、私を縛るということ……


「それは、お金で私を買うと仰っていますか?」

と、藍が目の前に居る、シアン国王陛下に問う。


「買うって、よくそんな恐ろしい表現してくるな。返済と言っているだろう。返済なら貸付ということだな」

と、シアン国王陛下は仰る。


「貸付なら、利子や期限が表記されますよね」


「だから、私の生存中と言っている」


「生存中と言っても、私はいつか日本に帰る予定ですが……」


「そうだな。帰れそうなら返済分が残ってても帰ってよい。

私は国王を退位する予定だし、ダニエルが即位すれば隠居して田舎でゆっくり過ごせる」

と、シアン国王陛下は仰る。


……田舎? ダーニーズウッド領で一人で?


「私が帰れるまでって、いつになるか分かりませんよ」


「分かっている。それまでは私に返済を続けて欲しい」


「ちゃんと借用書にしてもらえると、私は分かりやすいのですが」


「アイに、ちゃんと金額を言ったら、無理するだろう?

残金があったら帰れそうでも返済終了まで、帰らないって言いそうだしな。変に頑固そうだから、私はそれでも良いが」

と、シアン国王陛下は言う。


……なんか、そんな感じはする?……性格読まれてる


「早くに返済できれば、私は自由にしても良いと?」


「どうやって? 何の仕事をして? 邪魔をするつもりはないが、日に日に経費は嵩むな」

た、シアン国王陛下が仰る。


「今こうしていても、私は返済額を増やしている?」

と、藍が言えば、


「アイまずは、ここカーディナル王国の暦を教えよう。

今は4の3の月になる。一季節を1の1、1の2、1の3と2に続く。1の1は30日あって四季節があるから」


「30日が1から3まであって、90日。四季節があるなら年間360日ですか?」

と、藍が答える。ほぼ日本と変わらない。

シアン国王陛下は頷いて返事をしてくれる。


「私とアイが会ったのは、4の1の月で終わりの頃だな。そして4の3の月が終われば、新年度1の1の月に戻り、国としても国政にしても新しく動き出す。

私は通例として、4の2の月中頃にダーニーズウッド領に休息逗留をしてきた。日数は国内の状況や問題で決まっては、おらぬが4の3中頃には、帰都している」

と、シアン国王陛下は説明される。そろそろ帰都する時期だと。


4の1の月が日本の三月としたら、六月が1の1の月で新年度。私は1ヶ月半こちらでお世話に成っていることに。単純計算で45日。


……45日で三食あのお部屋なら、200万は越えてる! 身の回り物、医療費は保険なんてないから10割負担で相場が分からないけど、私の経験上保険がないなら100万は越えてるよね。安く見積もって400万位は、掛かっている計算になる…………1日≒10万!!


日本の私ぐらいの月収は、仕事によるけど20~25万位で手取りはもっと少ないはず、アルバイトは時給で1000円だったけど、私が頑張れて日当4000~6000円位よね。

月収15万で生活して、返済は?………………早くて…………


「アイ、色々考えているところ悪いが」

と、シアン国王陛下が声をかけてくる。


「……何でしょうか?」


「アイには、私専属の文官になって欲しい」


……文官? イメージ的に秘書みたいなものかしら?


「文官ですか? 私は日本で17年間それなりに教育を受けてきましたが、こちらの教育や職業に詳しくありません」

と、藍は答える。


「だから、教育科に行き資格を取って文官になって欲しい。

建前上は、アイは私の友人の孫として、王都に一緒に行き、アカデミーで資格を取得して、私の文官として側で仕事をしてくれないか」

と、シアン国王陛下は仰る。


……友人の孫? 未婚のシアン国王陛下の汚点だから?


「私を孫とは呼ばないのですね。呼ぶと危険だからですか?」


「危険だ。私の身内だと分かれば、王位問題が勃発するかも知れない。しないかも知れないが、してからでは遅い。日本に帰れなくなるぞ私のように」


……戻ることを諦めた?


「王位のことだけじゃないですよね。ちゃんと問題を教えてください。誰も私の問題を教えてくれないのは守っているとは言いません」

と、藍は訴える。


「そうだな。私の孫と分かればまず、王太子ダニエルとの婚姻が出てくる。

それは、政略結婚と言う意味だ。ダニエルがアイでなくて他の令嬢を妃に望めば、他の公爵貴族に同じようにアイとの婚姻を望まれる筈だ。


アイは自分の容姿に無頓着だと分かっているから、アイが全くその気が無くても十分力任せに暴力的に拐かされてもおかしくないと私は思っている。

それは、国内国外両方の危険性の話だ」

と、シアン国王陛下はいっぺんに言ってきた。


「それほどだと思われますか?身贔屓でなくて?」

……自分の遺伝子を受け継ぐ者は、本能的に良いように認識するものだ。

他者の評価より可愛く誤認するものだ。

(ウチの子が、世界で一番可愛い)


「確かに、私はアイの祖母千種に惚れたクチだから好みなのかもしれぬが、客観的にみてそう判断した」

と、シアン国王陛下は仰るが、


「私は、祖母には似てないと思いますが、メリアーナ様やアートムさんにも同じ事を言われました」


「私の言葉で信用出来ないなら、メリアーナやアートムの言葉でも良い。理解したか?」

と、仰る。


「私がこの世界で、生活するには引き籠るか、誰かに庇護されるしかないと」


「私が生きている間は、全力で守る。だか私がいなくなればアイの身の保障が出来ぬのだ。アイの身元を知るのは、カール、メリアーナ、アートム、ミカエル、ニック、ルカだけだ。ロビンには、後からに成るが、それ以外の者に知らせるつもりはない。

この中で、私とカール、メリアーナ、ニック、アートムを入れて、何年生きていられる?

後を託すのは、ロビンとミカエルにルカの三人だ」


「あっ! ダーニーズウッド家の三人だけ」

と、藍も漸く、危機感が湧いてきた。


「アイがこの世界に居ると言うのなら、信頼出来者に託すことが出来る。

が、私も悩むところは日本に帰ると言うアイの思いに沿うと、無理強いも出来ぬ」

と、シアン国王陛下は、わたしを思ってくれていた。


「私は、日本に帰ります。此方で思いを残すことに成っても私の家族の元に、何年かかっても」

と、藍は答える。


「アイが、此方で思いが通じる者が出来てもか?」


……思いが通じる? 関わった人達は皆さん好きだが、これは男女間のことを言ってる?


「(碧お祖父ちゃまは、何故結婚されなかったのですか? 国王様なら子孫を残すのもお仕事の内ですよね?)」

と、藍は日本語で聞く。驚いた顔をした碧は、


「(私の妻は、千種だけだ。あんなに強い女性はいないし、後にも出会えなかった)」

と、碧も答えてから、


「分かった。アイがあの場所に帰るまでで良い。その時までは、私の側におるのだ。良いな」

と、シアン国王陛下は命令をする。


「はい、ありがとうございます。返済を少しづつですが、させていただきますね」

と、藍が答える。


「早速だが、後一巡りで王都に帰都することになるが、色々作戦を練りたい。カールも入れて知恵を出し会うつもりだ。良いな」

と、シアン国王陛下が仰った。


「後、六日……」

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