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「巫女だよね」
と、シアン陛下が聞いてきた。
「はい。つい先日に成ったばかりですが」
と、藍が答えた。
シアン陛下が、巫女とはどんな仕事とかを説明したみたい。
一斉に頷く。
「何と説明されたのですか?」
と、シアン陛下に問うたら、
「神殿みたいな所で、神官やその手伝いをする女性と言ったが、合ってるか?」
と、答えてくれた。その続きに問うた。
「シアンおじいさまは、日本語が話せるのですね。外国の方は、取得されるまで時間が掛かると、聞いていますが」
と、言うと、
「そうだろうな……話せても文字は略覚えていない。アイと話していても、思い出しながら話している感じだ」
と、寂しそうに仰った。
……でも、それ処ではない。先に自分のことを言ったが、このまま甘えていけないし、
「今度は、私から皆さんにお聞きしてもいいですか?」
「いいぞ」
と、シアン陛下が返事をした。
「ここは、何処ですか?」
この場所の情報もないし、言葉が分からないけど知っておくべぎだろう。
「ここは、カーディナル王国の西側でダーニーズウッド辺境伯領だ」
え、やっぱり聞いたことないし、辺境伯って昔の中世やお貴族の世界観だよね。
そのまま説明してくれるみたいだが、シアン陛下の向かいに座っている緑髪のおじいさんを見て、
「ターニーズウッド辺境伯前領主 カールだ。隣が次期領主のミカエルだ。現領主夫婦は、領土を留守にしているから、ミカエルがこの館を取り仕切っている」
……祖父と孫になるんだ……
「後ろに控えて要るのは、アートムとルカ親子だ」
……良かった。先に祖父と孫って聞かなくて。
祖父や孫、父と息子と紹介されていく内に、藍は段々心細くなっていく。
常にわたしの周りには、両親を始め祖母、伯母、従兄妹がいた。忙しい両親と年の離れた従兄妹と共に香山家が、寄り添ってくれた。
だが、藍が大学生に成ったことを期に、保護者から少し自立の為に距離を取った。
藍の両親は外務省にお勤めで、留守にしがちで一緒に暮らしている従兄妹の要も、警察庁で勤務以外でも訓練もあり忙しい。事件や事故を追う仕事ではないが、皇居護衛官として皇居にお勤めだ。
辰巳家は、父 誠の兄 剛伯父さんが跡取りだが、若い時に要の母親と離婚して、一人で官舎に住んでいる。
そのため、辰巳家は父 誠、母 朱里、従兄 要とわたしの四人で生活している。
瀧野家は、母方の実家で祖母 千種、伯父 修次、伯母 翠、従兄 浅葱の四人暮し。
伯母 翠が跡取りの為、伯父の修次が入婿してくれたのだが、修次は蛇塚家の跡取りを無下した。
修次には、兄 賢一がいるのだか、お仕事上家を出ている。その時に修次が家を継ぐことに成っていたが、修次が翠に傾倒したため蛇塚家本家と兄 賢一に、凄く怒られたそうだ。
修次の子供が出来たら、蛇塚家にと言う話しもあったが、生憎浅葱一人しか居ないので、本家が管理することになった。
その修次の兄 賢一だが、お仕事がお休みの時は、過ごした蛇塚家でなく、瀧野家で滞在している。
と、言っても殆どお休みは無く、宮内庁皇太子付き侍従で、皇居護衛官の要兄とも面識がある。
ここまでが、藍中心の身内だが、血族以外では香山家のメンバーは身内みたいなものだ。
香山家は、先代宗一と妻 峯子は祖母 千種の幼馴染みだ。医院を継いだ順一が、藍の主治医も引き続き診てくれている。
順一には、三人の息子がいて、長男 樹は、要と同い年で27歳。医師免許を取得後は、大学に残り研究員として企業と難病研究に携わっている。
次男 湊は、今年国家試験を受け医師免許を取得した。これから大学病院で色々な経験を積んでいく段階になる。
三男 司は、大学三年生。湊の次にわたしに寄り添ってくれる、優しい弟みたいな兄みたいな。心理学精神科を専門職にしたいそうで、カウンセリングを勉強中だ。
……みんな心配しているだろうな。浅葱兄、要兄なんか大丈夫なんだろうか?権力使って何かしてないといいけど……
先ず、わたしが何とか帰れることを考えよう。お世話に成るとしても、言葉を覚えて出来ることをしないとだね。
言葉や習慣を教えて貰えるよう頼んでみるか。
シアン陛下がここにいる人達を紹介してもらって、黙ったまま思案しているわたしを待っててくれた。
藍が元の場所に戻るため、シアン陛下にお願いする。
「シアンおじいさま、私は、元の世界に戻ります。でも今は、その方法が分かりません。探しすにしても私一人では一日も持ちません。出来ることは少ないですが、言葉を習慣を頑張って覚えます。今すぐ帰れるならいいのですが、その保障もありません。
私に生活出来る場所の提供と、知識を教えてくれる人を紹介していただけませんか?と、ミカエルさんにお伝え下さい」
と、今はこの館を預かっているのが、次期領主のミカエルだと説明されたので、言ってみる。
シアン陛下は、少し考えてカールさんとミカエルさんに話をしてくれているが、時々わたしの方を見ながらだ?
「アイ、私は此処には住んで居ないが、滞在中の期間なら、言葉や文字を教えてあげよう」
と、シアン陛下は言う。
「どのくらい此方にいらっしゃるのですか?」
「そうだな、期限を決めている訳ではないが、ずっと城を空けておく訳にも行かぬがな」
「城!?……城って?何処のお城ですか?」
「カーディナル城は、王都にあるから王都だな」
「王都!!……王都で?何をなさっているのですか?」
「まぁ、国王だから一様執務はあるけどね」
「国王!!……国王って…?……一番偉い人ですよね?」
「そうだな。一様側近や任している宰相はいるけど」
「えっ! えっ! えっ! ちょっと目が少し回る気がします。ちょっと休んでいいですか?」
と、ずっとわたしとシアン陛下の会話風景を見ていた、ディービス医師がシアン陛下との間に入って何か言っているが、本格的に目が回りだした。
わたしは、その後発熱して、次の朝まで起きれなかった。
次の朝、ディービス医師の診察で動ける様になると、わたしが、目を回した後はディービス医師を入れて話し合われたようだ。
シアン国王陛下が、此方に滞在中はわたしのおもりを買ってくださり、わたしは、開き直りシアン国王陛下について回ることにした。住むとこもそのまま客室をお借りしても良いそうだ。
シアン国王陛下について回り、物の名前や話す内容に聞き耳をたてて、後でその音の意味を教えてもらうことにした。
その間、ルカがシアン国王陛下とわたしの後につき、護衛と雑用を担ってくれていた。
ふっと、わたしの着てきた巫女衣装や、携帯を忘れているのに思い出して、衣装の在りかを聞いた。
続き部屋の収納棚に一式下着まで全部おいてある。
わたしが、意識を飛ばしている時に、着かえさせてくれたロッティナと、ノアさんカルマさんは、わたしの下着に絶句していたらしい。
小さい布が上下にあるだけだもんね。
巫女の白衣の下には専用の肌着を着ていたが、大学一年生の時に自立予行にアルバイトを始めてみた。
が、コンビニで三時間の勤務でも、顔色を悪くするわたしをサポートしてくれたバイト店員さんが、1つ年上のデザイナー志望の専門学生さんだった。その人が下着に細かい人で、色々教えてくれた。ちゃんと白い上下の下着にしてて良かった。
アルバイトは、虚弱なわたしが体調を維持仕切れず、ガーディアンにばれたが、自立の焦りや意地で続けてみた。
が、ズルズルと体調を崩し一年出席日数割れで五年通うことなった。
ガーディアン以外の人とは、違う世界で楽しかった。
わたしの持ち物は、巫女衣装一式と携帯。袖に入れていたタオル地のハンカチと、除菌シートに三粒の個包装のキャンデイだけだ。
絶句したいのはわたしの方だ。
私物といえば、下着と袖に入っていた物と携帯だけだ。巫女衣装は白彦神社のものだし、社務所に置いてきたトートバッグの中もたいした物はないが、アッ薬!小分けにした常備薬。
兎に角、洗い場を借りて下着と肌着、足袋は洗っておこう。
何と、この数日で、虚弱だが耳の性能はとても良かった。シアン国王陛下の協力の元と、今までの学習能力と、両親の日頃の外国語習得技術のお陰で、何となく会話が出来るようになってきている。
シアン国王陛下のように、すんなり会話が出来るわけではないが、相手もわたしに対して簡単に伝わる言い方をしてくれる。
ダーニーズウッド家の皆さんは、親切だ。
ディービス医師も、ロッティナさんもメリアーナ様の往診以外で、様子を見に来てくれる。グローおじいさま先生も。
グローおじいさま先生に、その虚弱さでよく、生きてこれたなと、言われ。
わたしには、大勢の保護者がいて導いて貰ったと、途中で泣きそうになったが、ディービス医師に熱が出るよと注意されて踏みとどまった。
洗い場を借りにと、巫女衣装以外の物を肌着に繰るんで。ハンカチや小物は後で小物入れを貰えるか、聞いてみよう。
と、横に置いた携帯に目が行った。
始めこそ手に持ったまま拘束されてから、持ち続けていたが、ノアさんにお手洗いに連れて行かれる時に、袖に入れたまま放置していた。
電源を落とすわけでもないまま、充電はないよね。
わたしの携帯ケースは、手帳型ではなく只のハードケースだ。色がインディゴだが、下の部分にヒヨコが並んだイラストがある。
ケース側が表になっているのか思ったが、
「えっ! 画面側は、真っ黒のはずだよね」
何かしら、視線を感じて……
「えっ! 何か動いた? 傷防止シートに空気でも、入ってる?」
一般的に、携帯は待ちの時、真っ黒になるよね?パソコンならスクリーンセーバー画面で、動くのがあるけどわたしは、そんな設定してない。
「何で、動いてるの? 画面の中のもの?」
……虫でも入ったのかなぁ? この世界の虫って精密機械に入れるの?…………こわっ……
虚弱だが、視力もとても良い。
小学校の身体測定の時に2.0だったのを、同級生の男子に、
「何でも良く見えるのは、おかしいんだぞ!いやらしいんだー」
と、言われてから1.5に留めている。
後で、その子が視力があまり良く無く、何にも出来ないわたしが、視力が良いのが気に入らなかったらしいが。
携帯の画面に、何か写り込んでいるのか?
と、近付いてみると、真っ黒な画面に何か動いてる?
「えっ! 何」
と、良く見ようと手に取ったら
「ヨッ!」
と、画面いっぱい。
竜さんらしい顔が、ニコッとしたような感じで、声を掛けてきた。
「どなたですかー!?!」




