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EGO In Another World  作者: 韋成 佑
5/7

5.RESISTANCE

「皆!話がある!出てきてくれ!」


しょぼくれたおっさんに付いて行った俺達は、地下室に来ていた。


「説明どうも。そして、このゴキみてぇに湧いて出てきたしょぼくれたおっさんずが、アンタの仲間か?」


「あぁ、そうだ。俺達はこの国の制度を変えるためにデモをやってるんだ」


「平日昼間からか?アンタら、仕事は?」


「...職なら先週失った」


「俺は先月だ。成績は悪くなかったのに、唐突にリストラされちまったよ」


デモより前に働けよ。


「なんでこうなったんだ?」


「基本的にこの国の会社はブラックばかりだ。 基本的にパワハラだったり、サビ残のし過ぎだったり、そのクセ給料が低いから皆耐えられなくて辞めるんだ」


働けとか言ってごめん。


「これはオマエが悪いな。そりゃ大変だったな」


「......あんたは『シャチク』って知ってるか?」


「NEETを駆逐する機動戦士だっけか?」


間違ってはないが違う。


「『シャチク』っていうのは、数年前から国を挙げて実施されてる教育システムなんだがな、

幼稚園児のときから、会社に尽くす事への素晴らしさを教えられ、

ビジネスマナーの他に、就職にあたって必要な資格やスキルの取得のための教育が施されいるんだ」


「けどその実態は、会社に人生を捧げる人間を作る為の洗脳なんだ...」


「うちの子なんてまだ5歳だってのに

『今日はビジネスパーソンとブロックで城を作る時のアサインでディスカスしたよ』なんて言うようになって...」


意識高すぎてルー語になってるな。


「君のsonめちゃくちゃfunnyだな」


「無駄に発音良くするな!意識高い発言なんて聞きたくないっ!」


「だいぶキてるな。この国」


「俺達の中にはシャチク世代に交代するようにリストラされた奴もいる。こんなの、認められねぇよ...」


嫉妬か?悔しいのう。


「そんな仕事のエリート達から職を取り戻すためにデモをしてんのか」


「まぁ、そういうことだ。未だ実を結んでいないがな...」


宗教相手にしてるようなもんだしな。


「シャチク教か...手強いな」


「頼む!あんたの力を貸してくれないか!?

あんたがいてくれれば、この国の皆も俺達に賛同するはずだ!」


「確かに、道を歩いてても死んだ顔したヤツらばっかだからな。

ワーカホリック以外の数の方がまだ多いだろうし、特に何もなければ、いけるだろうな」


「そうだろう!あんたがいれば確実に勝てるんだ!」


「働き方改革か...それも面白そうだが...」


「っ!なら!」


「それより面白い事を思いついたんだが、聞きたいか?」


「働き方改革よりも...?」


本当にやる気か?


「まだ頭数が少ないがな。まぁこれからボチボチ増やしてくさ」


「...聞かせてくれないか?」


「聞いて驚け?それはな......」















「突然の来訪にも関わらず、本日は会談の席を設けて頂き、誠にありがとうございます」


「いえ、何しろ事が重大ですからね。さぁ、御二方とも、そちらの席へ」


彼と別れた後、わたし達は首相と会談する事になった。

本来なら急な会談など有り得ないのだろうが、

何しろ彼の存在はこの大陸において最も優先すべき事案だろう。

何とか和平を結ばなくては...。


「こちら、我がネスト王国国王陛下と、

アーデリア帝国国王陛下より賜った伝達書です」


「これはどうも。......なるほど...そういうことでしたか」


伝達書の中身はこのようなことが書かれている。


一、エゴ様が召喚された事によって、伝承の通りに各地で魔物の被害が急増している事。


二、エゴはどこの国にも属さず、マナが枯渇したこの大陸を救おうとしているという事。


三、上記の事を最優先とすべく、一時休戦とし、エゴを支援する事。


四、他国への抑止力として、ネスト王国と戦争状態にある国々より信頼のおける実力者を旅の仲間として付ける事。


五、上記の事は全て、エゴが提案した事である。


という内容だ。


もちろん、2番目以外全て陛下とアーデリア帝国の国王が提案したことである。

これが本人に知られたらお仕置きを受けるのは自分達だと言うのに、

変なところで度胸が強いというか...なんというか...。


「この伝達書の内容はしっかりと理解致しました。しかし、この国は民主国家。

話し合いをし、従うか否かを皆で決めなければなりません。そのお時間は頂けないでしょうか?」


「もちろんです。エゴ様もこの国を少し見て回りたいと申されておりましたので、時間が出来たのは嬉しい限りです」


「そうでしたか!宿はこちらで手配致します。

すぐにでもこの件について話し合いたいので、会談はこれで」


「えぇ、良いお返事が聞ける事を楽しみにしております」








「ふぅ...何とか良い雰囲気で終わったな...」


「しかし、決断が下されるまで時間がかかる。それまでの間、私はこの国を調査しても良いだろうか?」


「構わないが...気になることでも?」


「『大皇だいおう』について知りたい」


「確かこの国の象徴シンボルだったか?

それがどうかしたのか?」


「ただの知的好奇心だ。発作のようなものだから気にするな」


「そうか。貴殿だから大丈夫だろうが問題を起こすのはやめてくれよ?」


「承知している。それと『貴殿』というのはやめにしないか?これからも旅を続けるのだ。

堅苦しいのはやめにして、ミストとでも読んでくれ」


「それなら、どうかわたしの事はリングで頼むよ。ミスト?」


「善処しよう」


「承知しないのかよ」
















「そっ...そんなの....無茶だ!」


「大丈夫だって安心しろよ。オレが付いてんだぜ?」


「だとしてもだ!国を『乗っ取る』なんて...絶対無理だ!皆殺される!」


こいつらはいったい何を恐れているんだ?


「なんか怖い夢でも見たのか?それともオレより強いヤツがいるのか?」


「あれはそんなんじゃない!次元・・が違いすぎる!」


「Huh...そんなヤツがいるのか?」


「あぁ...アンタはただ俺達のデモに協力してくれればいいんだ...それだけなら、あれも手を出してこないだろう...」


なんだか随分やばそうなのがいるみたいだな。


「余計興味が湧いてきたな。ソイツの話をしてくれないか?」


「...『大皇』はこの国において絶対の法なんだ」


「昔、この国で兵器が暴走した事があったんだ。

その兵器は人型の巨人でな、『ガンベルク』って言うんだが、一機で数千の兵士を倒すとも言われてたんだ」


やっぱり機動戦士じゃないか!


「その言い方だといっぱいいたヤツが暴れ出したみたいだな」


「その通りさ...幸い技術力はあったから、建物にはエネルギーシールド発生装置のおかげで無事なものも多かったが、それ以外はすぐに火の海に沈んでいった。

中にはシールドごと破壊された建物もあるらしい」


ありとあらゆるもの全てが闇なんだがこの国。


「そんな中で、空から光の巨人のようなものが降りてきた。その巨人が火の海に手をかざすと、火の海は一瞬にして消え去った」


「何十体ものガンベルクに囲まれても負けること無く、逆に倍の数のガンベルクを破壊していった」


「OK、さすがにそれは無理だ。オレには勝てない」


サイズ差がすごい。


「全てが終わった時、その巨人は天を統べる皇が住んでいるとされる皇宮に帰っていったんだ。

そこから大皇と呼ばれるようになったんだ」


「その時に初めて皇宮に住んでるヤツを見たってことか?今まで誰も見たこと無かったのか?

昔から崇められてたんだろ?」


「国民の全てが皇宮に近づくことすら禁止されてんだ。だから皇宮にて皇の世話をしている巫女にしかわからないと思う」


「巫女さんか...行くぞ!」


「待て!皇宮の半径5キロは軍に警備されてるんだぞ!?いくらあんたでも蜂の巣だ!」


「効かないねぇっ!ゴムだから」


海に放り投げるぞ。言ってないで早く行けよ。


「ハイハイ、じゃ無事だったらまた会おうぜ」


「まっ!待ってくれ!本当にダメなんだ!」


「Bye.」


「うぉっ!?なっ...なんて速さだ...」


「駄目なんだ...あれは...人間・・じゃあ勝てない...!」












なぁ相棒。


「なんだ兄弟?」


一回リング達に報告しなくていいのか?


「んー、まぁ大丈夫じゃね?」


それもそうだな。かっ飛ばしていけ。


「りょーか...あれってミストラルか?優雅に読書してるって事は話終わったっぽいな」


結局報告するんかい。


「まぁまぁついでだ。ミストラルくぅ~ん!

なにしてんの~!?」


「ぐぉっ!?......貴殿か...衝撃波が出ないように走れ」


「いやー悪ぃ悪ぃ!で?何してたんだ?」


「こちらのセリフなのだが...少し大皇について調べている」


「奇遇だな、今からカチコミに行くところだ」


「今良い雰囲気で会談が終わったところだ。

ぶち壊すな」


「ちょっとお話に行くだけだってー」


「皇宮に近づくだけで死罪だぞ」


「だからオマエも、大皇がどんなヤツか知りたくなったんだろ?」


「......鋭いな。

この国と我が国が同盟を組んだ際、

内閣関係者に知り合いが出来てな、その者からも色々教えて貰ったが、大皇とやらは貴殿と同じようなものらしいぞ?」


「それって機密情報じゃないの?」


「......熱が出ても働いていたからな、

今頃は頭に氷をのせて寝ているだろう」


こいつ結構大胆だな。怖いんですけど。


「OKOK,ソイツには感謝だな。しかし、俺と同じってことは...」


クソジジイが他にも転生させてたんだろうな。


「話聞く限り、オレより強いよなぁソイツ」


勝ち目がなくてビビってんのか?


「まさか、そういうヤツには搦手だ。

ミストラル、リングにオレのことよろしく言っといてくれ。

あと、大皇でわかったこともよろしく!」


「承知した」






「さて、どんなヤツなのかな?」


巨人だろ?多分変身するタイプとか?


「魔法と機動戦士があるんだ。

大方クソ強いゴーレムとかだろ。

んで、本人は何倍も強いと。」


そいつを殺して王になるのは無理じゃないか?


「いざとなったらオマエに出てきてもらうさ」


...良いのか?


「昔みたいに暴走して街を消すなんて事はないと信じてるぜ」


こりゃ期待に沿わないとな。楽しみだ。

「」内の言葉も改行して見やすくなるようにしてみましたが、どうでしょうか?


次回ですが、設定公開などをしようと思いますので、続きは次の次です。

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