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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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長い一日

本堂の廊下で男二人が座り込みサンドイッチを食べている。ミックスサンドは浅葱と分けて各々完食した。

コンビニ袋にゴミとなったサンドイッチのナイロン包装と、豆乳パックを潰してストローを抜く。ペットボトルの蓋とラベルを外して後は分別するが、今は纏めて口を軽く結んで脇に置く。


浅葱が出てきた部屋は明かりが付いたままだ。


「浅葱はずっとここにいたのか?」

と、聞けば、


「いや、少し前だ。横になってたが寝れそうになくて布団から出てきた。ここにはおばあ様から入室許可をもらっていたしな」

と、時計を見る。まだ、午前六時だ。


「で、要は何かあったのか?」

と、聞いてきた。


「そら色々あるでしょ。家に着いてカメラをチェックしてたら、オレの知らない男が藍と親しげに話している所が残っていて、コイツ誰だ! と、なったし、朱里叔母さんは信じろと言う方が難しい話をしてくるし、藍の部屋には何十回と入っているのに、本の整理の基準を知らなかったし、叔父さんと叔母さんが必死で冷静になろうとしてるのが分かるし、朱里叔母さんこっちで泣いてたろ、メイク取れてた。


叔母さんメイク無しだと、本当に日本人形みたいだもんな。翠おばさんとそっくりで段々同じに見えてきた」

と、たて続きに言えば、


「あぁ、そうだな。オレもそう思うよ」

と、浅葱も同意する。


「オレは朱里叔母さんが言った、人外的なことには全く分からんし、藍が自分から消えたとも思えないが、犯罪者心理で言うならどうやったら藍を連れ出すか、昨日はあの時言わなかったが何パターンかオレなら出来る。


オレが時間をかけて人を使い計画すれば、藍を突然消えたように出来る。犯人がオレだと分からないようにすることも」

と、俺が言えば、


「そうだろうな」

と、すんなり浅葱が認めてきた。


「あれ? 偉くすんなりと」

と、からかい気味に答えると、


「正直、要なら出来ると思うし、しないだけで世間のバカな犯罪者たちを見下しているだろう。するならもっと上手くやれよと」

と、言ってきた。


「えっ! それ褒めてるの? 貶してるの? オレに犯罪者になれと応援してるように聞こえるぞ」

と、言えば、


「小さい時から要の考える行事や計画は、完璧だと思っていたからな。

よくこの視点や予測に用意が思い付くなと不思議に思ってた。こっちが完璧にしたと思っていても要が一言、こうなった時は? って突いてくる。それも藍のことなら尚更だった」

と、浅葱か言ってくる。


「へぇ~そんな風に思われていたんだな。意外でもないか」

と、俺が言えば、


「まぁ、要が犯罪者になるわけがないと思っているから他の人は、思考に入らないんだ。それだけ信用されていることだろう」

と、浅葱が言って、


「他の人はってことは、浅葱はオレを信用してないからオレが犯罪者になれると思ってたんだな」

と、揚げ足を取る。


「そうだな、表裏一体だと思ったんだ。

要が本気を出せば警察的、法曹的に活躍出来ると思ったし、犯罪心理を何故勉強しなかったのか? しなくても分かるからであって、敢えて警察庁の皇居護衛官として犯罪に日常的に関わらない方を選んだ」

と、浅葱が言ってきた。


「ほぉ~、いいところを突いてくるね。流石だ浅葱。

でも、半分正解で半分不正解、正解の部分で言うなら浅葱の言う通り認めるよ。

不正解で言うなら、犯罪は移るんだ、病気にみたいに。日常的に接することはオレにしたら病原菌を蓄積するようなものだ。そんな体や思考では藍と会えなくなる、兄では居られなくからだ。それだけだオレが正と言う場におれる理由は」

と、答えた。


「藍をワクチン扱いするな!」

と、浅葱が言えば、


「オレにとってはワクチンだ。正常で優しくなれる薬が藍だ。


薬が切れたオレは、どうすればいいんだ」

と、浅葱に詰め寄る。


「離れろ、要。オレはお前の薬にはなれないぞ」

と、浅葱にキッパリと言われた。


「当たり前だろ、そんなこと分かってる。冗談だ本気にするな」

と、答えた。


「で、カメラの男は誰だ?」

と、浅葱が話の始めに戻す。


「あぁ、誰だか分からなかったから、こっちに来たら皆に聞こうと思ってデーターを入れてきたが、誰だか分かったからもういいや」

と、切る。


「オイ、コラ! それじゃ報告じゃないだろうが」

と、浅葱が怒る。


「知ってるか? オイ、コラって鹿児島弁で昔の警察官が言ってたのが全国に、広まったらしいぞ」

と、浅葱をいなす。


「そんな雑学今はいらんわ! 何処の誰だよ」

と、浅葱も突っ込む。


「ハイハイ、この街の消防士をしている岡田君といいます。《スペア隊》の古川さんの彼氏だって。以上」

と、携帯の画面に映る岡田君を見せて報告すれば、


「その岡田君は藍に何を渡しているんだ」

と、浅葱が冷静に聞いてきた。


「アッ!それな~」

と、要が誤魔化すが、ギロリと浅葱に睨まれて、


「実はさっき寄ったコンビニで、この岡田君に偶然会ったんだわ。それで話を聞けて身元が判明したけど、彼女さんに頼まれて藍に届けたみたいだ。

古川さんに聞けば分かるでしょ。

それから藍は、その古川さんと岡田君と昨日会う約束をしてたらしい、藍からの誘いで岡田君の返事待ちだったことも聞いた」

と、要が言えば、


「それを先に言え!」

と、浅葱に突っ込まれる。





白彦神社に午前8時に警察車輌が次々に入ってくる。

朝イチとは、勤務が午前8時30分からだと思っていたが、何台でここに来るつもりだ。


「おはようございます。殿間といいます。昨日ご連絡頂いた辰巳さんですね」

と、体格のいい現場に居そうな署長さんだ。


「おはようございます。朝早くからありがとうございます。辰巳 要です。警察庁皇居護衛をしております。今日は私が付き添います。神社内のことは、宮司 瀧野 千種が担います。

遅くに、関係者各位の経緯のデーターは送らせて頂きました。裏取りの資料として参考まで」

と、挨拶とデーターの受け取り確認をした。


「大変参考になります。余分な人選をしないで済みました。こちらからは3班で動くつもりです。


1班は、周辺の捜索自宅からこちらの神社までの足取りを追います。聞き込みと防犯カメラの確認。

2班は、主に神社内の痕跡と、頂いた経緯の確認一般的にアリバイの確認ですね。

3班は、サイバー的な検索をしていきます。

が、担当者が言うには、少し変わった有名な方なんですね。書き込みの中身が掴めないと言っておりました」

と、殿間が言うが、藍は何も変わっていない。


「私たちは、事件性を見つけて欲しいのです。まだ、犯罪に巻き込まれたと確証がない中で、署を動かして殿間さんは大丈夫なんですか?」

と、要が態々署長自ら来てくれた殿間に気遣う。


「正直、データーが送られて来るまでは、色々な過去の事件を思い浮かべました。私はノンキャリの現場畑の署長ですから」

と、打ち明けてくれる。経験や実績が物を言う世界だ。


「事件としたら、初動捜査は完璧にされています。要さんが居たとしても良く纏まった経緯報告でした。私の署に来て欲しい位です」

と、浅葱が纏めた物をオレが警察用に直して、データー化したものを送った。


「私の従兄妹藍の為だからですよ。本人は他のことに興味を示しません」

と、言えば、


「藍さんのもう一人の従兄妹さんのことですね。最初に連絡をした浅葱さん」

と、初動捜査並みに纏めた浅葱を褒める。


「今から捜査致します。各自責任者を紹介します」

と、殿間から2人の警察関係者を紹介される。


「1班の責任者 川島です。2班の責任者 西川です。3班の責任者は、ここには居ませんが中野が担当いたします。総合的には私殿間が今回の総括責任者となります」

と、同業者とはいえ警察学校自体違うのだ、全然雰囲気が違う。


「よろしくお願いします。2班の西川さんに付けばいいですね」

と、要が確認すれば、紹介された西川さんが鑑識課と書かれた道具を抱えた動員された人たちが動き出す。

2班の中にも班分けがあるようで、三方に別れて動く。


「辰巳さん私は、社務所の班に合流します。一緒に来てもらえますか?」

と、西川さんに促される。


長い1日の始まりだ。

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