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第一幕 「ログイン」

 システムログイン中と目の前に立っている看板に書かれている。ロード中を示す表示もすぐになくなり、世界が一度暗転する。再び世界に明るく染まり、古びた本の匂いが鼻をくすぐる。辺りを見回すとそこは図書室のような場所だった。椅子とテーブルが一つずつ置かれ、その前に立っている。辺りは全面本棚で囲まれその本棚にはびっしりと本が詰まっている。そしてその本棚はどこまでも上に積み重なり遥か上空まで続いていてその先は見えない。

 椅子に座ると知らない間に紅茶が置かれている。すると上空から古い便箋が舞い降りてきた。便箋を開くとそこには一枚の紙が入っていた。

『あなたの名前は何ですか』

 とだけ書かれている。

「アヤカ」

 とぼそっと言うと文字が赤く光り、燃えて文字が消えていく。そして新しく文字が綴られていく。

『あなたの性別と種族を教えてください』

 種族って何だろうと思っているとテーブルに一枚の紙が置かれていることに気付いた。書かれている内容は、見た目を決められるシステムだということ、他のどのパラメーターにも影響しないこと、また変更は大変だから慎重に選んで欲しいということだ。種族の種類は人族に人間、吸血鬼(ヴァンパイア)吸精鬼(サキュバス)。亜人族にイヌ、ネコ、ウサギ、キツネ、リュウ、妖精族に妖精とエルフがあるらしい。性別や身長などもここで選択できるみたいだ。

 試しに妖精と言ってみると近くの本棚の一部が鏡に変わった。見てみると自分の姿が少し変わっていることに気付いた。背中に羽根が見えてとっても可愛い。試しに他の種族の名前を言ってみる。エルフというと耳が変わった。ネコというと耳と尻尾が生えた。そのまま一通り試してみて、結局妖精にすることにした。蝶のような羽根がとても魅力的である。

 妖精と呼ぶには自分の身長が高すぎるなと思っていると徐々に身長が縮んでいき最終的に百二十センチくらいになってしまった。というかこれ以上は下がらないらしい。髪の毛だけでなく、目の色や羽根の色も自由に変えられるようだ。髪はエメラルドグリーンにして目と羽根は統一して水色にしてみた。我ながら可愛い。まぁこれは後から簡単に変えられるらしいし、その内いろいろ試そうと思う。

 他にいじれるパラメーターがないか探していると、スリーサイズを変えられることに気付いた。他の種族と比べ若干胸部が控えめじゃないかと思っていたら少しずつ大きくなっていったからである。ウエストも細くできたし、これじゃあ世界の中は現実とは別人の人しかいなさそうだ。多分というか既に私も仲間入りしていることだろうが。それ以外には特に変えられる部分は無くてどこか惜しい気持ちを抱えながら決定した。もう最初に鏡見た時とは大違いである。

 すると、近くの本棚から二冊の本が飛んできてテーブルに置かれた。手紙を見ると新しく文章が書き変わっている。

『あなたの職業と天職を教えてください』

 と書かれている。本の題名はそれぞれ職業と天職だった。これを見て決めるようだ。

 まず職業と書かれている方の本を取り読み進めていく。職業とはそれぞれに戦闘では使えない特殊スキルが設定されているらしい。遊びが広がるためのアドオンといったところだろうか。選択肢は巫女、神官(選択不可)、探偵、司書、料理人、治金士、木工士、裁縫士、鑑定士、魔道具師、歌い手がありどれか一つを選ぶようだ。選択不可は性別の問題らしい。巫女と神官に能力の差はないと書かれている。それぞれの説明を読んでいくと、一筋縄では決められないように感じたのでいったん本を閉じて、もう片方の本を取る。

 天職は職業とは逆の戦闘に使うスキルがそれぞれに決まっているらしい。選択肢は剣士、タンク、槍士、魔法使い、弓士、拳闘家、踊り子、テイマーがある。しかし、他にも鍵マークが付けられ読めないページがある。何か条件を達成しないと得られないものがあるのかもしれない。これは魔法使い一択しかなかった。すると職業もそれに似合うもので決めようと思い、巫女に決めた。

 役職を決定すると本が形を変え、職業の本は袴に、天職の本は小さな杖に変わった。初期装備というやつだろうか。アイテムに手をかざすとストレージに入れるという選択肢が見えたのタップする。目線の右下に「入手・見習い巫女の袴」、「入手・魔法見習いの杖」と表示がされた。そこをタップするとメニュー画面が開いた。衣服や装備品などのスロットル。解除した実績とアイテムストレージが見れる。とりあえず袴をタップして装備するを選択する。するといつの間にか衣装を着ていた。鏡を見るとちゃんと羽根は見えた。袴も着ているのにどうゆう原理だろう。まぁ可愛いからいいけど。

 杖も装備できるかと思ったが選択できないようになっている。その説明も「居住区域内での武器の装備は出来ません」と右下に出ている。ヒントというやつだろうか。戦闘区域じゃないと装備できないのかな。早く魔法を使ってみたいものだけど。そして設定も終わったみたいだし外に出ようとしたが、外にが出られる手段が分からない。何かヒントは無いかと手紙を覗いてみる。

『設定を完了しますか』という表示の下に『Go to the Over World』という表示が出ているのでタップする。すると視界がいっきに真っ白に染まった。


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