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いつのまにかドラゴンでした  作者: すなる
序章
2/29

気が付いたらドラゴンでした

目を覚ますと真っ暗な世界に居た。


「うーん。何だったんださっきのは。夢か…」

(ここのところろくに寝てなかったし疲れてるのかな。今の案件が片付いたら休みを申請してみるか。まとまった休みをもらえるとはおもえないけどな)



「ここはどこだ…?家でも会社でもないし。」




さっきの夢の続きらしい。

「ったく神だかなんだか知らないけど人の話くらい聞けっての!まだ何も聞いてないのにどうしろってんだよ…。ってかここどこだよ!!」



ひんやりするし声が響いてる。どうやらどこか洞窟のような場所みたいだ。



(異世界の洞窟って言ったらやばいモンスターとか出るんじゃ…ってまさかな…)


暫くすると真っ暗なはずなのだが目が慣れてきたのか不思議とハッキリ見えるようになってきた。


足元に目を落とすと、なにやら大きな魔方陣のようなものが描かれている。

(なににつかう魔方陣だろう。それに洞窟の中に明らかに自然物じゃない柱が6本建ってる。何かの儀式にでも使うのかな?)



「色々考えて見てもさっぱりわからん。適当に歩きまわってみるかー。」



歩き始めてすぐに足元がおぼつかなく、何かにつまずいてしまった。


「ってぇ。ってあれ?この手ってまさか。」


「俺ちっさなドラゴンのままじゃね…!」

(どうすんのこれ?あのテキトー神め!これからどーすんだよ…。)


(真っ暗なはずだけど見えているのはドラゴンの目のおかげなのかな?)


と考えながら歩いていると、まだこの体に慣れていないせいかまたなにかにつまずき転んでしまった。


「あーもう!人間に戻してくれよ!なんなんだよまったく歩きずらい!」


立ち上がろうとすると手元にムニッとした柔らかな感触が…



「この感触は…久しく触れていなかったが明らかにおっぱ…」



頬に強い衝撃が走り吹き飛ばされた。



「すみません!不可抗力で…!(ごちそうさまでしたー!)」


と言いかけたが。



良くみると半透明なつぶれたボールのようなものが前に2体、後ろにも2体うごめいている…。



(これはファンタジーで良く出てくるスライムってヤツですか!うわー。定番の異世界最弱モンスターきたー…。って感心してる場合じゃあ無いな。)


「どうやって倒したらいいんだろうか。」

イザは首を傾げた。


「序盤の雑魚モンスターだろうしこの爪で引っ掻けば瞬殺か。えいっ。」

爪でひと掻きするだけで、見た目通りすごく柔らかくすぐにバラバラになった。



「ゲームでも最弱のスライムだし流石にちょろいちょろい」

と思ったら…バラバラになったスライムの破片がまだ動いている。


「…これってもしかして元に戻っちゃう感じ…?」


うごめいていたスライムの破片が個々に元のスライムの大きさに再生していく。


「これダメなやつじゃん。いやいやいや、物理攻撃無効とか再生とか最弱の敵の持ってていい能力じゃなくね?」



「そうだ、ドラゴンなら火とか吐けないかな?でもどうやって吐くんだろ。」



とにかく色々やってみよう!




色々試してわかったこと。

・スライムの体当たりは多少の衝撃はあるがそんなに痛くは無い。(これはドラゴンの堅い鱗のおかげかな?)



・スライムは物理攻撃をするたびにドンドン分裂して増えていく。叩くたびにまさにビスケットの歌のように倍々と。



・色々試してみたが火は吐けない(というかわからない)。



・背中の羽で飛べるが20秒くらいが今の限界なこと。(しかも狭い洞窟だから何度も頭をぶつけた)


・飲み水は確保できそうな綺麗な水源があちこちにあること。


『グゥ~…』


お腹の音が洞窟内に響き渡った。

腹減ったな~…そういや時間もわからないけど何時間うろうろしたんだろう?

と考えながら歩いていると


 ドンッ!っと背中に衝撃が。この衝撃には覚えがある。

またスライムか…。攻撃しても増えちゃうし放っておくしかないんだよなぁ~。


『グゥ~~~~~!』


「お腹が減りすぎてスライムがわらび餅に見えてきちゃったよ~。いや…まてよ…?このスライムって食えるんじゃね?

……

いやいやいやいや!」



「こんな得体の知れないもの食うとか正気か俺⁈」


『グゥ~~!!』



「うーん。まぁ俺今はドラゴンだし、何とかなるでしょ!」



ガブッ!

「あれ?本当にわらび餅みたいで美味くね⁈」



バクバクバクバク!


たまに苦いスライムや辛いスライム、温かいスライム、冷たいスライム、ピリッとするスライムも居たけど体調は問題ないし大丈夫だろう!食べるときにお腹が不思議な力ですこしふわっと暖かくなる気がした。



「ふぅ~食った食った!色によって微妙に味が違っておいしかったな。出来れば黒蜜やきなこが欲しかったなぁ~。」



とりあえず水と食料スライムはたくさんあるから出口探して探索してみるか。




それから数十日


(あれから何日経ったんだろう…。一向に出口が見当たらない。)


「スライム食うのも飽きたし(ってかホントにスライム食っても大丈夫なのか?)出口はどこにあるんだよぉぉ…」


(とは言ってもスライム以外にこの洞窟にいる生き物って言ったら、蜘蛛とか蠍とかムカデとかバッタとか、デカキモイ虫バッカ。蜘蛛とか蟹に味が似てるって聞いたことあるし、ゲテモノは美味って聞くし齧ってみたけど、とてもじゃないけど食えたものじゃなかったし…。)


「何度も叫んでみたけど自称神の野郎は一向に現れないし。手助けしてくれるんじゃなかったのかよ!…はぁ…。」


何十日も彷徨ってるうちに更にいろいろわかったことがある。


・目で見えない範囲でも意識を集中するとなぜか知覚できるということ。



・目を凝らして見るとたまに強い光を発している鉱物や植物。生物がいるということ。


・羽を羽ばたかせると旋風を出せて、スライム程度なら吹き飛ばせること。

(あんま使えないよなぁ…)


・目に見えるような炎や氷のブレス等は吐けないが、薄っすら光る空気のブレスは吐けること。

(このブレス…巨大昆虫達は倒せるけどスライムには聞かないんだよなぁ。)


・やはりこの洞窟には他の生物は居そうに無いこと。


・たまーに輝くスライムが居ること。

(食べるといつもより少しだけお腹が暖かくなる。)


・この数十日の間にだいぶ体が成長したこと!

(最初は可愛い子ドラだったのに…ドラゴンって成長が早いのかな?水面に映る自分を見ると徐々に迫力が出てきて怖くなる…。)


・そしてこの洞窟は広すぎること!

(これだけ歩き回っても一向に出口が見つからない。)



とにかくひたすら壁伝いに歩き続けていると壁にスイッチのようなものを発見!押してみると今まで壁に見えて居た場所が開き、通路と階段らしきものが現れた!

(何いまの?さっきまでたしかにここはただの壁だったよな…音もなく道になるとか魔法で出口を隠していたとか…?ってか魔法とかあるのかな…?)


やっと見つけた念願の出口への通路。

登らない訳にはいかない。

延々と続く階段を登って行くと微かな明かりが漏れていた。


「ようやくここから出られる!長かった洞窟生活よ。さらば!」


そこには巨大な扉が。

ようやく出口にたどり着いたようだ。

さっそく開けようと試みる。しかし扉はびくともしない。

「この扉どうやって開けたらいいんだろう。うーん。取っ手もドアノブもついてないし、そもそもこんな重そうな扉、人の手で開けれるのか?(いまはドラゴンだけど)」

と扉に手をついたまま考えていると、急に扉に魔法陣が浮かび上がり扉が光って開き始めた。


「よくわかんないけど、外に出られる!ラッキー!」


扉を出ると扉はまたひとりでに閉じ押してみてもびくともしなかった。


「まぁ出られたんだしいいか。外の世界を見て回ろう。」


洞窟を出るとそこは森の中だった。


「んー!!久々の外の空気はうまいな~!」

と感動していると少し離れた場所を何かが動いている。


「あれは…?」


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キネノベ大賞3 ESN大賞3
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