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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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身元判明

ブラックコーヒーと、エナジードリンクと、豆乳をカゴに入れてサンドイッチコーナーに、戻ると後から入ってきた客が、サンドイッチを見ながら悩んでいる。


「えっ!」


……その顔にピーンと来たら……じゃない!!……


藍に紙袋を渡していた男だ。ここで声かけるのは止めとくべきだな。先に陳列しているサンドイッチを抵当にとり、レジに行く。

さりげなく彼の行動を視界の隅に入れて、店員に袋を頼んでクレジットカードで支払う。


店外で待つのも不自然だと思い、一旦車に乗り込むと、コンビニ袋から缶のエナジードリンクを開けて2口飲むと、彼が店の出入口の扉まで近づくのが見えた。


俺の車の隣に停めたのが彼なんだろう。駐車場に停めたときは、両隣空いていたからだ。


扉を押して出てくる彼の顔を正面から見る。間違いなくカメラに写っていた彼だ。身長は俺と対して変わらないだろうが、鍛えている感はある。


同業者的な印象はするが、もっとソフトな仕草をする。隣に来てロックを外したライトの点滅で俺は、声を掛けてみた。


「おはようございます。少しいいですか?」

と、こんなに慎重に声を掛けるなんてあまりない。


彼は車の取手に手をかけていたのを離して、ちゃんと振り返る。


「突然声を掛けてすまない。オレは辰巳 要というのだが」

と、言えば明らかに彼の表情が変わった。


「辰巳さんって藍さんのお兄さん?」


……藍さん!! って


「オレこの街で4年前から消防士をしている岡田といいます。オレの彼女が藍さんと仲良くしているので、藍さんとは知り合いですが、何か有ったんですよね」

と、岡田君が自己紹介と藍との関係性を言ってくる。


「そうか、藍と知り合いなのは彼女さんの繋がりでかい? 誰だか聞いても?」

と、問うと、


「オレの彼女は、古川 結衣といいます。香山医院の湊君と幼馴染みらしくて藍さんのスペア隊になっているそうですよ」

と、岡田君が説明する。それを聞いて携帯のアプリを開く。ガーディアンとスペア隊の個人情報が出てくる。


「古川さんって、古川洋品洋服店のお孫さん?」

と、聞けば、


「えぇ、お祖母さんは今お店から手を引いてますが、結衣のお母さんと結衣でお店はしてますよ」

と、岡田君が付け加える。


「藍さんの事情は結衣の携帯に連絡が来てたので知っていますが、もともとオレと結衣は昨日藍さんと三人で会う予定だったので」

と、言われて驚いた。そんな予定は聞いてないしカレンダーにも書いてなかった。


……どう言うことか聞きたいが、岡田君がこの時間がどんな時間か確認しないと……


「すまない。色々聞きたいが岡田君の勤務は?」

と、聞けば、


「大丈夫です。今日は非番です」

と、答えてくれた。


「すまないな。岡田君が藍に紙袋を渡しているところが気になって声をかけさせてもらったんだけど」

と、聞けば、


「そうですよね。彼女に頼まれたものを届けただけですよ」

と、答えてくれるが、思案顔をする。


「藍さんのお兄さん。それは紙袋が気になったですか? オレが気になったんですか?」


「正直君のことが、気になったんだ。オレが知らない人物であるけれど、藍が親しげに警戒していない相手が誰だかわからなかったからね」

と、答えた。


「確かにオレは地元の人間ではないですからね。実家は都内ですが、大学は藍さんと同じです。藍さんのお兄さんの顔は大学で見かけたことは有りますよ」

と、言えば、


「オレが大学に迎えに行ってたのは藍が1年生の時か? 藍が体調崩すことが多かったからな」

と、答えた。


「そうでしょうね。ちょっとした有名人でしたよ」

と、言って、


「藍さんのお兄さんが、オレに声を掛けて確かめたかったことはこれで大丈夫ですか?」

と、確認してきた。


「そうだな、すまなかった。岡田君は藍といつ約束したか教え貰えるか? 嫌ならこっちで手続きすれば全部見れるが、藍のプライベートなことをオープンにするよりは君から聞いた方が早い」

と、携帯会社に手続きすれば藍の通話アプリメールを一斉に見れるが、岡田君が拒否ればするしかない。


「別に隠すつもりもないですからいいですけど、オレとじゃなく結衣との個人でのやり取りですよ。藍さんから、えっと昨日じゃなく一昨日の晩にシフトの確認の上でオレを入れて会いたいと、連絡があってオレは了承の返事を朝一に入れて、明けから仮眠を取って結衣を迎えに行ったら、結衣から藍さんのことを聞いたんです」

と、岡田君が説明してくれる。


「古川さんから藍にはいつ連絡を取ったんのか知ってるかい?」

と、聞いてみた。


「実は昨日のオレの返事待ちらしくて、朝の返事に対して結衣は仕事終わりに連絡をもらうはずでしたが、お昼過ぎですよね後で結衣に聞きました。オレが寝てるのを知ってましたから、オレが迎えに行くまでに何事もなく会えればいいだろうと、会うまでは大変なことになってるのを知りませんでした」

と、藍からの連絡待ちであることを教えてくれた。


「じゃぁ藍と連絡は岡田君は直接でないんだね」

と、確認をすれば、


「はい、藍さんは彼女持ちに直なんてしませんよ。今までも結衣を通して会っていますし、彼女と付き合う切っ掛けは藍さんなんで、オレ達にとっても大切な人です」

と、岡田君が言う。


「藍のことで古川さんと岡田君に連絡が行くのは、ガーディアン通してになるが、オレのIDを岡田君に教えるよ。オレが彼女さん通しにするのも何だしね」

と、携帯を岡田君に見せる。


「わかりました。そうして貰えると助かります。こちらでもお知らせ出来ることがあれば送ります」

と、携帯のアプリを開く。チラリと見えた待受画面が彼女さんと藍との笑顔のツーショットだ。


オレが携帯の待受画面を見たと悟った岡田君が、悪気もなく正面にして、見せてくれる。


「オレの御守りみたいなもんです。藍さんの許可は取ってますよ。彼女が選んでくれたんです」

と、照れながら言う。



「落ち着いておられるんですね」

と、岡田君に言われた。


「えっ?」


「失礼かも知れませんが、髭も当てられているし取り乱した感がないので、結衣の話ではガーディアンの皆さん過保護を拗らせていると聞いてたので意外でした。

オレの話をちゃんと聞いてもらったし、内心はどうか知りませんが、知らない人から見たら、何か有ったようには見えません」

と、言われ考えた。


「そうかもな。オレ一人なら頭に血がのぼって人に当たったり後先考えずに、権力使ったりしてたと思う。実際にそう考えて動きそうになったけど、オレだけじゃないからさ、止めてくれる人、行動を纏めてくれる人、分析する人、心配して黙ってくれる人が周りに居るから、藍が繋いだ縁が沢山有るんだ」

と、答えると岡田君は納得顔をした。


「それじゃ彼女が部屋で待っているので帰ります」

と、車の取手に手を掛け引き開ける。


「あぁ、連絡するよ」

と、こちらも車側に戻る。岡田君の車が見えなくなってから駐車場から車道にでた。


「あれ? 何か聞き忘れた?」

と、頭が働いてないと実感するが、信号待ちでドリンクホルダーから缶を口元に持っていき、勢いよく飲む。


……そうだ、岡田君は最初に俺に聞いてきた。紙袋が気になったのか? 岡田君のことが気になったのか? と、当然誰か分からなかった人物が気になったと答えたが、彼は紙袋の中身を知ってるが、彼女さんに頼まれたと言ってたしな…………



車は白彦神社に、静かに着いた。上着とコンビニ袋を持って参道の緩い坂道を歩き、鳥居の前で挨拶に頭を下げる。

本堂に向かって左側を通って行き、挨拶を習わし通りにして社務所に顔を出すが、誰も居なかった。


本堂の方に行ってみると奥から光が漏れている。きっともう一人の相棒が夜通し調べているのだろう。昨夜から分かったことを共有しておくべきだ。軋む廊下を光が漏れいる方に進む。

ここでも短編の岡田君が出てきます。

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