4.UNDER GROUND
「あなたが新しく入ってくる■■■■君ね!」
─────────これは
「『祝福と愛の家』へようこそ!私の名前は───」
────懐かしいな
「あなたが引き取られるまでの間だけどよろしくね!」
──ここから───オレは──────俺は──────────『人間』に──なったんだったな
彼女はいつも笑顔だった。
「ほら!そんな隅っこにいないで、皆と遊ぼっ!」
「コラっ!女の子には優しくしないとダメでしょ!」
「おいしい?今日は気合い入れて作ったんだから!」
「へぇー!ヒーローになりたいの?じゃあもっと強くて頭も良くならないとね!」
「もし...私が挫けそうになったら...助けてくれる?」
「...大丈夫......あなたのせいじゃ...ないわ......」
「最後まで......見て......あげられ...なく、て...ごめん...な......さい」
◼
「うなされていたな。大丈夫か?」
「尋常ではない程のうなされようでしたので失礼ながら起こしました。大丈夫ですか?」
「...昔の夢見ただけだ。気にすんな。それより着いた?」
「国には入った。もうすぐで首都のセイジュに着く」
「...そうか」
しょげてんな。気合い入れてやろうか?
「必要ない。着いたら起こしてくれ」
「わかりました」
夢の続きが見たいのか?
「......Beats me.」
◼
エゴ様が再び寝た後、私も寝起きにストレッチをしながらミストラルに話しかけた。
「ミストラル、交代の時間だ。代わってくれ」
「このままで大丈夫だ。まだいける」
「しかし、最後の交代から5時間以上も続けているだろう?少しは身体を休めるべきだ」
「そうか。では、お言葉に甘えよう」
「ふぅ......なぁ?1つ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
「お前は...わたし達を恨んでいるか?」
「...アーデリア帝国には、ネスト王国を恨む人間もいるが私は違う。先に攻撃を仕掛け、お前達の国の民を殺したのは私達だ。攻撃をしなければ、お互いに犠牲は出なかったはずだ」
「...そうか...変な事を聞いてすまない」
「構わん。今はこうして旅をする仲間だ。遺恨はない方が良い」
「...大人だな。わたしの家族はアーデリア帝国の空襲で亡くなったのでね。原因は私達にあるとしても...」
「戦争だからな。そういうこともあるだろうし、その感情は普通の事だ」
「...なんだか変な空気にしてしまったな」
「ふむ、こういう時は陛下の悪口を言うと捗ると部下に聞いたことがある」
「大丈夫なのかそれ」
「陛下に使える身として私は失格だろうがあえて言おう。彼女はポンコツだと」
「...お前も色々あるんだな...」
「少し心がスッキリした気がする。この調子で行こう」
「...ふふっ、そうだな」
「誰かが私のことを噂しているような...」
「へっくしょい!むぅ...風邪か?」
◼
ここは科学と産業の国、ミドナ皇国。
そしてその中でも最も栄えている首都セイジュ。
ここに住む人々は研究や仕事に良く励む勤勉な人々である。
目が死んでるけどな。
「ありゃあ2徹目だな。まだ余裕がある。あそこにいるヤツなんてもう何徹目かもわからねぇ」
「......まるでゾンビみたいだな...」
「あれだけのオーバーワークでも生産性が落ちないのは、それだけ鍛えているという事か?参考にしてみるか」
「......ミストラルは結構脳筋なのだな...」
「...?強さを探求することの何かだめなのだ?」
「そこの訓練バカはほっといて、はやく国のトップにカチコミ行こうぜ」
「あくまで話し合いですからね?」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ」
コレハ大変キケンデース!
「この国の指導者は確か天皇と呼ばれており、国民からは人にして神である『現人神』とされているらしい」
「ですが、ここ数年は指導者ではなく、国の象徴的存在となっており、実際の内政などは国会が担っているようです」
危ない香りがしてきたな。なんで皇国にしたの?
「他に思いつかなかったんだろ?まぁブラック繋がりだし、あながち間違っちゃいねぇだろ」
「ともかく、話をつけるには国会に行くべきだな。この通りをまっすぐ行けばあるはずだ」
「よし、チャチャッと終わらそうぜ」
「なぁ、あんたら。他所の国から来たのか?」
「...そういうあなたは?」
「この国の住人さ。それよりもそこの覆面男」
「なんだおっさん、臭いから近寄んなよ」
辛辣。
「......あんた、ネスト王国の秘密兵器だろ?」
「ここまでオレの噂が流れてんのか」
スター外道まっしぐらだな
「街道な。それで?ここでやろうってのか?悪いが今の痩せっこけたアンタじゃミンチにもならねぇぜ?」
「俺達を助けてくれないか?」
「...と、いいますと?」
「ここじゃあなんだ、来てくれや」
「OK」
「お待ちください。先にこの国の首相に会わなければなりません」
「それはオマエらに任せた」
「あなたが来ないと説得力ないでしょう!」
「まぁ待て。エゴよ、そちらの用事が済んでからでいい。後で来てもらえないだろうか?」
「んー、まぁそれならいっか」
「助かる。リング、行くぞ」
「ミストラル!?」
「私は彼等とは面識がある。彼が来るまで何とかしよう」
「...わかった。エゴ様、必ず来てくださいよ!」
「任せとけって、ダイジョーブ、ダイジョーブ」
で、このおっさんに付いて行くってことはそういうことなんだな。
「見てからじゃないとまだわからねぇ。が、これは期待出来そうだ」
予想通りになりますように。
「神に頼むのはよせよ」