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虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます  作者: 緖篠 みよ


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22/99

ファンタジーでした

『そなたきづいておらぬのか?』


「何をですか?」


『そなた、あのままでは、すぐにはかなくなっているよな』


「はかなく? 儚く?………死ぬという意味ですか?」


……えっ?、今ままでも、倒れたことは数知れずあるが、命の危険性までは、言われたことない。

危険性が全く無いわけではないが、今の医療技術で生命維持は出来ると思う。生命維持は……


『きづいておらなんだか?』


「…………自覚がないことも、ないです」


『では、きづいておったのだな』


「おかしいなーと、なんでかなーと、思っただけです」


……確かに、この頃、訳もなく動けなくなることがあった。空腹感もないのに、力が入らなくなったり、思考が止まったり、身体が軋んで痛みがでたり……


おかしいのだけど、発熱やその他の症状がない。


ただ電池切れのように動けなくなる。

疲労感や倦怠感もなく、糖分を補給すると、動けるようになるけど、この前の血液検査の結果は、異常は無かった。

貧血気味ではあるけど、血糖値は正常だ。

低血糖だと思うけど、データを自分で取ってから順一先生に相談するつもりだった。


次の受診の時に、


『だから、もどしたんだかな』


「戻したとは、私がこちらの人間みたいに……」


『せいかくには、はんぶんのはんぶんだ』


……半分の半分? 四分の壱 25%、父方? 母方?


「それは、私がこちらの方の血が入っていると?」


『しらぬのか?』


……もしかして


「私と浅葱兄の髪に朱色が入っていることと、関係がありますか?」

と、藍は自分のこめかみのところ一房を持ち上げて聞く。


『けうなやつのことか?やしろのおのこか?』


……けう? 稀有? 珍しい?


「おのこ? あっ男の子 そうです」


……浅葱兄が?


『そうだな』


と、セイが答えるくれるが、でてくる言葉選びが昔の日本語だ。

最近のわたしは、日本語を頭のなかでこちらの言葉に変換して考えながら話しているのに、今度は日本語の昔の言い回しを、知ってる日本語に変換して理解しようと、頑張っている最中だ。


……頭が、疲れる。


『そなたのいえは、おのこはうまれないはずなのだ』

と、セイはうねうねしながら、答えてくれる。


……わたしのうち? 瀧野家。


「本当にうまれないのですか?」


『われが、りょうちしておるなかには、そのおのこしかおらぬな』

と、説明してくれる。


「浅葱兄は、大丈夫なんですか?」

と、藍が聞けば、画面一杯にセイの顔になり、


『そなたのははが、かごをおのこに、わけてしったからな』


「えっと、かご? かごをわけたのが、いけないのですか?」


『そのかごは、もともとそなたにいくはずだったのだが』


……かご? 加護? わたしの母、朱里が浅葱兄にあげた? いつ?


「どのような状況で、そうなったのでしょう?

それに、セイ様は、その、携帯の中に入ったままなのですか?」


『われは、もともとこちらがわのものじゃ。こちらのよりしろに、かえてもよいが、ことばもかわるぞ。

よいのか?』


「セイ様は、この世界の神様なんですか?」


『そちらがいう、かみとなるそんざいではない、そちらのやしろと、おなじだ。

うやまっているのは、ものでなく、ことわりであろう』


「おっと、そうでした。ことわり、り、自然の変換でいいのよね」


『おのこは、みずのなかで、はかなくなりながれるばずだったのだ。

いままでも、そうであったのだから。

そなたの、ははがしらずとはいえ、そなたにうみわたすはずの、かごをおのこに、わたしてうつつに、おるであろう』


……うつつ? 現? なんとなく、分かってきた。


翠おばちゃまが、浅葱兄を身ごもっていた時は、何回も危なくて大変だったと、峯子おばあさん先生が言っていた。

その時は、学生だった母、朱里が付きっきりで側にいたと、言ってはいたが、どうやって加護を渡したの?


浅葱兄は、生まれるまでが大変だったが、生まれてからは医者要らず、手が掛からない。


と、反対に朱里が、わたしを身ごもってた時は、父 誠が心配するぐらい、何をしても大丈夫だったと、教えてくれたよ。

わたしが、生まれてからはずっとお医者さんに掛っていることについての話。のついでに。


わたしは、加護切れで儚くなりかけていると。



……わたしの虚弱に意味があった?……


「分かりました。セイ様は、そのまま携帯の中で、居てくれるのですか?

それとも、時間が決まっているのですか?」


……分かりつつあるが、聞きたいことは山程ある。

今回限りなら、体調云々言ってられない。


『じかんというものは、われにはないが、そなたのことは、われのおちどもふくまれておる』


……おちど? 間違い? 失敗? 何だろうね。母 朱里がしたことだと思うが、それに浅葱兄がいるならそれで良いことだ。


「落ち度とは、何ですが?、わたしの母 朱里がしたことであって、セイ様はわたしを助けてくれたのでしょう?」


『そなたが、こちらのかごしか、うけつげなかったことだな』


「そらなら、浅葱兄にも言えるのでは?」

と、疑問を伝えた。


『おのこも、そうなんだが、そなたのははらかうけたかごと、うまれもったかごと、で、うつつにねずいておるではないか』


「私は、母からの加護が無いから、儚くなると?」


『そなたのことは、われにもせきがある』


……ふっと、疑問が沸き上がる。


「あの、セイ様、白彦神社の神隠しの伝承は、セイ様が為さったことですか?」


『すべて、われではないが、いととして、くだしたことはあるな』


「意図としてと、いいますと?」


『そちらみこは、めにうるわしいものが、おおくてな、ふとどきものが よなよなやしろにひそむのじゃ

が、そちらは、みのまもりに、たけておったであろう、

だか、なかには、こうにたけたものもおったので、われのいかりを、かってとばしただけだ』


……わぁー! 夜這い! レイプ目的か! 昔の方がタチ悪そう。

伝承の中には、確か高貴方もいたとか、それで昔話に残っているだよね。

もしかして、雑魚はもっといたりして……居たんだろうな伝承になるんだもんね。


道理で、白彦神社は武道に長けた人が、ずっと名を残しているはずだわ。納得。

今までも、守ってくれていたんだ。セイ様が。


「ご先祖様を、助けていただきまして、ありがとうございます」

と、藍は両手で持ったままの、携帯に向かって頭を下げる。


『われのみこだ、あまりまえであろう』


「私は、アイと言います。セイ様」


『アイであったな、わかった。そうよぼう』


……そろそろ、夜が更ける。このままでは、朝になってしまうが……


『われをもっておれ。そのほうが、アイにかごがいきやすいうえ』


「えっ」

と、驚いていると。


『こちらのほうが、いきやすいであろう?』

と、セイ様に言われ、考えた。


……そう言えば、不調続きにだった身体が、初日こそ倒れたが、3日ですんだ。

その後も寝込んでも、1日ですんでいる。


わたしも、不思議に思っていたことだ。

あれだけ、低血糖的な症状で、糖分を補給していたのに、手元にある三粒の個包装キャンディには、手を付けてない……


「私は、もう、帰れないのですか? もしかして」


『こたえぬ』

と、今ままで、説明してくれたセイ様が、答えられないではなく、答える気がないと。


「えっ、どうして?」


『いま、かえしてもおなじこと。それに、かえるにもじきが、あるのでな』

と、セイ様が言ってくるが、


『アイ、すこしやすめ、そなたには、まだつらかろう?』


……確かに、辛いというより、身体が横に成りたがっている。


「わかりました」


……でも、これは朝、怒られる体調だね。


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