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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

変わったとしても

作者: 香月雷霧

処女作です。

「変わったとしても朝陽のことが好きだよ。」


黒い髪をなびかせながら君は言う。



「行ってきます。」


誰もいない家に声をかけ玄関を開ける。

玄関を開けた僕に気付き、長く綺麗な黒髪の女の子が声をかけてくる。



「おはよう、朝陽!」

「おはよう、瑠夏」


朝の挨拶を交わしながら鍵を閉める。


僕、春日井 朝陽(かすがい あさひ)には幼馴染みがいる。


夜霧 瑠夏(よぎり るか)

僕の幼馴染で好きな人だ。

見た目よし。スタイルよし。勉強よし。スポーツよしの良いとこづくしだ。

天は二物を与えずとはいうがまったくそんなことはないらしい。

そんな瑠夏と幼馴染になれたのはとても幸運なことだと思う。


対して僕はこれといって特徴はないと言える。

勉強、スポーツは凡。努力はしているが秀でてるとは言えないだろう。

強いて言うなら女性っぽい顔付きだと言われるくだらいだろうか?

こんな僕じゃどう考えても釣り合わないなと思う。



「なにか考え事でもしてるの?」

「いや、なんでもないよ。」

「そう?難しそうな顔してたけど...」

「嘘ついたかも。瑠夏みたいな子と幼馴染で幸せだなって。」

「ちょ、いきなりなに言ってるの!?」


顔を赤く染め、戸惑いながら瑠夏が言う。

心なしか幸せそうな顔をしてるのは気のせいだろうか?



「ふと思っただけだよ。」


そう答え、談笑しながら二人で学校へと向かう。




学校に近づくにつれこちらを伺うような視線が増える。

少し嫌な気持ちを抱えながら校門、玄関をくぐり教室へ向かう。



「瑠夏はよー!」

「おはよう瑠夏ちゃん!」

「夜霧さんおはよう!」


「みんなおはよう!」


教室に入るとみんなが瑠夏に挨拶をしている。

それを横目に見ながら僕は自分の席へ向かおうとすると



「朝陽!お昼一緒に食べようね!」


瑠夏が声をかけてきたので「うん」と頷き席へと座った。



「相変わらず夜霧さんは人気だねぇ。」

「ほんとに自慢の幼馴染だよ。」

「ただの幼馴染なの?」

「幼馴染だよ。僕じゃ釣り合わないよ」

「そんなことないと思うんだけどなぁ...」

「それよりもうすぐ予鈴鳴るよ」


前の席の古池 風音(ふるいけ かざね)といつものやりとりを交わす。

風音は席替えを行った際に前の席になりよく声をかけてくれる。

イケメンで心遣いができるとてもいいやつでむしろ僕なんかよりよっぽど瑠夏にふさわしいと思う。

正直こうやって学校で苦が少なく生活できているのは風音と瑠夏のおかげだ。




そんなことを考えながらSHR、授業が何事もなく終わり昼休み。



「夜霧さん、よかったら一緒にお昼どうかな?」

「ごめんなさい、今日は朝陽と食べるから...」

「そっか、それならまた今度声かけるね。」


クラスメイトからの誘いを断り瑠夏が僕の席のほうへ来る。



「朝陽、屋上でお弁当食べよう!」

「わかった、準備できてるから一緒に行こう。」



瑠夏からの誘いを受け屋上へと向かう。

外は雲一つ無い青空でとても気持ちが良く、多くの生徒が利用している。



「あそこのベンチ空いてるからそこで食べよっか。」

「分かったよ。」



ベンチへと座りお互い食べる準備をする。



「「いただきます」」


二人で手を合わせお弁当を食べ進めていく。



「相変わらず朝陽のお弁当は美味しそうだね。」

「よかったら食べる?」

「ほんと?欲しい!」

「卵焼きでいいかな?」


そう言いながら卵焼きを箸でつまみ瑠夏の口元へと運ぶ。



「あーん...ほんとにいつも美味しいね!」

「ありがとう。毎日早起きして作ってるかいがあるよ。」



うちの家は僕が高校に上がるタイミングで父親が海外赴任になり母親もそれについていくことになりほぼ一人暮らしであるため毎食自分で作らなければならない。

毎朝6時頃に起き夕食の残りや、卵焼き、ウィンナーなどを詰めなければいけない。

それでもこうやって瑠夏に喜んでもらえるなら頑張ってよかったなと思える。



「お返しに唐揚げあげるね!あーん」

「あ、あーん...美味しいよ。」

「よかった!今日は私が作ったんだ!」

「そうなんだ。すごく美味しかったよ。」


正直好きな人からのあーんはとても恥ずかしいものがあるが意識してるとバレないように冷静に努める。

料理も上手とは本当に欠点がないなと思う。



「「ごちそうさまでした。」」


お弁当を食べ終え教室へと向かう途中



「トイレよってから戻るね。」

「分かったよ。またあとでね。」



瑠夏と別れトイレへ入ろうしたところ中から、先ほど瑠夏にお昼を断られたクラスメイトの話し声が聞こえる。



「いいよな~春日井のやつ。イケメンでもないのに夜霧さんと一緒にお弁当食べれて。」

「まぁまぁ、でもただの幼馴染なんでしょ?」

「そうだけど釣り合ってないじゃん。」


そこまで聞き回れ右をして走り出す。



「もしかして誰かいた?」

「分からん。けどお昼断られたからってそんなこと言うもんじゃないぞ。」

「すまん、確かに良くなかった。イケメンじゃないけどあいついいやつだもんな。」



一人になりたい。

体調も悪くなってきたので保健室へと向かい早退をしたい旨を伝えた。

教室へと荷物を取りに行く。



「どうしたの朝陽?」

「少し体調が悪いから早退させてもらうことになったんだ。」

「え、さっきまでは大丈夫そうだったのに...」

「瑠夏と分かれてから体調悪くなっちゃって。」

「そうだったんだ...もし悪化したりしたらすぐに連絡してね。」

「分かったよ。」


瑠夏と言葉を交わし教室を出て家へと帰る。



「ただいま」


リビングへは行かず自室へ向かう。

荷物を放りベッドへ倒れこむ。

何もやる気が起きない。

明日が休日で本当に良かったと思う。

瑠夏との距離が近いためいずれこうなるだろうなと思っていたがかなりきつい。

釣り合ってないのは自分が一番分かっている。

人に言われるのが一番辛い。

こんなことになるなら女として生まれたかった...




「体がだるい...」



いつの間にか寝てしまっていたのだろう。

スマホを確認すると18:00を過ぎていた。

瑠夏から何件かメッセージが着ていたが寝ぼけた頭でシャツを着たままで寝てしまったため皴になるだろう思い重たい体にムチを打ち洗面所へと向かう。

鏡の前でシャツのボタンへと指をかけたときに柔らかい感触があり鏡を見る。



「えっ...」


これまで何千回、何万回と見た自分とは違う姿。

茶色がかった髪に大きい目元。綺麗に通った鼻筋に血色のいい唇。

胸は主張しすぎないほどに膨らんでいる。

なにかの間違いだと思い自分の胸元を見る。

そこには二つの小ぶりの山が2つ。



「なにこれ...ボクの体どうしちゃったの!?てゆか声も変!!」



他人が聞く自分の声は自分で聞く声と違うのは当たり前だがこれまで聞いたことのない声が聞こえる。



性転換症

第二次性徴期前に起こりやすく、本来の自分がなりたい性別に変わることなどが多い。

研究を進めているが詳しいことは未だによくわかっていない。



どうしていいか分からず自室に戻りスマホを開くと瑠夏からのメッセージが目に留まる。


瑠夏:『体調大丈夫?』『寝てるのかな?起きたらメッセージ返してね』


瑠夏からのメッセージを確認しすぐに返信をする。


朝陽:『体調は大丈夫だけど少し会って話がしたいから家に来ることってできるかな?』

瑠夏:『分かった!すぐに行っても大丈夫?』

朝陽:『大丈夫だよ。気を付けて来てね。』


勢いで瑠夏にメッセージを送ってしまった。

1、2分で返信が着たがとても長く感じる。

だがこんなことを自分だけで抱えることできないがそれと同時に瑠夏を家に呼んでしまったことを後悔する。

今の自分を受け入れてもらえなかったらどうしよう...

もし受け入れられなかったらボクは...



ピンポーン


そんなことを考えながらリビングに移動すると家のチャイムが鳴る。


瑠夏:『家着いたよー!』


瑠夏が家に着いてしまった。

だが自分で玄関を開ける勇気が出ない。

そんな情けないボクはメッセージを送る。


朝陽:『鍵開いてるから入ってきていいよ。』


「お邪魔します。」



玄関が開き瑠夏の声が聞こえる。

そしてリビングの扉が開く。



「あさ...ひ...?」

「そうだよ、瑠夏...ボク、女の子になっちゃった...」


扉を開け、ボクの姿を見てびっくりしたまま瑠夏が固まっている。

ああ、ダメなんだと思い俯きながらボクは答える。

リビングが静寂に包まれる。



「......」

「...可愛すぎっ!!」

「えっ...!?」

「待って待って待って!!ほんとに朝陽なの!?めちゃくちゃかわいいよっ!目おっきいっ!お人形さんみたい!ねぇぎゅってしていい!?いいよねっ!」

「瑠夏!?まっ、だめだよぉ...!?」


その静寂も一瞬で今まで見たこともないほど瑠夏はテンションがあがっていた。

瑠夏に抱き着かれながら頭を撫でまわされボクは困惑していた。

確かにこれまでちょっとしたボディタッチやスキンシップはあったがこんなことはなかった。

まさか瑠夏に、好きな人に抱き着かれることになるなんて...

だが女の子になってしまったとはいえこれはまずいと思い瑠夏に声をかける。



「は、離れて瑠夏っ」

「いやっ!可愛すぎて離れられないよ!」

「で、でもお話できないよ...」

「このままでもお話くらいできるよね。」

「いや、でも良くな「できるよね?」...はい...」


有無を言わせない圧力に負けそのまま話をする。



「家に帰ってからなにがあったの?」

「体調悪くてなにもやる気が起きなかったの。そのままベッドに倒れこんで目が覚めたらこうなっちゃってた...」

「そうなんだ...性転換症だよね?この歳でもなることあるんだね。」

「分かんない...ボクこれからどうすればいいんだろ...」

「とりあえずうちの親に連絡して病院で検査してもらお?」

「え、でも迷惑じゃっ「そんなことないよ!」」

「迷惑なんかじゃないよ。うちの親と朝陽の親は仲良いし海外赴任になったときに朝陽になにかあったら頼むって言われてるの。うちの親も朝陽のことは大事に思ってるしもちろん私もなにかあったら力になりたい。だから迷惑なんかじゃないんだよ。」

「ありがとう瑠夏...」


少し体を離し顔を合わせるようにして瑠夏は言う。

真剣な顔、それがとても綺麗で少し見惚れてしまう。

ボクのことを大事に考えてくれていると知り好きだという思いが溢れてしまう。



「好き...」

「えっ?」

「な、なんでもないよっ!!」

「そっかー?」



慌てて今出てしまった言葉を否定していると瑠夏が顔を背けそっとボクから離れる。

もしかしたら嫌だったかもしれない。

少し焦りながら瑠夏に声をかけようとしたとき瑠夏がこちらを振り返る。



「変わったとしても朝陽のことが好きだよ。」


黒い髪をなびかせながら君は言う。

ただただTS百合幼馴染を書きたかっただけです。


文を書く才能が全くないので似たようなTS百合ものがあれば教えて頂きたいです。

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