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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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噂の真相

10年前と何一つ変わってない街並みにアギルは困惑している。風景と建物が一切変化がないが、店舗前にいる人たちはちゃんと年を取っているんだ。


窓からオークがラルトの旦那を連れて、街中を探りに行くのを上から見ていた。


アギルの実家は街の山側で、肉を卸していた。

広大な土地に野菜や果物に薬草と生業をしている人が多い中、シーガネ川で漁業を職業としている家もある。

シーガネ川は大河川で冬でも流れがあり、凍っても下層は流れがある。それなりに一年を通して仕事になるが、肉の卸しはそうはいかない。

山の雪が溶ければ猟の始まりだ。春先の動物は痩せていて肉も旨くない。雌は子を生んで尚更旨くない。春先の猟は子供の捕獲だ。興味津々で人の恐さを知らない子供を生け捕る罠を仕掛ける。

子は冬までに育てて肉にする。夏より秋の動物が脂がのって美味しくなるが、精肉なら夏でもいい。秋に仕留めた動物は加工して長期間保存が出来る塩漬けや干し肉に手を加える。


アギルの家は猟師の父と兄が山に行き、家の側では動物の飼育を母と弟がしていた。俺はどちらにも、てご扱いだった。


何でも器用に出来る俺に、街の友人が仕事の紹介をしてきた。別に珍しくもないことに気軽に引き受けてしまったが、街の中でも浮いてしまうような一張羅の服を着た商人さん達が、宿泊している部屋に俺を連れ込んだ。


芝居ががっているなんて思わない程真剣に頼まれたのだ。これが上から目線の命令調なら引き受けていないと今なら思うが、下手に懇願されたことに断れなかったのが、間違いなんだが。


友人も多かった俺は、伝で領主様の館に出入りしている業者に頼んで、短期のてご扱いにしてもらうが、肝心の館の仕事にはお呼びが来ない。

重宝がられて伝は出来るが、領主様絡みは無いのが不思議だ。


痺れを切らしたのが商人達だが、ダーニーズウッド家の使用人達に接触し、買収しようと目論んでいたらしいが、端から用心されて話も出来なかったらしい。


期限があるにしろ悪手でしかない。俺でも疑うわ。

俺がしてきたことが、遠回りでも確実なんだ。野菜や果物を館に配達しているおじさんに手伝いを頼まれた。使用人達の出入口から、厨房に荷物を運ぶ。

何回かするうちに、給仕をする侍女さんの顔も覚える。一番若い侍女は食堂と厨房の行き来が激しい。


その時に覚えた顔の中に、ナリスがいた。ナリスは街の中でも裕福な家柄の娘だ。俺との接点はないが、手伝いをしていたおじさんは、その家にも野菜を配達していた。


ナリスの仕事が休みになり、実家に帰って来ていた。お友達と会った帰りなんだろう、男達に囲まれて拐われる寸前、配達帰りの俺との鉢合わせになったんだ。


商人達に雇われた男達とは知らなかったから、助けを求められて日頃肉体労働してる俺を舐めるなよ。

と、はいかなかったが、何とか追い払い顔会わせたのがきっかけで、館でも話すようになった。


迂闊にもナリスと親しくなった事を友人に話せば、いつの間にか商人達にも知られ、手のひらを返すように脅された。


俺が痛め付けられるのは、仕方ないが家で仕事をしている家族に手を出すと、言われナリスに近付きシアン陛下の情報を聞き出そうと、したことは間違いない。


本気でナリスのことが気になり騙し続けるのが苦しくて、商人達に断るために会いに行った宿で、怖い人に捕まった。

本当に怖かった。二十歳過ぎた男がチビりかけたぐらい怖かったんだ。


後でシアン陛下の暗殺計画が有ったことを聞かされたが、知らなかったとは言え、ナリスを巻き込んでしまって会わす顔もなく。同じように脅されて協力していた友人も、計画を知らなかった。

いたたまれない気持ちで、家族に事情を話し、街を出たのは、10年前になる。




オークが上手にラルトの旦那を使っている。ヤーナさんの目は確かだ。裏表が無いのが相手に伝わるのか、会話の中にダーニーズウッド家の話を入れ込んでも警戒されない。

オークの誘導が上手いんだ。思った以上使える奴だった。


今の領主様は、カール様の次男ロビン様だが、先代に気性も似てらっしゃるのか、領民に慕われておられる。噂の端々に夫人のカリーナ様に追い回されて、15歳離れた夫人に激愛されてと、微笑ましい話で終わる。


ミカエル様に至っては、婦女子に追い回されても靡くこと無く、王都で事業家として名を挙げられているらしい。女嫌いとの噂まであるが、本当だろうか?


それこそ、館に配達していた時にお見かけしたのは、王都から戻られ小さい異母妹弟を庭で一緒に遊んでおられた。


やはり噂にミカエル様のご結婚話は出てこない。そろそろメアリー様のお相手をとの噂が、あるにも関わらず異母兄のミカエル様には、焦りはないのだろうか?


お館にミカエル様のご結婚相手が、いらっしゃると言う話も皆無だ。シアン陛下の逗留はいつもの事と自然に話されて内密でもない。


「アギル、全くご令嬢がいるなんて、話にも出ないよ。ヨハンさんはデマをもらったんじゃないのか?」

と、ラルトさんは言うけれど、ヤーナさんは確信していた。あの人のそんな勘は、当たることが多いんだ。


「1つ気になると言えば、ノーマン医院のディービス医師が頻繁にダーニーズウッド家に往診しているらしいよ」

と、オークが言ってくる。


「あっ! それは聞いたところ、前領主夫人が体調を崩されているみたいだね」

と、ラルトさんも聞いたみたいだ。


「いつもなら、患者さんが減るこの時期にご夫婦で王都に行かれるのにって、隠居された先代も頻繁に往診に付き合っているそうだよ。楽しそうだと、看護婦が言っていたし」

と、ラルトさんは続けて言う。


「楽しそう?」

「楽しそうって?」

と、俺とオークが聞き返す。医師が往診が楽しいのか?


「オーク明日は、遠くからでいい館を見てきてくれるか?絶対に無理はするな」

と、館の近くまで一緒に行き、馬を隠す場所と敷地の入り方を教えた。


「様子を見てくるだけで、いいんですね」

と、確認してくる。


「そうだ。人と会わないように視線を送るなよ」


「視線を送らないように、どうやって見るんですか?」

と、オークが笑いながら聞いてきた。


「あの館には、視線を感じて見つけてくる人がいるんだよ」

と、言ったがどうやら信じてないようだ。



日が沈む前に、オークが帰ってきた。


「信じられない位、綺麗な人がいました」

と、オークが興奮しながら言ってくる。


「信じられないって?どれくらいの事を言ってる」


「だから、信じられないくらいですよ」

と、オークが説明するが、機転はきくが言葉を知らなすぎる。


「まぁいい、年は?」


「…………15……19……21?」


「だいだい、いくつ位に見えたんだ」


「間を取って、18かなぁ?」


「髪色は? 髪色である程度土地柄が分かるもんだが」


「黒です、でも赤です」


「それって、メアリー様じゃないか? 年は確か16か17だったはずだ。黒髪なんてありえねぇし、母親のカリーナ様と同じ赤髪のはずだ。カリーナ様はマホガニート伯爵家の出だからな」

と、言ったが


「絶対に黒かった。でも赤髪もあったし、どうなってんだ?。明日も見てくるよ」

と、オークが言ったが、早朝出掛けたオークは、飛んで帰ってきた。


「なんで俺が見てるの分かったんだろ? 気付かれたかも知れない」


「だから、気を付けろと言ったんだ。視線を出せば見つかるんだぞ」

と、オークに言ってももう遅い気がする。


俺は提案をした。噂をそのまま持ち帰ってヤーナさんに三人で叱られようと。

それに否を言ったのは意外にもラルトさんだった。ラルトさんの指示で、宿を昼前に馬車で移動すると、ダーニーズウッド家の馬車が前を走っている。


「なんで?」

と、思っていたら戻って行く。

俺たちはそのまま計画通りに、食料となるものを買って身を隠せる秘密の場所に行くつもりが、またもや前をダーニーズウッド家の馬車が走っている。

慌てて馬の速度を落とすが、もう遅いはずだ。


山岳地区、父と兄が使っている狩猟小屋に、少し身を隠す予定だった。


オークにダーニーズウッド邸に入る場所と、馬を隠す所を教えたついでに、10年ぶりに足を踏み入れたが、父か兄が見にきていたのだろう、真新しい足跡と人がいた気配があった。近々狩猟を始めるのかも知れない。


「なんで、こんなに間が悪いんだ」

と、呟きながら馬がギリギリ通れる道を進んで行く。

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