日課は大切
『昔々、この世界では全ての種族が仲良く暮らしていました。
天使やドラゴンが空を自由に飛び回り、地上では人や獣人、精霊が毎日楽しそうに暮らし、海では人魚が歌い魚が踊るように泳いでいました。
しかし、この平和な暮らしは長く続きませんでした。
魔族と呼ばれる悪者が出たからです。
魔族はそれぞれの種族を騙し、戦争を起こさせました。
それぞれの種族が戦争をした結果、相打ちとなり戦争は終わりました。
人間だけは争いを嫌い身を隠していたおかげで生き残ることができました。
人々は王様を決め国をつくることにしました。
しかしそれを他の種族は恨んでいました。
なにもしていなかった人々が繁栄するのが許せなかったのです。
人々がつくった国は攻撃されました。しかし国には勇者がいました。
勇者は国を守り、人々を救いました。しかし勇者は永遠の守りではありませんでした。
勇者がいなくなった後、人々は自分たちの国を守るため強くなりました。
勇者が守ったこの国を守るために。
そうして勇者がいなくなった後もみんなは幸せに暮らせましたとさ。
お終い。』
お嬢様が寝たのを確認しベッドから降りる。
お嬢様が寝る前にお話を聞かせあげるのが俺の一日の最後の仕事だ。
ここからは趣味であり日課のトレーニングを始める。
まだ幼いこの体に筋トレは不要だと思うので魔力の制御のトレーニングをする。
やはり異世界に転生したからには強くなりたいと思うものだ。
身体能力も魔力も同世代のやつとは比べものにならないぐらい高い。
身体能力は子供の範疇だが魔力はそこら辺の魔法使いより高い。
まだ7歳だというのに自分が恐ろしいぜ。
転生者で辺境貴族のお嬢様の専属従者だ。まぁ、いい設定ばかりじゃないが俺は満足している。
自分の物語がどうなるか楽しみ過ぎて今日も魔力が尽きるまで寝れそうにない。