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『第4回 下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞』

12星座になれなかったわたし達

作者: 佐藤そら

「12星座はいいなぁ」


 その夜、はくちょう座は、そう口にした。


「お前さんはいいじゃないか。教科書にも載るほど有名で。お宅のデネブさんなんて、夏の大三角も兼任してらっしゃる。やってられないね。なんだって、繋げりゃ三角になるんだよ! 僕はさんかく座だぞ? 僕こそ真の三角形だ!」


「わたしは、みなみのさんかく座ですけどね? なんなんですかね? ナナフシモドキみたいなことですか?」


「俺なんて、ちょうこくしつ座だぞ! 彫刻でもなく、彫刻室ってどういうことだよ。部屋だぞ! 部屋!」


 星座達は、口々にぼやいた。

 88もの星座がある夜空は、実にやかましい。


 確かに、はくちょう座のわたしは有名だった。

 でも、星占いに使われる12個の星座からは脱落したのだ。

 占いに使われるのは、『黄道12星座』と呼ばれ、太陽の通り道である黄道に並ぶ星座達だ。

 以前までは12星座だったが、現在の黄道には実は13の星座がある。


 へびつかい座は、地球の歳差運動によって、黄道に食い込むことに成功した。

 しかし、人間の都合によってか、いまだその姿を星占いで見かけることはほとんどない。



 こんな話を聞いたことがある。

『十二支』を決める干支レースで、動物の王道ともいえるネコが、ネズミに騙されレースに出られず、脱落した。

 それはわたし達でいうへびつかい座みたいなものなのかもしれない。


「知ってたか? 嘗て夜空には、ねこ座があった」


「へびつかい座さん、それ本当!?」


「けど、星座が多すぎるって勝手に減らされて、88に絞られた時、ねこ座はお亡くなりになられた。ねこは、夜空でも脱落さ。しかし何故か、やまねこ座はあるんだよ。ねこは二匹もいらないってか」


「なら、おおいぬ座とこいぬ座、それにりょうけん座はどう説明するの? いぬ多すぎでしょ!」


「夜空の番犬的な? わたしは、コンパス座、じょうぎ座、ろくぶんぎ座、はちぶんぎ座……こっちが気になって夜も眠れないね。天体観測に使われた器具やらなんやら、さすがに雑すぎる」



 どの星座にも神話があって、ロマンチックで……。

 そうであってほしいと、星に願いたいくらいだ。

 しかし現実は、神話の欠片すらない、ただ星を繋いでできた星座達が夜空には溢れている。




 そんなある日、歴史を揺るがすレースの開催が決定した!

 これぞ『王道』と呼ばれる、12星座を新たに決める『王道12星座』レースだ。


 88もの星座が、新たなる12星座を目指す。

 今宵、戦いの火蓋が切られた!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 星座たちの会話、面白かったです。 確かに犬は多い… 星座を88に絞った人に、選定理由を聞いてみたいですね。
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