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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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仲裁

「その事なんですが、私は此方の常識や習慣を習ったばかりで、理解が及ばないことも有ります。教えて頂くことは可能ですか?」

と、藍がメリアーナ様にお伺いを立てる。


「アイ様、それはシアン陛下にお願いすれば良いことですよ」

と、アートムさんが言ってくる。


「……シアン国王陛下じゃないと駄目ですか?」

と、藍がアートムさんに、聞き返す。


「うふふっふっ。アートム、昨日今日でアイ様が怒りが収まると思ってはいけませんよ。

私はアイ様が凄く妥協されていることに幸甚を覚えます」

と、メリアーナ様は仰る。


「ごめんなさい。まだ気持ちの整理が出来ていません。出来ていないところに色々と持ち込まれて、正直困っています。

シアン国王陛下が駄目ではなくて、今まで私に関わって頂いた方に聞くのが、憚りがあるのです」

と、藍が正直に答える。


「アートム、アイ様は気持ちの整理がつくまで誰とも関わりたくは無いのですよ。しかし知らないままでは渦中に流されてしまう。

だから、一番馴染みがない私に聞に来られた、で合ってますか?」

と、メリアーナ様が言う。


「はい。メリアーナ様の仰る通りです。

だからと言って、皆さんが嫌とかではないですよ。本当に」

と、念を押す。


「確かにアイ様からは、嫌悪感は感じませんが」

と、アートムさんが答える。


「すみません。基本的な事からお聞きしますので、アートムさんも教えて下さい。

此方の成人とは何歳ですか?」


「カーディナル王国のみならず、私の知る全ての国で15歳のはずだわ」

と、メリアーナ様がアートムさんにふる。


「私も同意見です。それをお聞きになるのは、アイ様の国では違うのですか?」


「はい。私の国では、18歳が成人となりますが外国では15歳から21歳と各々違います。私の国は成人の歳が変わったのです。昔は此処と同じ15歳だったのが20歳となって、今は18歳が成人と認められます」

と、藍が説明する。


「成る程、国に寄って違うのですね」

と、アートムさんが頷く。


「昨晩、ニックさんが夕食を拒んだ私を心配して遅くにスープを持って部屋に来てくれました。その時にワインも一緒にと持参してくれたのですが、こちらではお酒も婚姻も成人からですか?」

と、藍が二人に聞く。


「そうですね。貴族も国民も成人を期に、お酒の飲酒を解禁したり、婚姻の式を挙げたりしますね」

と、メリアーナ様が答えてくれる。


「まぁ、お酒は早くから飲んでも罰も有りませんから、早い子は成人前から嗜んでいる子はいますが」

と、アートムさんが世間の話をしてくれる。


「それをお聞きになるなら、アイ様の国では違うのですね」

と、メリアーナ様が問う。


「はい。私の国では、お酒の飲酒は20歳からで婚姻は18歳からですね。それも外国では又全然違うのですが」

と、違いを打ち明ける。


「成人の歳もお酒の飲酒、婚姻の歳も違えば、アイ様が戸惑うのも分かります」

と、メリアーナ様が言ってくれる。


「他にも違うところが有るのでしょうね」

と、アートムさんも分かってくれる。


「此方で生活をするのなら、此処の流儀に合わすのが道理だと思います。

思いますが、私はいずれ自分の国に帰るつもりでいます。何時かとははっきり言えませんが、帰る策を練るつもりでいるのです」

と、藍が言う。


「根本的にアイ様と、陛下やまわりの者の考えが違うのにアイ様だけに気持ちを向けられては、アイ様が負担に感じても仕方ないことですね」

と、メリアーナ様が仰る。


「メリアーナ様、どういう事ですか?」

と、アートムが疑問を問う。


「だって、アイ様はご自分の国に直ぐに帰りたいのに、まわりはアイ様が居続けることを前提に考えて行動すれば、お優しいアイ様の負担にしかならないわ」

と、ハッキリ藍の心情を言ってくれる。


「そうなのですか?」

と、アートムさんが驚きの顔で聞いてくる。


「メリアーナ様のお言葉のままなのですが、実際に今すぐ帰れる手段は無いのです。

いつ、どうすれば、帰れるのかは分かりません」

と、藍が今度は現状を答える。


「アートム、あなたがする気の無い結婚を勧められて、迫られて嫌じゃなかったの? 散々逃げ回っていたじゃない。

それと同じ事なのよ。アイ様にとってはいずれ去るつもりの場所にあれこれと勧められて、困惑されているのよ。

でもね、アートムは自分で決めて行動した結婚は嫌じゃなかったでしょう。事情が有っても自分で決めた事なら受け入れられるわ。

アイ様にもその時間と決断できる材料がないから、今私達に相談されているのよ」

と、メリアーナ様の言う通りで、代弁されて嬉しい。


「全く、その通りなんです。メリアーナ様、アートムさん」

と、藍が思わず力説する。


「あのー、こちらの女性は髪を切ってはいけないのですか? カール様が私の黒髪が珍しいから危険だと説明されて、珍しいから危険なら切ってしまいたいのですが」


「なんですと!」

「それは、駄目でしょ」

と、二人に驚かれたが、駄目ぽっい?


「アイ様が髪を切られても、危険だということに変わりはないと思いますよ。それでしたら切らなくても良いじゃないですか」

と、メリアーナ様が言えば、アートムさんが頷く。


「危険に変わりがない? 何故でしょう?」

と、カール様は黒髪が珍しいと言っていたが、それだけじゃないということか。


「アートムに聞いたのですが、ケビンがアイ様に恋着していると」

と、メリアーナ様が言ってくる。


「恋着ですか? それこそ物珍しい私の容姿に、興味があっただけだと思いますけど、物扱いされたことは余り気持ちの良いものではないですが」

と、報告すると、


「ケビン様はアイ様に何と言ったのですか?」

と、アートムさんが聞いてくる。


「いずれ婚約するんだから、そんなに素っ気なくしなくてもいいんじゃないと言われて、私は誰と婚約するんですか? と、ケビン様に聞いたら、ケビン様だと仰っるので。

私はする気もないですし、何故そう思ったのかお聞きしたら、アイは僕の物だからと言われたのです。

私はケビン様の物ではありませんと答えましたし、

物扱いする段階で私の中では、あり得ません」

と、メリアーナ様とアートムさんに抜粋して報告する。


「本当にあり得ない話ですね」

と、メリアーナ様が仰り、アートムさんから怒りのオーラを感じるのだけど、どうしたの?


「失礼だと思いますが、私は眼中に無いので無視させて頂きますね。何か勘違いされてるようですし」

と、言えば、


「アイ様は前に、身を守る体術を身に付けていると仰いましたね」

と、アートムさんが聞いてくる。


「護身術の事ですね。相手からの攻撃を躱すのが基本です。私は体力が無いので躱してばかりいると疲れて動けなくなるので、それなりに短い時間で済むようにしています」

と、答える。


「それならアイ様、私が容認致しますので、不埒ものがいた場合は誰であっても手加減しなくてよろしいですからね」

と、メリアーナ様が仰るが、


「此処にそんな方がいらっしゃるのですか?

ところで、ケビン様が言っている私が婚約者になるという誤解は何処から来ているのでしょうか?

それが分からないと、同じことがあった場合に対処しやすいので教えて頂けませんか?

私が何か誤解させる態度、言葉、知らずにした行動があったのなら改めなくては、繰り返したくありません」

と、藍が二人にお願いをする。


「アートムは、何か聞いてますか?」

と、メリアーナ様が問う。


「いいえ、私はニックとミカエル様からケビン様の事を聞きました。アイ様には心当たりが無いのでしょう」

と、アートムさんに確認されるが、


「そもそも、私とケビン様は殆ど面識が有りません。

アートムさんも知っての通り、メアリー様が誤解されて部屋に来られた時にも、紹介もされていませんし、次にお会いした時もクルナさんの事で、私は倒れておりましたか意識がない時に会ったことにはなりませんでしょう。

目が覚めた時に側に居られて驚きました。

その時にミカエル様から、カール様からの指示だったとお聞きしました。

それからでしょうか? ケビン様の態度が馴れ馴れしいのは、私の記憶では全く接点が無いのですが」

と、お二人に説明すると、メリアーナ様は頭を抱えておられるし、アートムさんは呆れ顔を崩さないし、どうされたのだろうか?


「メリアーナ様、どうしますか?」

と、アートムさんが、メリアーナ様に問う。


「こんなに頭が痛い思いをするのは、久しぶりです。ロビンとカリーナに任せましょう。

自分達の子供の事です、責任を持ってもらわないことには、この事をミカエルに報告させましょう。

勝手な思い込みで人様に迷惑を掛けるなんて、間の悪いこと」

と、メリアーナ様が仰る。

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