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ミカエルの証言

現ダーニーズウッド辺境伯領主ロビンと、カリーナ義母上は、カーディナル王国王都にて、定例会議と社交に領土を留守にしている。


というのは建前で、国王陛下 側近四大閣下の呼び出しに 他の辺境伯共々王都に当分滞在予定である。


父ロビンと妻カリーナは、ダーニーズウッド辺境伯領土の館以外に、王都に別邸があり普段は次期領主ミカエルが異母妹弟たちと暮らして居る。


父ロビン夫妻が領土を留守にする場合は、前領主祖父のカールが担ってくれるのだか、祖母メリアーナ前領主夫人の体調が思わしくなく、父ロビンの言い付け通りシアン国王陛下と一緒に帰領したのが、昨日だ。


本来ならば陛下には、現領主邸にて逗留していただくところ、祖父カールとの気安さから別邸に安逸されている。

毎年の事ながら、従兄弟同士とはいえ仲が良い。


シアン陛下が、前々国王陛下の第5王子の幼いころからの恒例行事だと、執事のニックが教えてくれた。




本日の昼食を祖父カールとシアン陛下が、普段は王都の別邸にいる私との交流の為、招待して頂いた。


が、食事会という祖父カールとシアン陛下の容赦の無い訊問、詰問が待っているだけだと思うが。

お二人とも幾つに成っても気に掛けて頂いている。


昼食には、少し早い時刻に執務室のドアがノックされる。

入室を許すと、執事のニックが報告と指示伺いに来たという。


「ミカエル様、少し早いお時間に伺いましたのは、アートムから不信な女性を拘束したと、どのように扱えば良いかと、指示を伺いに参りました」


「何処に拘束しているんだ? 身元は?」

と、ミカエルが危惧するのは、今領土には国王陛下が逗留中だ。

国内が落ち着いているとはいえ、刺客や反逆心を持った賊等が考えられる。


「ルカが、礼拝堂を清掃中に現れたようで、取り敢えず縄で拘束したこと、ルカの視見では黒髪と赤髪、黒目で薄手のドレス着用、年はルカと同じか下、自国語とジェスパード語が通じ無いそうです」

と、ニックが報告しながら、目線がわたしの後ろだ。


執務室の私の後ろには、大きな窓に置時計があるが、お祖父様に招待されている昼食と報告をどちらにしても時間がないと言いたいのだな。


敢えて

「僕も似たようなものだな」

「アートムがルカの処に様子を見に行っておりますので、詳細は後程分かると思います。先ずはご報告に参りました」


「どのみちお祖父様に、ご報告をしなければいけないな。昼食の辞退と不信者の対応を。アートムが戻り次第、一緒に別館に行くよう伝えてくれ」


と、ニックに指示して、ニックが戻りかけた扉にノック音がした。


入室を許可すれば、アートムが戻ってきて

「ミカエル様、礼拝堂を見て参りましたが、ご報告はこちらでよろしいでしょうか?」

と、問てきた。


「いや、アートム。一緒にお祖父様にの処に来てくれ。ここで聞いても二度手間だ。詳細は向こうで聞く」


「では、私は今すぐカール様に先触れと共に行って参ります」

と、アートムは出ていった。


扉の近くで、待機していたニックに

「ニック、本日の予定はお祖父様と相談してからになる。陛下もいらっしゃるし、使用人たちにも一報を頼む」

と、受諾して執務室から出ていった。



……こっちで、気を緩めると思っていたが、無理かぁ。なんで偶々僕が領土に居るときに……女難の相でも出てるのか?……

と、思いながら隣のカール邸に足を向ける。


既に、アートムが入口で待機していた。お祖父様とシアン陛下がいらっしゃる部屋に通され、


「良かったなぁ、ミカエル。お前の嫁が、王都から追い掛けて来たのか? アートムが女性問題だと、言ったが」

と、祖父カールが孫のミカエルをからかう。


「いえいえ、冗談でも止めて下さい。僕は、二度手間になるからと、アートムから報告を受けていないのです。どのみちお祖父様のご意見をお聞きつもりでしたから」

と、アートムに報告を促す。


「シアン陛下、カール様、ご報告させていただきます」

と、アートムが一礼をする。


「本日、ルカに礼拝堂の清掃を指示致しました。ルカが清掃途中で、女性が突然目の前に現れたと。殺気がなかったので迷子の類いかと「君は、何処からか来たんだ?」と聞いても無反応だった為、ジェスパード語で同じ事を聞いたそうです。全く聞こえていないか、理解出来ていないか。シアン陛下が滞在中のこともあり、軽く拘束したのち私に報告を上げてきました」


「どんな様子だ?」

と、お祖父様が問うて


「実際に視見しないと、ご報告に至らないと思い、ルカと礼拝堂に向かいました。ルカの話では、拘束したまま身動きひとつしていないそうです」


「ふ~ん……ルカがそう言うなら、そうなんだろうな」

と、シアン陛下が仰って一同頷く。


「特徴は?」

と、お祖父様が問う。


「会話が出来ていないので、ルカの私見ですが、年齢はルカと同じ若しくは下。黒髪と赤髪で目は黒く、肌は白いです。背はルカの肩位でしょう。衣類はやや薄手のドレスで、汚れやみだれは無いそうです。ただ異常に落ち着いているのか? 気が向いていないのか? 無抵抗だそうです」


「危険性は?」

と、ミカエルが問う。


「無抵抗というより、戸惑っているように見えました。でも普通の若い女性が、拘束されて泣きも怯えもせず、戸惑っているだけというのは解せません」


「耳が聞こえない場合もあるが、声がでないのか?」

と、ミカエルが可能性を言う。


「ふ~ん……保護するか拘束するか! この目で確認しないと何とも言えぬな。陛下、申し訳ないですが、先に昼食をお召し上がり下さい」

と、お祖父様は腰を上げる。


「いやいや、カール。何で私を置いて行く? 外国語なら私のほうが詳しいぞ。伊達に長いこと国王をしとらん」

と、シアン陛下は行く帰満々だ。


「賊だった場合は、危険です。ご報告致しますので、お待ち下さい」

と、お祖父様がシアン陛下を宥める。


が、シアン陛下はお祖父様とアートムを見て

「お前たちが居るのにか? 危険なのか?」

と、興を添えられた。


お祖父様とアートムにルカ。護衛が三人。私は入っていないが、倒せる刺客がいたら見てみたい。




四人で礼拝堂まで来たが、扉は閉まっている。

私が扉をやや力が入ったが開けて、扉近くにルカがいるのを目に止める。


ルカが奥に視線を向けるので、そちらを見ると確かに、女性らしい人陰が中腰の姿勢でいるのが分かった。


ルカがお祖父様とシアン陛下が、いらっしゃるのを見て驚いているが、挨拶に片膝を付いて礼を取っている。


「ルカ、僕は自国語とジェスパード語しか話せない。それ以外となると、お祖父様にお願いしたら、一緒に居られた陛下も行くと仰ってな」

と、言うと合点にいった表情を作った。


「僕が確認するでいいですね。お祖父様」


「そうだな。ミカエルで言葉が通じないなら、私が試そう」

と、お祖父様が言う。


「アートム、一緒に来てくれ」

と、アートムを連れて行こうとすると、


「ミカエル様、あの女性はこの状態でも、臆せず狼狽えもしない豪胆さがあります。私の感なのですが、戦い慣れているような気がします。油断なさらないようお願いします」

と、ルカが忠告するので


「じゃぁ ルカも来て」

と、三人で女性に近付く。


アートムの報告通りルカの私見を思いだし、一致していることで、ルカに問う。


「何て聞いたんだ? 同じ言葉で問うたほうがいいだろう」


「君は、何処から来たんだ?」とジャスパード語で同じ言葉の二種類です」

と、ルカが答える。納得だ。


そのまま女性に言葉をかけ反応を見たが、考える素振りはするが、理解出来ているとは思えない。


……仕方ない。お祖父様にお願いするか……


「お祖父様、やはり通じていません。お願い出来ますか?」

と、振り返って言う


お祖父様とシアン陛下が一緒に、中に入って来たら、私が近付いた時は、何も反応がなかったに、お二人には驚いている?


……オイオイ、これでも女性受けはいいんだぞ。目が悪いのか?……


お二人に場所を譲ると、

「何と聞いた?」

と、お祖父様に問われたので、ルカと同じか説明をした。


「では、私は違う言葉を試してみよう」

と、女性に近付き、片膝を付いて女性と目を合わせて、ゆっくり問う。


「◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇◇」


「☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆」


と、これは私と同じ反応だな、理解していない。


急に、隣に要らしたシアン陛下が、


「キミハドコカラキタンダ」

と、口にされた。


お祖父様が振り返りシアン陛下に、合図? をして、場所を開けられた。


お祖父様と同じように片膝を付けて、


「キミハ、ドコカラキタンダ?」

と、問うと、信じられない早さでシアン陛下の右手を拘束された両手で、掴むところが目に入った。


私を入れて四人で女性に詰め寄るが、一気に何か真剣な表情でシアン陛下に訴えている。


……やはり外国人か? 切羽詰まっている感はあるが、シアン陛下は? 何で笑っておられるのですか?……


シアン陛下は、女性と話されて直ぐに

「アートム、ルカ、状況は理解したから、縄を解いてくれ」


「ミカエル、アートム悪いがこの娘を館で保護してくれ、後で館に連れて行くが、ノアを呼んどいてくれ、手洗いに行きたいそうだ。話を聞くための部屋の用意を頼む」



そのままお祖父様と打ち合わせが、始まったのでアートムと館に戻る。


執事のニックに女性の保護と侍女長のノアに女性の世話の段取りを頼むために。



玄関の扉をアートムが開けて、シアン陛下とお祖父様と小脇に抱えられた女性が、ホールに入って来た。


お祖父様に抱えられぐったりした女性を見た、ニックとノアは私も一緒に驚いた。

ノアに女性を任せて、シアン陛下とお祖父様に話を聞くため応接室に向かう。

昼食がまだだか、どうするのか? お祖父様にお聞きしている時、ニックが駆け込んできた。


何時も落ち着いて慌てる事がないニックが、

「お嬢様が高熱で、意識が無いそうです!!」


「「「はぁー???」」」

シアン陛下、お祖父様、私と声を揃えて上げた。



「グローは来てくれるのか?」

と、シアン陛下がお祖父様に問う。


「いや〰️もう高齢で息子のディービスが診ているが……」

「アッ! メリアーナの診察に来てくれるはずだ。頼んでみるか!」


「あの娘は?」

と、ニックに問うと、


「ルカが、ご用意した部屋に運んでいると思います」

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