表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートストーリー

聖女の前で嘘はつけませんっ!

作者: きたかが

 魔王軍と勇者軍が争う時代。勇者を加護する聖女の祈りの力が戦いの行方を左右していた。


 そんな中、聖都では聖女リーシャに近しい女官ミカサに魔王軍のスパイ容疑がかかっていた。

 最近、祈りの効果が薄い時を狙って魔王軍は動いている。

 これは聖女に近い人間が祈りの時間を漏らしているということだ。


 そして今、こっそりと姿を消そうとしていたミカサを捕まえてリーシャは尋問を行っている。



「ミカサ、言い逃れはできないわよ」

 ミカサは目をそらす。


「聖女を怒らせると怖いのよ?」

 リーシャは不敵に微笑んで、白い手をミカサに向けた。


「くらえ! 『聖なる自白』!」


 リーシャが高らかに叫ぶと、指先から白銀の光が放たれた。


「!」


「これでもうあなたは嘘をつくことができなくなったわ。さあ、なんで逃げようとしていたの!?」

「それは! 実家の母が倒れ……! クッ!」

「真実を言いなさい!」


「それ……は……」

 ミカサは奥歯にグッと力を入れて舌を噛みきろうとして失敗する。


「それは……! 私がリーシャ様をお慕いしてしまったからです!」


「は?」

「うわうぅっ!」

 ミカサは顔を赤らめて両手で顔を隠してイヤイヤする。


「あの……それは……困る……わ……」


 リーシャの集中が途切れて術が不安定になり――急に術の出力が高まった。


「ああ私のリーシャ様! あなたはあの薔薇よりも美しく! あなたに比べれば天に輝く星なんて塵も同然! ぐああっ! あなたは私の天使、Oh, my sweet heart! ぎゃあっ!」

 間にちょいちょい入る絶叫は、自白への恥ずかしみの悲鳴だ。


「あなたは魔王の手先ではないの!?」


「そうです私は魔王の手先でした! でも今はあなたの恋の奴隷でございますうぅっ! ぎゃああ!」


(これはどうしたものかしら…)


 リーシャが困っていると、突如ミカサの目がギン!と座った。


「もうこうなれば隠し立てしても仕方ありません! 私実は男なんです!」


「へっ?」


 どろんと煙が立ち上り、ミカサの姿が変化する。


 後ろで一本に結い上げた艶やかな黒髪、切れ長の黒い目。忍び装束に包まれた体は鍛え抜かれていた。


「これが……本当のあなた?」


 リーシャがガシッとミカサの手を握る。


「結婚しましょう!」

 正体を現したミカサはメンクイのリーシャにドストライクの容姿をしていた。


「は…はい!」

「そうと決まれば魔王なんてさっさと倒すわよ!」


 真実の愛に目覚めた聖女の聖なる力は一気に天元突破し、三日で世界に平和がもたらされたのだった。


「聖なる○○」って魅力的ですよね。

1000文字辛かったです。2000文字あればもっとイチャつけたのに……。

このくらいチョロくてアホらしいのが好みです。


おまけ

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 次々と衝撃の事実が明かされていくのにスッと頭に入りやすく、ツッコミ不在の漫才のようで面白かったです! 「聖なる自白」……クセになる響きですね。
[良い点] ミカサちゃん百合かな? と思ったら まさか、まさか、の展開! ぇぇぇえええええええぇぇぇぇぇぇ??? なんでしょう、勢いに押されまくりました 結婚祝いにお星様5つお贈りさせてください(笑…
[良い点]  聖女が肉食のオチですね。手のひらを返すところが面白いと感じました。 [気になる点]  二段構えからのオチなので、おっしゃられる通り文字数がもう少し欲しいと感じました。 [一言]  読ませ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ