捜索
「えーと、時間無いですね………本当に」
と、藍が呟く。
「分からんぞ、シアン国王陛下も私もその世代だが、元気にしておるではないか」
と、カール様が慰めてくれる。
「特徴は言えるか? 王都に帰ってからになるが、捜索させよう」
と、シアン国王陛下が仰るが、私ごときに権力を使われるのは、無理っぽい。
「1国の王様に人探しをお願いするのは、気が引けます」
と、藍が言うと
「アイの祖父を見てみたい。単純な好奇心だ」
と、シアン国王陛下が仰った。
「この国の貴族なら、アカデミーで会っておろうが、都民や領民なら時間がかかるの」
と、カール様が仰った。
「カーディナル王国なら、髪色で領土の系統が分かるが、今はそうでもないか」
と、シアン国王陛下が言えば、
「私の母が小さい時に離れているので、私は会ったことがないのです。
でも、母方の従兄と私にだけ朱髪が入っているので、赤色系だと思います」
と、藍が答える。
「この国で赤髪が多いのは、南部地区だな」
と、シアン国王陛下がいえば、
「そうでした、私は知識とし理解していましたが、髪色で地域を分ける認識をしていませんでした」
と、カール様が仰る。
「カールは外見で人を見たりせぬからな、良いことだと思うぞ。
私は己の髪色で卑屈になっておったから、セガールやカールと居れるこの地が、心の拠り所でい心地がいい」
と、シアン国王陛下がカール様に仰る。
「なら、アイの祖父は南部地区の人間かも知れぬな」
と、カール様が言う。
「そうなんですね。メリアーナ様が仰っていましたが、カール様のお孫さんメアリー様とロビン様の奥様も赤髪だから珍しくないと、だからこの地に居ると思っていたのですが」
と、藍が言うと、
「そうではない、メリアーナが言っておったのはダーニーズウッド家では、珍しくないと言う意味だ。この地で赤髪は、カリーナ、メアリー、だけだ。
茶色が勝っておるがケビンも赤系統だな。それと私だけだ」
と、シアン国王陛下が仰る。
「……だけだと、それは珍しいのでは?」
と、藍が問えば、
「アイ、そなた分かっておらぬな。黒髪はもっと珍しいぞ。ここまで綺麗な黒髪など、私は見たことないし、他の者達は初めて見ていることになると思うぞ」
と、カール様が言う。
「えっ?」
「私は、知っておる。アイの国日本は黒髪が殆どであったと思うが、今は違うのか?」
と、シアン国王陛下が聞いてくる。
「あの、日本人は基本的には、黒髪だと思うのですが、個人差で髪の太さや質により真っ直ぐな髪であったり、私のように癖がついた髪であったりと、異国からの血が入ってきてるので、多種類にはなってきてますね」
と、藍が説明する。
「アイの国ではそうなのか。
話を戻すが、何故我々がアイを館から出ないようにするかと言うと、その黒髪が目立つからであって、目立つと危険を伴うことになる」
と、カール様が言ってくる。
「危険ですか?」
「先日、ルカに問うたであろう。アイを街に出せばどうなるかと」
と、シアン国王陛下が言ってくる。
「あっ! シアン国王陛下が言っている意味が分かっていませんでした。すみません、私が街に出ると黒髪で目立つと言う意味ですね」
と、藍は理解した。
「概ねその解釈で良い。
が、人は珍しいものを手に入れたいものだ。それが良い意味で扱われるかは分からぬ。
拐われていい人だと思うのか?」
と、シアン国王陛下が問うてくる。
「もしかして、私は珍獣!」
……見世物や、愛玩具……
「私が国王で、庇護することは私以上の権力者でないとアイには手は出せぬ」
と、シアン国王陛下が仰る。
「守って頂いて、ありがとうございます。
でも、私は祖父を探したいのですが、ダーニーズウッド領内の可能性が低いと言うことですね」
と、ここに居ても赤髪の祖父はいないと言うことだ。
「あっーっ! それはそうなのだが、守りで言ったら内程守りの強固な所はないぞ!」
と、カール様が力説される。
「カール、王宮の方が守りに長けておるぞ」
と、シアン国王陛下が追い討ちを掛ける
「守りが強固なのは外敵からの間違いでしょう。内部は猛獣の群れの様なもの、アイなら簡単に食べられてしまいます」
と、カール様が断言される。
……どれだけ危ないのかなぁ、この世界は?
でも、セイ様は、今のわたしの世界の方が邪な気が多いいと仰っていたし、精神的? 物理的?……物理的には現代の方が確かに危険だわ。
「あのー! 私が物珍しい珍獣なのは、理解しましたし、気楽に外を出歩くのも危険だと分かりました。
ロビン様の奥様カリーナ様ならその南部の土地柄に伝があるのでは、南部の何とか言う所から嫁いで来られたのでしょう?」
と、お二人に聞いてみた。
「ふぬぅ~ん、カリーナの両親は私より世代が若い。それにあまりアイの情報を広げたくない。知っている者が増えると、自ずと危険も増える。
勝手な解釈をして碌なことにならぬ。うちの孫の様にな」
と、カール様が収まった話を蒸し返す。
「あははっ」
……笑うしかない。
「そういう事だ、私に任すしかないであろう」
と、シアン国王陛下
「シアン陛下、ではアイをどのような立場で連れて帰ると言われるのですか?」
と、真剣にカール様が聞く。
「何が良いかな?……知人の孫娘?」
と、シアン国王陛下が考えた答え。
「そうだ、アイの祖父の名は? 私の友人としよう」
と、シアン国王陛下に聞かれたので、
「私の祖父の名前は、碧、あおいといいます」
と、お二人に言えば、
「アオイとな、アイとも名が近いな」
と、カール様が答えてくれる。
……そうだね、碧お祖父ちゃまはわたしと1文字違いなのだ。
ルッツさんとクルナさんの赤ちゃんも、わたしの名前に近い。
母 朱里が読みを父 誠が漢字を考えて、名付けてくれたと、名前の由来として宿題に出た時に教えて貰った。その時に、お祖父ちゃまの漢字と読みを一緒に教えて貰ったのだ。忘れたりしない。
「…………………………」
「一様、私共でもアイの祖父を探してみましょう。ダーニーズウッド領内だけでも省けば、国内の捜索も早くなるでしょうし」
と、カール様が請け合ってくれた。
「カールよ、その必要はない。アイ、(日本語ではなせ)!」
と、シアン国王陛下が急に言ってくる。
「えっ?!(どうされたのですか)?」
と、藍は従ったが、シアン国王陛下と日本語で話すのは久しぶりだ。カール様が怪訝な顔で見てくる。
「(藍の祖父は、瀧野 碧か?)」
「(そうですが、祖父を知っているのですか?)」
「(知っているも何も、私が瀧野 碧だ)」
「(でも、それおかしくないですか?)」
「(おかしくもないぞ、私が碧で間違い!)」
「(年齢が違います)」
「(分からんが、藍の祖母は千種じゃないのか?)」
「(はい、千種で合ってます)」
「(藍の母親は、朱里なのか?それとも翠か?)」
「(私の母は朱里です)」
「シアン陛下!……今さら私を除け者にして、どういうおつもりですか?」
と、カール様がドスのきいた声で言ってくる。
「…………………………」
……わたしは、どうすればいいのかしら? お祖父ちゃまが、見つかりました。
国王様でした……
「すまんカール。怒るな。怒るか?
アイは私の孫娘だ。今分かったとこだ、許せ」
と、シアン国王陛下? 碧お祖父ちゃま? が、カール様に告げた。
「……な……ん……で……すと?」
「アイ、体調は大丈夫か?
まだ、話したいことが沢山あるんだ。翠はどうしている?千種は元気にしているか?
朱里が結婚できたのだな。アイとは結び付かなくて、何で初めから孫だと言わなかったのだ。そうすれば、もっともっと一緒に居たのに。遠慮するでなかった」
と、カール様を置いて話しかけられるが、落ち着いて欲しい。私もビックリしてるのだから。




