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尊い日常

初めまして、右も左も分からないまま投稿してしまいました。

最近は、文章も文字も書くことがなかった生活を送っておりましたのに、何を血迷ったのか冒険しています。

暫くの間、お付き合い下さい。




目に止めて読んでくださる方々へ


このお話は、主人公のもって生まれた虚弱体質故の悩みや、環境などを展開していくお話です。

外見的には、わからないことや視覚的に分かることなどをお話の中に構成として入っています。

3月下旬、 白彦神社の境内から清々しい匂いでなく、青い土の匂いが混ざりあった春の風が、社務所の窓から入ってくる。


掃除を終え換気に開けていた窓を閉めようと、邪魔にならないような置いたカバンと、読みかけの小説を手に持ち窓側へと向かう。



辰巳 あいは23歳。今年一年多めに通った、大学を卒業して、祖母が宮司を務めている白彦神社に正式な巫女として採用された。採用されたとはいえ試験を受けたわけではない。


ありがたい身内雇用だ。


不採用通知ばかりもらう、何処にも就職出来なかったわたしを、祖母と次期宮司の伯母が当てがってくれた。


そこに行く着くまで、わたしなりに就職活動やエントリーシートを出したり、大学の先輩を頼ったりしてみたが軒並み全滅だった。


成績や人となりで不採用になったわけではないと思うが、嘘偽りなく虚弱体質を明記すれば、仕方ない。


虚弱体質……体質


病弱 虚弱は病気ではない。


病気になりやすい、病気にかかりやすい体質のことを表すだけである。


日に当たり、肌が赤くなるか、黒くなるか、直ぐに元に戻るかと、いう体質と同じ。

世の中 虚弱な人は沢山いるけど、それでも程度があるらしい。



社務所で仕事の準備を仕掛けていると、祖母の瀧野たきの 千種ちぐさが声を掛けてきた。


「おはよう。藍、今日の体調は?」


「……」


「今日の体調は?」

と、笑顔で聞いてくる。


「……はい。良です。浮腫や喉の痛みなし、お小水便異常なし、熱は36.8度です。春先にしては、調子が良いです」

と、千種に返事をした。


季節の変わり目は、体調不良になりやすい。でもそれはわたしだけでなく、一般の人にも言えることだと聞いたが……


「この報告いつまでするの?」

と、何回かそろそろ恥ずかしいので、止めたいと泣きついている。


「そうね……この報告がないと、藍は家から出られないと思うけど……」

と、ため息まじりで返事がくる。


「はい」

……わかってはいます。わたしの為だと。


先ず、わたしと対面したら体調を聞くのが、わたしの《ガーディアン》の義務になっている。一日に何回も体調を聞かれるが、これがわたしの日常になっている。


千種が頬に手を添えながら

「仕方ないでしょ。藍が自分の不調を正確に伝えられなかった小さい時は、私たちが気付けなかったことを悔やむだけだったけど、今は自己管理できるでしょ?」


幼いわたしは、熱が出ていても身体がだるくても、周りにうまく伝えられず周囲がわたしの不調に、気が付いた時には遅く悪化した状態で、何日も寝込むことになっていた。


「……その通りです」

と、項垂れながら


「午前中は何をすればいいですか?」作業の指示を受けることにした。


千種が社務所の中を見回して

「午前中は、みどり浅葱あさぎもいないから境内は後にして、片付けや御守りの仕分けをしてくれる?」


作業机の上に置いてある箱に目を向けた。


「はい。それなら今からしますね」

と、箱に手を添えて移動しようとしたら、千種がわたしに視線をむけて

「藍 今寒くないの?」

と、上から下まで見て言う。


わたしはいつも通り、白衣に緋袴の巫女衣装だ。


「午前中はまだ寒いから、ストーブを付けなさい。動かないと冷えるから、もう一枚何か羽織って」

と、注意された。



3月下旬でそろそろ桜が咲く頃だが、室内はまだまだ寒い日がある。外は暖かそうだが、じっとしているとやはり中は少し冷える。


千種の忠告通り、部屋の隅に置いてあるストーブのスイッチを押して付ける。ストールを肩に掛けわたし専用の毛糸で編んだ膝掛けをして、作業机に向かって座った。



白彦神社は東京都の端にあり、日本最古の本、古事記より前から祟敬神社すいけいじんじゃとしてある。余りにも昔過ぎて、正確な建立時期が明記されているものがないそうだ。


宮司の祖母 千種、禰宜ねぎの伯母 翠、同じく従兄 浅葱なら、詳細は把握しているだろうが、学生時にお手伝いとして来ていただけの巫女アルバイトでは、教えて貰ってない。


禰宜職の翠と浅葱は、本庁に手続きをしに午前中は留守にしている。白彦神社の巫女になったのなら、ちゃんと勉強しないといけないよね。

二人が帰って来たら教えて貰えるように、頼んでみようか。


巫女は宮司や禰宜と違って神職の資格が要らない。だから専門の学校を選らばなかった。



従兄の浅葱は、わたしより五歳年上の28歳だ。神職以外にも、高校の現国古文の教員資格も取得している。


瀧野家では男子は産まれないと、伯母 翠が妊娠中に女の子用のベビー服や赤ちゃん用品を買い揃えていたが、浅葱が産まれて大慌てで男の子用を出産祝いに、周りにおねだりしていた。

後々 伯母が買い揃えた女の子用は、五年後、妹の朱里が妊娠した時に、一式お下がりして貰うことになる。



瀧野家の代々主治医をしている香山家。

香山 峯子おばあちゃまは助産師で、伯母 翠、母 朱里、従兄 浅葱、わたしやご近所さんも、峯子おばぁちゃまにお世話になった。


峯子おばあちゃまの旦那さんが代々医師の家系で、 先代宗一先生だ。わたしが産まれてからも主治医をしてくれていたが、息子の順一先生に代替わりした。


順一先生が都内の大学病院で、お勤めの時長男 いつき、次男 みなと、香山医院を継いでから三男 つかさと男三兄弟と賑やかだ。


瀧野家の千種と香山家の宗一は幼馴染みで、峯子は千種と中学校の同級生で付き合いは長い。

香山家の順一と瀧野家の姉妹とは、年こそ離れているが兄妹みたいに仲がいい。

わたしにとっても身内当然の一家になる。


香山家長男 樹は、辰巳家の従兄 かなめと同級生で27歳。次男 湊は、わたしより1つ年上24歳。三男 司は、2つ年下21歳。


湊と司は年が近いから本当の兄妹様に育ったが、最近は周りが誤解してる感じがする。

みんな過保護だから仕方ないが、わたしから解放してあげないとだね。


香山家三兄弟とわたしの従兄二人が、大変オモテになるのに、シスコンを吹聴していることに気に悩む。


そろそろ義姉が欲しいと訴えてみようか。


ストーブの三時間延長ブザーに、一旦は延長したももの部屋は十分暖かい。

一人で作業していると、集中しすぎてお手洗いや休憩を取らなかった。

キリのいいとろまで後少し、終われば早めだが昼食の手伝いに行こう。


「あっ……」立て続けに携帯が鳴った。


「おばちゃまと浅葱兄からだ」

携帯の通知画面に、二通届いた。机の上を片付けて立ち上がり、画面を開く。


『体調はどう? 母さんから“良„のメールはあったけど、今からこっちを出るからお昼は待ってないで先に取ってね。変調ないならそのまま待っててね』

と、伯母から


『体調は変わりないか? 変調なければ本庁からの、手続きがあるから待っててくれ。返信 要』

と、浅葱からのメールを読み


「ハイハイ。 良ですよ」

と、返信をしかけたら


「えっ!」――踏み出した足下の畳に、穴?

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