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最後だからわかること  作者: 時雨
魔の森
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検証とチャレンジ

 僕の仕掛けた罠は掛かった相手を殺害するものでもなく、拘束するものない。仕掛けたのは洞窟周辺に何かしらの存在が侵入したことを教えるものだ。


 仕組みは簡単で紐を見えにくい所に張って。それを踏むか、引っかかるとその振動で少しでも動かしたら落ちるように設置した石が落ちるようになっている。洞窟を探しているついでに大量の蔓のようなものを発見しなければできなかったことだ。


 不幸だった分、些細な幸運があり助かっている。まあ、そうなった原因さえなければその必要はなかったのだが、まあプラマイゼロだと思っておく。明らかにマイナスが大きい気がしなくもないが気にしたら負けだ。


 そして、その罠にかかったやつがいるであろう場所に着く。そこにいたのは三匹のブラックウルフだった。


 ブラックウルフは次にどこに行けばいいのか迷っている。ある程度予想通りの光景だった。僕は運ぶ道中にブラックウルフの血を定期的に落としていた。


 血に誘われる魔物がいる可能性を探るために。ただ、この洞窟まで来てもらっても困る為、僕が仕掛けたエリアに誘い込めるまでにしていた。


 今回それに引っかかったのがブラックウルフということだ。勿論しっかりと嗅覚を使えば時間はかかるけど洞窟までたどり着くことはできる。


 ただ、痕跡を追ってきていたやつが急に痕跡がなくなれば少しぐらいは混乱する。立ち直るまでの時間があれば僕が到着できるという寸法だ。


 ここら周辺は洞窟があるように高低差がいろんなところにある。つまりは不意打ちをするところが沢山あるということ。


 僕は一匹の目を向けて石を投擲する。投擲技術は何かと鍛えることが多く、狙った場所に投げることが出来るほどだ。


 目に石が直撃したブラックウルフは後ろによろめきそのまま倒れる。残り二匹は僕の姿は見えていないものの石が飛んできたと思われる場所に向けて最短距離で走ってくる。


 遠距離攻撃する相手に距離を詰めることは正しい選択だが、相手の位置をしっかり把握しないで詰めるのは悪手だ。特に角待ちがしやすいところはね。


 先頭を走っていたブラックウルフと目が合う。ただ僕の狙いは先頭のブラックウルフだはない、その後ろについてきているブラックウルフだ。


 先頭のブラックウルフは勢いと止めてこちらに襲い掛かろうとするがそんな簡単に止まれるわけがない。そして何も知らない二匹目のブラックウルフの側面を僕は剣で刺す。


 刺したところは先程の解体で分かった、心臓と魔力に関する器官がある所だ。上手く刺すことが出来たか分からないが、無事では済まない。


 不意打ちが上手くいったが先頭のブラックウルフがこちらに向かって襲い掛かろうとする。


「分かってる」


 剣を即座に抜いて、刺したブラックウルフをこちらに襲い掛かろうとしているブラックウルフに向けて回し蹴りをして吹き飛ばす。体や勢いなどを上手く使い蹴ればギリギリ吹き飛ばすことは出来る。


 ただ、ものすごい勢いで飛んでくる訳ではないので止まっているなら対応は簡単だが、こちらに向かっているブラックウルフはこちらを倒すために勢い良くこちらに来ていた。


 その状態で避けることは難しい、もし避けることだできても大きな隙ができる。それを見逃すほど僕は弱い訳ではない。


 そしてブラックウルフが取った選択は


「それぐらい飛び越えられるよな!」


 こちらに向かってくる仲間の体をジャンプして避けながらこちらに襲い掛かろうとしてきた。ただそうなると予想出来ていた僕は横に倒れこむことでブラックウルフの体は僕の上を通過する。


 「これで二匹目」


 僕は瞬時に剣を逆手持ちにして上を通過するブラックウルフの首めがけて体の回転を利用して剣を振るう。


 ブラックウルフはそのまま地面に激突して動くことはなかった。


 さて、後は石を当てた奴だけ、そう思い先程倒れた場所を見るがその姿はそこにはなかった。


 その事実を認識すると同時に僕の体は反射的に回避行動をとっていた。横腹に痛みを感じる。


 回り込んだのか! ブラックウルフは鋭い爪で襲ってきた。反射的に回避行動をしたから深手になっていない。


 思ったよりも知能があるかもしれない。こいつは起き上がり正面から詰めて仲間の援護は無理だと判断して僕に気が付かれないように遠回りして襲ったのだ。


 無理のあった回避だったため、体制がキツイ。僕はブラックウルフに背を向けて急いで逃げる。


 片目を失ったからか、ブラックウルフはこちらを猛追する。ただそうする時点で僕の勝ちだ。


 真っすぐ追いかけてくるブラックウルフが体のバランスを崩して派手に転ぶ。その瞬間僕はブラックウルフの方に向き直り距離を一気に詰めにかかる。


 剣の間合いに入り剣を振るおうとした時、ブラックウルフは力を振り絞って飛び掛かるにはきつい体制からこちらに襲ってくる。僕を殺すという執念からか、意表を突く攻撃をしてくる。


「分かってる」


 僕はそのブラックウルフの攻撃を避けてすれ違いざまに首を切り裂く。そのままブラックウルフは二匹目と同様に地面に激突してそのまま動かなくなった。


 「やっぱり完璧に決まることはないか」


 この戦いでブラックウルフが急に転んだのは落とし穴に引っかかったからだ。


 本来、こちらを襲うような動物に背を向けることは悪手だ。背を向けると言うことは相手に自分は弱者だと教えていることになる。このブラックウルフも一切の迷いなくこちらを追いかけてきた。


 ただそれが僕の狙いだった。僕の後ろを追いかけてくると言うことは罠に誘導できるということ。


 僕はより確実に罠に誘導するために、ここら周辺を走りにくい凸凹な場所にして僕の逃亡ルートだけ走りやすい平坦な道にした。そうすることで追う側は走りにくい所よりも走りやすい平坦な場所を選ぶはずだ。


 そして、そこに深さ5cm程度の落とし穴を仕掛けておけば、さっきのブラックウルフみたいに体のバランスを崩して転ぶというわけだ。ただ、あのブラックウルフは片目を失ったこともあり予想よりも派手に転んでいた。


 それでもあのブラックウルフは力を振り絞り一発逆転の攻撃をしてきたのだ。ただ、僕の目は一目見れば相手がどんなタイプなのか分かる。だからこそ、あのブラックウルフが攻撃してくることも分かっていたし、回避の時も咄嗟に攻撃してくる方向から反対の方向へと回避することができた。


 悪知恵には自信をもっていたが、それを最大限駆使しても怪我を負ってしまったので今後生き残れるのかとても不安になる。


 その後は、一旦洞窟へ帰り。解体したブラックウルフの死体を埋めた。血の匂いでも追ってくる奴がいるので死体を放置して明日来るときにはモンスターが蔓延る所になったら面倒だ。


 先ほどの戦闘で負った怪我を応急処置をした。回避もあり、軽症で済んだので明日の活動に問題はないし、上から制服でも着たらほかの人にはバレることはない。


 そして、追ってきたブラックウルフの死体は洞窟と拠点、明日食料確保のために探索する場所から遠く離れた所に放棄する。それと周辺に魔物が死体につられて来たことが分かるように細工する。


 なぜそうするのか、それは死体を放置すると何か起こるのか、それを知るためだ。もし何かしらのリスクがあったのならば、早めに対策するように桜井達に促す必要がある。


 そうして一日目の活動は終了する。重い死体を遠くまで運ぶことになったり、傷を負うなどこの先が不安になるような結果だった。

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