三匹の子犬
長い長い映画を観ていたような、そうだ長編ストーリーを読み終えたような、夢だよ。
グゥ~~キュル グル~~~キュル
グゥ~~~ グゥ!
グル~~ グゥ~~
まただ! 一気に覚醒して目が覚めた。
視線を感じて顔を横に向ければ、携帯画面の中でセイ様がウネウネ泳いでいる。
『アイ、きがついたか?』
と、セイ様が聞いてきた。
「ばぁぎ」
……??? なんだ、声は出るけど? 出せない?……
パァーンと天蓋のカーテンが開けられる。
……えっ?
「良かった。気が付いたんだ!」
と、赤茶髪のケビン様が、ベットの側に来て顔を覗き込む。
「ぎぇ?」
……なんで? ケビン様がわたしの側に来るの?……
「やめろ、ケビン! アイがびっくりしている」
と、ミカエル様がケビン様を離してくれる。
「お水が飲めるか?」
と、ルカが背中を支えて起こしてくれるが、横隔膜の筋肉痛で顔が歪む。
「どこが痛いだ?」
と、ミカエル様が聞いてくるが、ミカエル様が大笑いした後の筋肉痛と同じと言えず、手で胃の辺りを擦って知らせる。
「ゆっくり飲める分だけでいいから」
と、ルカが水が入ったコッブを渡してくれた。
受け取って口に水を含みながら、ゆっくり飲み込むが、水が美味しいが痛くて飲み込むのに時間がかかる。
この状況はどうなっているのか? 周囲を見渡しながら水を飲む。
開けられたカーテンから見える部屋のソファーには、メアリー様、ダニー様が座っているが、わたしの側には、ミカエル様とケビン様にルカだ。いつものメンバーより年齢層が低いようだが、
「気が付いて良かった。本当にお腹の鳴る音がしだすと起きるんだ」
と、無邪気にケビン様が言う。
が、わたしはまだ、カール様からこの姉弟を紹介されていないし、どう挨拶をしていいかわからない。
困惑していたのが、ミカエル様に通じたのか
「ルカ、ニックにアイが気が付いたこと知らせてくれるか。出来ればディービス先生にも診てもらえるよう手配を頼む」
と、わたしを支えていたルカに指示を出すと、ルカが、わたしの顔を覗き込む。
「わかりました、知らせてきます。クルナのところにディービス先生が来られるでしょうから、お願いしてきます」
と、ルカが部屋を出ていった。
わたしの枕元の携帯画面の中で、相変わらずセイ様がクルクル回ってわたしを見ている。
……どうしょうか、今声の大きさを調整して話せないし、セイ様と話したいこと有るんだけど……
「お異母兄様、もうそこのアイが気が付いたことですし、私は部屋に戻ります」
と、メアリー様が訴えた。
……別に居て欲しいとも頼んでないし、何で居るのか分からない?……
「そうだな、メアリー、ダニー、ケビンは、部屋に戻ってもいいよ」
と、ミカエル様が許可を出すと、
メアリー様がすかさずソファーから立ち上がり、弟二人に目線を向ける。
「ダニー、ケビン行くわよ」
と、メアリー様が言えば、ダニー様はソファーから立ち上がりメアリー様の側には行くようだ。
「ケビン!」
と、メアリー様が末弟に声をかけるが、
「僕はここにいるよ。姉上と、ダニー兄さんは部屋に戻るといいよ」
と、軽く姉をいなす。
ケビン様は、そのままわたしのベット脇に陣取りニコニコと居続けるようだ。
はぁーと、ため息を一つしたミカエル様は、脇の椅子を側に寄せ腰を掛けた。
「さっきの声は、アイか?」
と、ミカエル様が聞いてきた。
「ぜ〰️う〰️げ〰️ず」
と、そうですの声が割れて酷い音になっている。
「無理に出さなくてもいい。悪かった痛いのか?」
と、聞いてくので、頷いて返事をすれば、
「後でディービスが診てくれるだろう。それまで少しいいか?」
と、ミカエル様が聞いてきて、同じく頷く。
「ありがとう、アイ。クルナが無事に出産出来たんだ。産婆のタウの話では、アイの指摘通り破水していたらしい。
アイが気付いてくれなかったら母子とも危なかったと言っていた。ルッツがアイにお礼を言いたいと言っていたが、それは後のほうがいいだろう」
と、ミカエル様が教えてくれた。
「どがっだ」
と、良かったと言ってるつもりだ。
ミカエル様が、2日前にあったことを説明してくれる。
……今回は、2日間意識がなかったらしい……
簡単に物語風に、匿名でいくと
2日前と言えば、
ある日突然現れた通りすがりの娘さんが、親切なブリーダーのお家で、朝の準備体操の後に、訳も分からず可愛い赤毛の犬にじゃれつかれ、躾に少し矯正をして、飼い主のブリーダーにお任せしたんだ。
ブリーダーのお家では、その日の予定を狂わせた3匹の犬たちを、調教師によって朝ごはんをもらい、世話係によって寝床をきれいにしてもらい、普段は可愛がってくれる飼い主たちのご機嫌をとるだけだった。
今回はなぜか、碌に機嫌も取れず赤毛のよく吠える可愛い犬に従ってついてきた二匹ともども、飼い主たちに反省をするまで、伏せの状態でいたところ、よく庭で遊んでくれるドックランのお兄さんの赤ちゃんが危ないと、調教師から知らせが届き、飼い主たちが寝床を使う許可を出して赤ちゃんを助けてくれる、医師たちに任せて伏せの続きをすれば、赤ちゃんを守ってくれていた通りすがりの娘さんが、ドックランのお兄さんの仲間に会えた後にどこかに行ってしまったから、みんなで探そうと伏せの3匹も猫の手代わりに、手伝うと3匹の一番ちびが、娘さんが倒れているとこを吠えてみんなに知らせたよ。
めでたし、めでたしって……
あまり理解したくないような話であるが、ケビン様が倒れているわたしを見つけて、館の皆さんに知らせてくれたと、……言うことらしいが、何故? こんな纏めになるかというと、
わたしが続き部屋で下着姿のまま意識がなくなった後、館の使用人達はルッツとクルナの赤ちゃんの為、ノーマン医院の産婆さんを中心に動く者と、通常任務をする者とで、執事のニックさんも侍女長のノアさんも段取りや指示に右往左往していた。
長年の経験上混乱はしなかったが、朝一から予定を狂わす事がなければ、これ程ゴダゴダになったりはしなかったそうだ。
ルカがノーマン医院からディービス医師とロッティナ、産婆のタウを迎えに行った際、不審な馬車に付けられたと、父アートムに報告する。
この前からの不審者等があった為、シアン陛下とカール様はアートムさんが付いて別館でメリアーナ様と待機してもらうことになった。
夕刻前には、館も落ち着き使用人の客室からは大きな赤ちゃんの鳴き声が館の外まで聞こえ出した頃、ルカがわたしの存在がないことに騒ぎ、執務室で反省を促されていた、三姉弟も捜索に手伝うようミカエル様に命令され、使用人達とも捜索されていた時に、カルマさんが続き部屋の汚れて引き裂かれたドレスを見つけドレスを片手に叫びながら部屋から飛び出したらしい。
本当はその部屋の隅でわたしが倒れていたのだが、流石に下着を着替える時は、部屋の出入口から死角を選ぶよね。
普通?
脱ぎっぱなしの私も悪いが、それどころでなかった状態で下着までは、ちゃんと付けれて良かったと後で思った。
カルマさんがわたしのドレスの惨状に戦慄が館内に走ったそうだが、わたしがした事です。
ミカエル様を始め総動員をかけて館内、館の外に庭、林の中と手分けして捜索される中、マイペースに館の中を歩くケビン様が、開いたままの客室を覗き、続き部屋のわたしを見つけたそうだ。
ルカがわたしを抱えるケビン様を見つけるまで、どのくらいの時間そうしてたのか?
ケビン様は、直ぐにルカが来てくれたよ。と、言っていたらしいが、ルカの一報で館の中は落ち着き、クルナさんの産後の処理を産婆のタウさんに任して、クルナさんが館で侍女をしていた時の部屋に母子ともに移動となった。
その方がルッツとしても安心出来るし、心配していた仕事の事も解決案である。
ミカエル様の判断で、クルナさんの産後の事、左足首の怪我が酷いことなどで、使用人のナリスさんが手伝う許可も出してくれたそうだ。ルッツさんは今までと同じで通いになるが、日中は妻子に会えるし、仕事は気兼ねなく精を出せると喜んでいた。
ディービス医師と看護婦のロッティナさんに診てもらい腕に付いた爪痕も手当てされ、カール様がダーニーズウッド家の使用人を助けてくれた藍が、気が付くまて添うことを三姉弟達に命じられた。
それが三姉弟が部屋に居た経緯だ。
一連の話をミカエル様から聞いた藍が、フッと横からの視線が気になる。
さっきからニコニコとケビン様から視線が痛い。
「ねぇ、アイ。『にーにー』ってなに?」
……えっ!




