魔晶石と魔鉱石
少女の案内で一同は小屋へ入った。
小屋の中の半分は鍛冶工房になっているようだ。
さっき山で見た鉱石や、うっすら光る綺麗な武器や防具などが並んでいる。
全員が席に着くと少女は席を立ち挨拶を始めた。
「改めまして。わしはメリル!この小屋で鍛冶工房を営んで暮らしておる。見ての通りドワーフ族じゃ。」
「嬢ちゃん一人でか?お父さんはとかは?」
メリルはラインハルトをにらみつけた。
「ラインハルト殿…彼女は…」
ガルドの声をさえぎってメリルが続ける。
「ほほぉ~?20や30そこらのヒュムがこのわしを嬢ちゃん扱いするとは…炉にくべて叩きなおしてやろうかのぉ」
ガルドは苦笑いしている。
エルザはラインハルトの頭を叩きながら
「こいつ空気読めなくてわりぃな。メリルはちなみにいくつなんだ?」
「私は今年で124かの?こう見えてももう成人しておる。見たところそこのエルフのおじさん以外は私より年下であろう。もっと敬え!」
メリルは腕組みをして偉そうにしている。
「おじさん…」
ウィルヘイムは結構おじさんと呼ばれたことを少し気にしているようだ。
(しかし、これが世に聞く合法ろりBBAかー。ってかドワーフやエルフの寿命ってどんだけ長いんだ?)
「話を戻すけど、なんでメリルはこんなとこで一人で工房を?」
「里でちまちま暮らしていても他の種族との交流は絶って久しいし、あんまお金は稼げんじゃろ?金を稼ぐためにじゃ。」
「鍛冶が出来るならこんな辺鄙なとこに居るよりもアルセンテスに行った方が稼げるんじゃねぇのか?俺やエルザみたいな冒険者も沢山いるし。」
「おぬしはバカか?ヒュムと何十年以上も交流がないドワーフがいきなりヒュムの街に行って商売の権利を得られると思うか?ましてや里のはみ出し者のわしをヒュムの領主が受け入れてくれるわけはなかろう?」
ガルドが小声で諭すようにイザにひそひそと話した
「昔アルセンテスの街へ行ったそうなのですが。なにせあの見た目なので信じてもらえず少女の戯言と追い返されたそうで…」
「聞こえておるぞ。ガルドよ、お主も炉にくべられたいらしいのぉ?」
ビクッ!とおびえガルドは耳としっぽを丸め、しゅんとした。
ヴィユノークはそんなガルドを見て小声でつぶやいた。
「かわいい…!」
「(里のはみ出し者ってところは引っかかるけど、とりあえず触れないでおこう。)なんでそんなに金が欲しいんだ?」
「それはの。金を溜めて、ほぼ朽ちることのない純度の魔鉱石!純魔鋼を手に入れて叩いてみたいからじゃ。あのとてつもない魔気、硬度、里で見てからもうあれに焦がれて。あぁ~♡もう一度あれを叩いてみたいのじゃ~。」
「ん…もう一度…?」
イザが疑問に思い聞き返す。
「いやぁーな?まぁ…その。ドワーフの里は結界を作るために純魔鋼を使っているのだがな?どうしても一度あれを叩いてみたくて少しだけ借りたことがあってじゃな?」
「それがきっかけで里を追い出されてアルセンテスでも追い返されてこんなところに居るってわけか。」
ラインハルトが笑った。
「お主はさっきから一言おおいのう、まぁよい。里を抜けた理由はそんなとこじゃ。」
全員顔を見合わせて苦笑い。
(この人自由だな~…)
イザは苦笑い。
「それでなんでみんなしてわしのとこに来たんじゃ?エルフにヒュム、狼牙の者にそしてアルフヘイムでは滅多にお目にかかれない竜族まで。ただ武具でも叩いてほしいというわけでもあるまい?助けてもらった礼じゃ、わしにできることであればなんでも聞いてやろう。」
森の精霊の話、霊廟の話、戦える仲間を探していることをメリル説明した――
「なるほどのう…戦えるものを探していると。いいぞ、わしもついて行ってやろう。」
「それはありがたい話なのですが、霊廟の内部はモンスターが出ることも確認しています。そんなに簡単に引き受けていただいてもよろしいのでしょうか?」
ウィルヘイムが確認する。
「ウィルヘルムといったか?お主らは新たに森を豊かにする方法を見出そうとしておるのじゃろう?森の秩序が保たれればドワーフの里も結界を張る必要もなくなる。これにわしが協力したとなれば里に帰れるかもしれんからのう。」
「ウィルヘイムです…」
ウィルヘイムは苦笑しながら訂正した。
メリルはニヤついている。
(結界が必要なくなるということは、あの純魔鉱も必要なくなるわけじゃ!つまり必要なくなったあれをGETするチャンス!これに乗らない手はあるまい!むふふふふふ!)
全員「(絶対悪いこと考えてる。わかりやすい…)
「それはいいけどお前は鍛冶屋なんだろ?戦いの方は大丈夫なのか?」
ラインハルトは尋ねた。
「この失礼な小僧は何を言っておるんだか。お主よりはずっと強いと思うぞ。一人でこんなところに住んで山に魔晶石を取りに行っておるんじゃぞ?弱いわけがあるまい。これでもわしはマスタースミスと錬金術を納め、元素魔法もある程度扱えるしレベルも43じゃ。」
「まじか、ただの強欲ロリババアじゃなかったのか。」
「お主やっぱ一度打ちなおしてやろうかの??」
メリルは金槌を持ってラインハルトを追い回す。
「えーっと!このバカは放っておいて霊廟にいく打ち合わせをしないか?早いに越したことはないだろ?」
逃げ回るラインハルトをよそにエルザが話を戻した。
「そうじゃな、バカにかまってる時間がおしい。霊廟にはモンスターも出るといっておったな。みな武器を見せてみぃ。」
「エルザもメリルさんも二人して俺をバカバカ言うんじゃねぇ!」
全員武器を取り出してメリルに渡した。
「ふむ。どの武器も刃こぼれしておるし魔気も薄まっておるな。わしが手入れしてやろう。その間はここにある武器を適当につかってくれてよいぞ。」
メリルはウィルヘイムの剣を見て少し眉間にしわを寄せた。
(武器か…俺も何かまともに使える武器が欲しいな。)
「主はちょっと私に付き合え。ちょっと話がある奥へこい。」
「へ?俺?」
イザはメリルに連れられて奥へ
「先ほどゴーレムを一蹴した力、お主はまさかティアマト様の子孫なのか?」
「(うーん、どこまで話していいものか。少しはぐらかしておこうかな。)実は永い眠りから目覚めたばかりで記憶もなく。魔力の使い方や自身のこと、自身の能力のことも把握がまだできていなくて。」
「ふむ…瀕死に至った竜族は生命力と魔力を保つために数百年の間、眠りにつくことがあると聞くが記憶を失うこともあるのかの。」
「(なんかいい具合に勘違いしてくれたみたい、ラッキー。)なのでまずは力の使い方。とくに魔力の使い方を覚えたいと思っているんだ。力の加減ができなくてまたさっきみたいなことになると困るしな…」
「なんじゃそんなことか。わしの助手をしろ。それで大丈夫じゃろ。」
(鍛冶屋の助手で戦えるようになるとかそんな修行どのアニメやゲームでも聞いたことないけど!?)
「そんなことで魔力の使い方を覚えられるのか…?」
「わしにまかせておけ。っと本題はこっちじゃ、主は武器も持っておらんようだが。あんな強力なスキルは霊廟内じゃ使えまい。ガルドのように人化を解いて戦うつもりか?」
「いや、竜化すると力のコントロールがこの状態よりも難しいし、人の姿の方が色々楽なので。基本的にはこの姿で戦えるなら戦いたい。」
「ふむ。なら見合った武器を作ってやろう。命を救ってもらった恩返しじゃ、どんな武器でも作ってやろうぞ。好きなのを言うてみよ。」
(今はチート能力のおかげで何とかなってるけど元々運動神経はよくないし遠隔攻撃の方がいいのかな。でも弓とかだと敵に近づかれたらどうしようもないしなぁ。)
「うーん。」
「迷っておるようじゃの。すぐに決めなくてもよい。自分に合っていると思う武器が思いついたら教えてくれ。」
「わかった。考えておくよ。」
二人はひとまずみんながいるところに戻った。
メリルは武器を眺めながら聞いた。
「みんなこれから武器の手入れが終わるまでどうするんじゃ?」
「私は一度里へ戻って霊廟に入る準備を進めます。」
ウィルヘイムは答えた。
「さっきエルザとガルドさんとも話してたんだけどエルフの里に行っても暇だし、この山で修業をしながら待つことにするよ。」
「あたしは修行とかはどうでもいいんだけど、山には金になりそうな鉱石とかもあるしね~。ヴィユノークはどうするの?」
「私は…私もここに残らせて頂いてもいいですか?」
「好きにせい。その代わりここに留まるものには家事は手伝ってもらうがの~。」
(ヴィユノークさんはエルフの里に帰っても居場所はないだろうしな。)
「ありがとうございます。」
ヴィユノークは頭を下げた。
「では私は一度里へ戻ります。みなさんまた後程エルフの里でお会いしましょう。」
そういうとウィルヘイムは森へ帰っていった。
「…やつには気をつけたほうがいいのぅ。何か隠しておる。」
イザの耳元でメリルがささやいた。
「メリルさんもそう思いますか…。」
「うむ、奴はときおり冷たい目をしておる。それに奴の剣、なにやら負の感情が籠っておるように感じる。これは鍛冶屋の直感じゃ。」
「気をつけろ。」
(たしかにウィルヘイムさんの冷たい視線を時折感じることがある。誰に対して?何に対して?いまはわからないな。警戒だけしておくか。)
「よし、んじゃみんな!山に修行に行こうぜ。」
ラインハルトがみんなに声をかけた。
「すまない。メリルさんの助手をすることになってるので俺抜きで行ってもらえるかな?」
「イザさん抜きだとさっきのようなエレメントゴーレムに遭遇したら俺らだけじゃやばいかもなー…。」
「大丈夫じゃろう。わしはここに住んで長いが、野生のエレメントゴーレムなんて今日始めて見たわ。あれは魔法に長けたものが自身の魔力を魔鋼に流し込んで作るもの。元素魔法に長けたドワーフの者でも普通の大きさのゴーレム1体作り出すのに10日は要する代物じゃ。あの大きさのゴーレムなんぞそうそう作り出すことはできんて。(じゃがそんな代物をいったい誰が…なんのために…)」
「なら安心だな。ガルドさん、ヴィユノークさん、エルザ、行こうぜ。」
「ガルドでよいぞ、ラインハルト殿。」
「なら俺もラインハルトで!」
「あたし昨日から思ってたんだけどヴィユノークってウィルヘルムさんの姪っ子さんなんだよね?なんで家名だけを名乗ってるの?変じゃない?」
「…それは…その…」
「人には言いたくないことの一つや二つあるもんだろ?例えばお前が胸が小さいのを気にして詰め物…」
「わー!!!わかったわかった!何も聞かないよ!…ラインハルトあんた覚えてなさい!」
エルザは両手を組んで胸を隠しながら怒っている。
「フフッ」
ヴィユノークは笑った。
「んじゃいくかみんな。」
ラインハルトはそういうと山に向かって歩き出した。
「うむ、気をつけてな。山に行くなら修理に使う魔晶石と、ついでに夕飯にする食料でも取ってきておくれ。」
「ではわしらもはじめるとするかの。手伝えイザよ。」
「あ、はい!」
エルザの短剣を取りだしてメリルは魔力を流し始めた。
剣が魔力を纏いうっすら光ってるのがわかる。
そこに先ほど持ち帰った魔晶石を合わせて叩き始めた。
すると魔晶石が剣に溶け込んでいき、剣の光が強くなっていくのが分かる。
「魔鋼を使った武具はこうして魔力をもったものを、まぁ大抵は魔晶石じゃな。それを溶け込ませて失った魔力を維持するのじゃ。叩きながら自身の魔力を注ぎ込む方法もあるんじゃがそれをやるとわし程度の魔力量じゃすぐに魔力が尽きてしまうから無理じゃな。」
「へー。んじゃどんどん魔晶石を溶け込ませていけば強い武器になっていくんですね。」
「主は賢そうに見えたが、あの男と一緒で実は阿呆なのか?限界を超えて魔力を吸わせたら魔鋼が耐えきれずに砕けてしまうに決まっておろうが。」
「魔鋼によって蓄えられる魔力には限界がある。それを見極めて加工したり調整するのがいい鍛冶屋の腕の見せ所よ。純度の高い魔鋼を使えば魔力を流して武器の形状を変えたり。特殊な効果を付与したりも出来る。例えばこのエルザの武器も中位の身体強化魔法が封じられておるようじゃな。自身の腕力を補うためのものじゃろうな。」
「なるほど、つまり元々質のいい魔鋼を使って作ればすごい性能の武具が作れると。」
「まぁ簡単に言えばそういうことじゃな。だが当然、そんな純度の魔鋼なんぞそうそう簡単には作れんのじゃがな。」
「魔鋼か~。魔鋼って魔晶石から作るんですか?」
「魔鋼は魔鉱石から作るもんじゃな。魔晶石はただ周囲の魔力を蓄えた石でも加工には向かん。魔法の威力をあげるのに補助的に使ったりスクロール作成に使うのが主じゃな。じゃが魔鉱石は魔力を留める力を持つ石で鉱石の純度によってその硬度、容量も価値も変わる。魔鋼に加工せずとも魔鉱石のままで、明かりを灯したり料理に使う火をつける程度の単純なの魔法なら付与することも可能じゃ。」
(この世界では魔鉱石が生活の根幹にあるのか。)
「先ほど言っていた純魔鉱というのもその魔鉱石の一種なんですか?」
「あれは少し違うな。純魔鉱が生成されるためには濃密な魔力が必要でそうそう出来るものじゃないんじゃよ。純魔鉱は魔鉱石や魔晶石を主食とするロックドレイクの体内で生成されるのを入手するのが一般的じゃな。まぁそもそもロックドレイク自体がとても希少種な上にその食性から外皮は鋼鉄並みらしいから。並みの腕では太刀打ちできん。よって、純魔鉱は入手自体がとても困難じゃ。極まれに超高額じゃが闇ルートで流れているのをわしはいつか手に入れて叩いてみたいんじゃ!!」
(あ、解説の最後に願望を語ってる…。魔力を持った石を食べるモンスターか。強そうだな。)
「それらの鉱石を見分ける方法はあるんですか?」
「簡単じゃよ?人によって差異はあるが目に魔力を集中させるとある程度周りの魔力の探知が出来るじゃろ?そうしてみると輝きの強さで純度の高さがわかるもんじゃ。」
「(ってことは最初の洞窟にあった光る鉱石は魔鉱石かもしれないな。使えそうかもしれないし、確認しに行ってみるか。)メリルさんちょっと気になることがあるので今日は出かけてきてもいいですか?」
「わしはかまわんが、魔力操作の修業はしなくても大丈夫なのか?」
「半日もあれば帰れると思うから。戻ったらまたおねがいします。」
「まて。お主丸腰じゃろうこれをやろう。」
「これは…?剣?とカバン…?」
「剣はそこらの余った魔鉱から作ったものじゃが、無いよりましじゃろ。そのカバンはプロメテイオンと呼ばれる植物から作ったものじゃ。ポーションの原料としても知られるが。魔力を帯びた植物で、まぁ簡単に言うと魔鉱石の植物版じゃな。これを加工して色々な効果を付与することができる。そのかばんは空間魔法を付与してあるから見た目以上に物を入れることができる。この世界じゃ常識じゃぞ…?お主そんなことも忘れてしもうたんか…?」
「あはは…。ありがたく使わせていただきます。では行ってきます。」
そういうとイザは小屋を出て例の洞窟へ向かった。
(あの洞窟にある鉱石を持って行ってメリルさんに武器を作ってもらえば…。魔力の操作が苦手な今でも、人化のままで少しはまともに戦えるようになる気がする。)
そして洞窟の入口に付いた。
(この扉さえ開けば…。出るときは勝手に開いたけどどうやって開けるんだろう。なにか開けるための条件とかあるのかな?とりあえず色々やってみるか。)
イザは押したり引いたり色々試してみたけどやはり扉はびくともしなかった。
(うーん。やっぱなにか条件があるのか。そういえば!扉が開く前って魔方陣のような物がでて光ってたな。今思うとあれは、この扉もなんらかの魔法が施されてるってことなのか。試してみるか。)
イザは扉に手をあてて、手に魔力を集中させた。
すると扉が光り開き始めた!
「やった!予想通り!この扉魔力に反応するんだ!とりあえずさっさと鉱石を拾って帰ろう。」
洞窟に入ってしばらく経過――
イザは時折出会うスライムやモンスターを倒しながら奥へと進んでいった。
「あの時はスライムは倒せないくて食べて処理してたけど、魔力を込めて攻撃すると簡単に倒せるんだな。それに倒すと小さな光る結晶を落とすんだな。これがべスターさんの言ってた色々なものの素材になるってアイテムかな?)
「ってもしかして食べるとお腹が暖かく感じてたのってこの石のせい!?うーん…、まぁいいや。これも取れるだけ持って行こう。」
(鉱石も大量に手に入れたし、鉱石を探していると同じように光る植物もあったから取ってきたけどこれがプロメテイオン…って植物かな?とりあえず片っ端からカバンに突っ込んで持ち帰るか。)
イザは十分鉱石を採取して帰路についた――
小屋についた頃にはもう日が沈んでいた。
「おかえりイザ。遅かったのう。気になることがあると言っておったが何をしにいってたんじゃ?」
「ええ、メリルさんが武器を作ってくれると言っていたので、これを取りに行ってました。」
そういうとカバンから例の鉱石を取り出した。
メリルは驚いて立ち上がった。
「こ…これは!こんなに純度が高い魔鉱石をいったいどこで!いやこれはもう魔鉱石と呼べるものじゃない魔鉱の塊、純魔鉱!はぁ~♡この輝き!純度!内包する魔力!たまらんのう♡お主これをいったいどこで…?」
メリルは両手を頬にあて恍惚な表情で鉱石を眺めていた。
メリルは閃いた顔をした。
「ハッ!お主まさかドワーフの里に攻め入って…!?」
「メリルさんと一緒にしないでください!!俺はそんなことしません!!!」
イザはつっこんだ。
(転生して気が付いたら洞窟にいて、そこに沢山ありました。とかさすがに言えないな。どうしようか…)
「いや、言わんでいい。竜族のお主じゃ。これくらいの鉱石を持っていても不思議はないな。竜人化した竜族のふるう攻撃に耐えきれる武具は滅多にないと聞くしのう。」
(竜人化…?竜化と人化以外にもあるのか。)
(それにしてもあの洞窟あんなわかりやすい場所にあるのになんでだれも中に入らないんだろう?扉も魔力を流すだけで開いたし、特に封印されてるってわけじゃなさそうだったけど。この鉱石がそんなに貴重ならトレジャーハンターとかが見逃さなそうなものだけどなぁ…?出口を求めて何十日も彷徨ったけどその間も誰一人入ってこなかったしな…)
「その鉱石をつかって作って貰いたい物があるんです。それは――」
イザはメリルにある物の制作を頼んだ。
「――なるほど、それはおもしろそうじゃな!まかせておけ。長年夢にまで見た純魔鉱をたたけるんじゃ!わしの今まで培った鍛冶の技術のすべてを叩き込んで仕上げてやるわ!」
メリルはよだれを垂らしながら純魔鉱を見つめる目が輝いてる。
(このよだれさえなければもっと信頼できるんだけどなぁ…)
二人がイザの武器について話をしていると。玄関の扉が開いた。