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寒空ノ下デ








「いつから好きだったの?」


今年に入り仲が深まった夏八木という人物に彼女との出会いを聞かれる

最近、寒くなりだし頭まで悴んでしまったのかうまく思い出せない


「うーん。えーとねえ」


そういってから1年前ほどの事を思い出し言葉に纏めながら話す


「確か…2年の3学期ごろやったかな」












冬が本格的に到来し外に出ると寒くて凍えそうになる。

現在、中学2年の3学期。冬安みが終わり日常に戻った。

学校生活には満足している。

友達関係で言うと特筆する点もなくクラス全体と仲がいいような状態だった


ある朝の話だった。なんの非日常もなく。平凡な一日を過ごそうと仲の良い隣人に挨拶をした。


その時に隣人と仲が良かった女の子が席の近くに居た。

隣人と話すのを見る限り性格がよさそうで優しそうだったので好印象を受ける。

特別初日に何か話すわけでもなく。

友達としてその日から認識するようになった

それが出会いだった。


自分で言うとなにか違和感を覚えるが、誰とでも話せるという特技を持っている。

その特技を生かしその子と仲良くなるにはそう時間はかけなかった。

友達として面白く優しい彼女の名前は莉紗という名前だった。

ある日の事。莉紗と俺と他数人で遊ぶ機会あった。

遊ぶといっても、別に遠くに行くわけでなくただ大型スーパーを回るというだけだが

その時に莉紗と多く話した。

改めて彼女の性格が純粋に優しい人間であることが分かった。

他の人間のように淀んだ黒いものはなく純粋な真っ白いものしかない気がした

そんな、彼女に恋愛感情によく似たものを抱いた。羨望というものも含まれていたかもしれない

そんな中、彼女とメールアドレスを交換して学校外でも会話すことを可能にした。なぜだかとても面白かった。



神様が居るならどうしてこんな意地悪をするのだろうか



我が校では中学2年の冬に雪中合宿というものがある。

要は、雪に埋まれ。という事だ。

その合宿中は団体行動を基本として班という共同体の下で構成されるのだがその班の中に莉紗が居た。

心臓に悪いプレゼントだなんて思う。

班で決め事をするときなんか幸せと暖かい冬の寒さにも抵抗しうる太陽の存在により決め事は何も頭に入らなかった。

浮かれゆく日々の中。彼女の存在が暖かすぎて溶けてしまいそうだった。

浮かれていた日々の所為で余計に刻が早く過ぎてしまった。嗚呼、勿体無い



いよいよ当日となり行きのバスに我々は乗り込んだ

楽しみな反面緊張があり、硬くなってしまう事を許してほしい。

バスは順調且つ軽快に走り、俺を緊張から解き放った。

特に車中では思い出がない。車からでて寒くて凍えそうだったことだけだ。

1日目の練習は、バスから降りて少し準備したらすぐに始まった。

ちなみに合宿の大半はスキーの練習だ。ただ雪に埋もれるだけじゃない

スキーには講師がついていて莉紗と話す暇すら与えてくれなかった。

心の中で「くそ爺」なんて呟き口には出さなかった

そのあとは宿に戻り、ただ夕のひと時を感じただけだった。

次の日、朝は早かった。

宿で班の男から起こされてしぶしぶ起きた。

昨夜は幸せな夢を見た気がするからよしとする。

歯を磨き食堂のようなところに全員が集合し朝食をとる。

そして、着替えを済まして外に出る。

そこは、白銀に包まれた世界であり陽の光によってキラキラと光っていた。

スキー講師が来るまで待機という号令がかかったので仕方なく不安定な雪の上に棒立ちでいると

顔に白い球体が近づくのに気付いた。そう雪合戦の開戦だ。

戦争相手は莉紗である。そこに意外性も感じたがそこもまた魅力だ。

開戦した雪合戦はしばらく続き両者が疲れるまで停戦しなかった。まるで大日本帝國のように

結局、停戦協定が結ばれたのはスキー講師が来てからだった。

その日は、雪合戦なんてレアなイベントとスキーがうまく滑れたことによって終始上機嫌であった。

その日の夕食はなぜだかいつもよりおいしく感じた。



3日目、この日。故郷である場所に帰らなくてはいけないというのは少しばかり悲しかった。

最後の最後にスキーの練習をしてくそ爺ともお別れだ。

帰りのバスに乗り込み白銀の世界が窓の外に流れた。

その、光景に包まれながら俺は安堵の眠りに堕ちた

そこで、優しい光に包まれ久しくなかった感情の名を思い出した








その日からいくらか時は過ぎた。

流れるように日常は過ぎていき、いつしか気になるは好きに変わっていた

彼女と話すのが安息になり日々の助けとなった。

川がいつまでも流れるように日々も過ぎていく…過ぎ去って欲しくなかった安息も過ぎるのが世の理

仕方ないと自分を制するがやはり落胆は隠せなかっただろう。

ポジティブになんてなれやしない。

同じ空間に居ないだけで辛く悲しい。

恋というものがこんなにも苦しいとは思ってもみなかった

まるで、恋をしたことがないように聞こえるが別にないわけではない

本気の恋がなかっただけだ。

綺麗な言葉を並べているだけかもしれない。

だけど、根底にあった愛という名の原石はいま光りだしたばかりだ








桜が秒速5cmで舞い落ちる季節になり

嫌だったクラス替えがきた

一応、莉紗と同じクラスになる事を祈りながら我々の名前を目でなぞる

残念ながら、莉紗の名前はなかったが小学校時代から仲が良かった沙羅の名前があった

その他は特になんとも言えないクラス分けだった。

心の底から落胆しつつ自分のクラスに向かった。

新クラスの担任がぺちゃぺちゃと話しているのを左から垂れ流し

彼女の事を思い浮かべた。

やはり、クラスが違うことで疎遠になってしまったりするのだろうか。

そう考えると不安で仕方なかった。

クラスを一気に見渡してみる。

同じバスケ部の面々や小学校時代に仲が良かった人あまり話したことないが自分に良い対応をしてくれる人。

沢山の人間がいる。40人近いその人間たちにはほとんど関心はいかなかった。

俺の関心と好意は莉紗にしかいかなかった




莉紗が好きだ。その感情が俺を支配した



好きという感情を抱きつつ疎遠になってしまってからある程度の月日が流れた。

夏が到来して寒かったあの頃が懐かしく思えるほどになった。

初夏の心地よさは、どんどんと息がしにくくなるような暑さへと変換された

成績は下がることもなく上がる事もなかった。

友達関係はなんの変動もなく何もないという感じだった。

部活では副キャプテンになり充実していた。

なにもせずに夏休みが過ぎていった。夏休み中は常にもやもやしつつ過ごした

その反動からか夏祭りすらも部活に捧げた。

再び莉紗との関係に進展があったのは同年の秋ごろからだった。


夏休み前から少しずつ話していた夏八木という人物との仲が深まりお互いの秘密を握りあうという狂気としか言えない行為もしてした。

夏休みが終わりすぐあった体育大会の時に発覚した夏八木の恋なんかも応援したいが、今は自分の事だ。

沙羅が主体となり計画された秋祭りに行く計画のメンバーに莉紗が入っていたのだ。

ここ最近のなかで一番うれしかったといっても過言ではないほど嬉しかった。

沙羅と莉紗の仲が良かったのに救われた。

「ありがとう。」と小さく心の中で呟きお祭りの詳しいところまで決める会議に入った。


川は水の量を増やせば流れる速さも増えるだろう。

だが、時間はそうじゃない。

ある一定の速さで流れ続け誰にも邪魔することのできないすべての源。

何はともあれ、時間は過ぎその日になったという事だ。


しかし、その日の朝に母に言われて気づいたが塾の模試があった。

色々なところに間に合うかと心配しつつ塾に向かう。

入塾時間はギリギリ間に合ったものの時間割を見る限り約束の時間には間に合いそうもなかった。

落ち続ける気持ちを救いあげつつ現状一番頑張らないといけないことに意識を集中させる。


「頑張るか…」昼過ぎからの予定を思い浮かべながら自分を奮い立たせる。


模試が終わり俺は走っていた。

予定の時間は既に20分も遅れ、どう急いでも到着するのに10分は掛かる。

おまけに、模試の出来はあまり望めない。

暗くじめじめとした道を歩いている気分になるが、それすらも拭い自転車を飛ばした。

一旦家に帰りたまたまあったポテトを一本だけ口に放り込み素早く財布をカバンに入れる

そして、家をかけ出る。自転車にまたがり必死にペダルを回す

このあと、忘れ物に気づいてとりに帰ったのは内緒だ

結局、到着したのは集合時間より30分遅れてからだった。

自転車を進めることに疲れ果てもうなにもしたくないというような心情は

莉紗に会って吹き飛んだ。

あの太陽なような眩しい人のまえでは刹那の間に負の感情は亡き者にされるのだな。

そう体感した昼下がり。

公園で簡単にできるゲームを行ったが、それらにはやはり限界があったようで途中でゲームセンターに移った

俺は、莉紗と一緒に居れればどこでも楽しかったのでみんなに従う。

ゲームセンターではプリクラを撮ろうという話になり撮る運びとなった。

夏八木が幽霊のようになりみんなで笑った。

プリクラの加工には男子は介入しないので夏八木と二人外で待つ。

当然プリクラブースに二人の男。

注目されない訳がなく周りの女子がざわめき始めた

その中に嫌いで恨んでいるという表現をしても当たり障りない感情を孕んだ一人を見つけた


「トイレに隠れよう」


夏八木に短く伝えトイレへと籠城する。


籠城戦空しく5分ほどで出てしまった

耐久力が足りなかったという空しい理由で。

勿論、さっきの一人も居たが無視することに徹した。


ゲームセンターから出たのは陽が傾き始めてからだった。


神社に着いたころには薄暗くなっていて屋台も出そろっていた。

そして、神社を回り始めた。りんごあめ、ヨーヨー釣り、金魚すくい

一周ほどした時だった。

足元に紙の感覚がした。

最初は何とも思わなかったがだんだん気になり足元を見る。

そこには、一枚の紙幣。

刹那の間に選択をすることになった。

無視するか。懐にしまうか。交番に届けるか。

2番は眼中になかったが、1番と3番で迷った。

まず、仲間にこのことを告げるか。

告げれば無視する選択肢はなくなる。

それでもこの感覚をみんなに共有したかった。


「なんか…千円札落ちてるんやけど…。どーしよ…」

みんなからの反応は様々であまり興味を示さないものと懐にしまうという派閥に分かれ

交番に届けようというのは俺だけだった。どうするか、選択の時である。

懐にしまうというのも考えたが持ち主の事を思うと心が痛む。


「俺…交番に届けてくる…!」とだけ言い走って交番に向かった。

別に交番は遠いわけでもなくすぐに交番には着いた。

だが、交番に警察官は居らず巡回に行っているようだった。

すぐさま、「御用がある場合はここに」と書いている電話に掛ける。


「今、巡回してるのでしばらくお待ちください。」


そう冷淡に言われて落胆した。

待つように言われたことを夏八木に報告しようと電話を掛ける。


「もしもし?ちょっと巡回してるらしくて…。時間かかるかも…」

そういうと、少し間を空け


「そっちに合流するよ」と言い電話を切られた。


多分少しの間は、来るか来ないか会議でもしてたんだろう。そう推測した。

交番というのは、上手くできていて閉鎖空間であり薄暗い照明のお蔭で悪い事をしていないのにした気になってしまう

そんな「鬱」な気分になっていると、みんなが来た。

合わせて聞こえてくる太鼓の音がさっきまでの鬱を吹き飛ばした。

交番が明るくなりもう少しでお祭りの会場になろうとしているときに警官が戻ってきて収まった。


淡々と警官との千円札をめぐる会話をして数十分、手続きを終えて交番を出ることが出来た。

そうして、他にトラブルもなくお祭りに参加した。

楽しい時間はあっというまですぐに過ぎるというのは本当だった。

莉紗が好きだ。そう確認して胸の奥の奥にしまい込んだ。

大切で儚い感情はすぐに綻んで壊れてしまいそうに思ったから。








穏やかに流れる時に身を任せるべきではなかった。

気が付くような刺激的な出来事に巡り合うのに数週間かかってしまった。

刺激的。そう一口で言ったが、これはデスゲームだ。

楽しいゲームではない。

最初に言い出したのは沙羅だった。

「じゃんけんに負けた人が告白ね」

そう言われたときはじゃんけんに高価なものを賭けるようなものなのに参加するものか!

と思っていたが意外にも夏八木が乗り気なので参加することになった。

ゲームが始まり「じゃんけんほいっ」という号令に合わせて二つの記号に分かれた。

それは、勝ち負けという残酷なラインであり、しかもそれが男子と女子という綺麗な分かれ方なのはきっと談合していたからだろう。そんな事を考えている手前夏八木からひそひそ声で談合についての事を伝えられた。

俺はそれに従い指示通りの記号を手で表した。

不意に相手の手を見る。その手には相手の負けを表すサインが刻まれていた。

夏八木の顔を見ると苦い顔。彼も予想してなかったらしい。というか、無意識で出したのか…?


「い、斎…」苦いものを噛みしめた時の顔の夏八木の肩に手を置き慰めた。

その後、再戦をしたが再度夏八木の負けだった。



端的に言うと夏八木は告白した。

そして、その後に地獄のような空気感を味わい。双方からの相談を受ける羽目になった。

別に嫌なわけでもないが、なんてアドバイスしたらいいのか分からないし変な事を口走って二人の溝を深めるのも嫌だったので、あまり深く干渉しすぎずにできるだけいい方向に進むように誘導した。



それから、時間は少し進み4日経った。

ほんの少しの時間しか経っていないが悪い雰囲気が漂っている。尽力したいが自分の事もあるのでごちゃごちゃしているのが現状だ。

兎に角。現状を打開し今の関係性を維持しないといけない事には変わりない。

夏八木の家に迎いに行かないといけないのでその辺の計画を練りながら自転車をゆったりとこぎ続けた。

夏八木を迎えて集合場所に着き待っていると、寝坊したとい言っていた沙羅が坂のしたからやってきた。


「まだ、そろってないの?」


息を切らしてそう言う彼女の表情はどこか機嫌がよさそうで安堵した

その後、夏八木にも話しかけていたようで安心した。

夏八木は少し泣きそうになっていたようで笑ってしまった。

この外出は、個人的にも楽しめて莉紗との仲も深まったと思う。

沙羅は夏八木への返事を出すと言い何かと上手くいった。

安堵に満ち溢れた休日を過ごした。

次の日、月曜日で憂鬱な気持ちになりつつも学校に登校する

けれど、莉紗と話せるかもと想像するだけで憂鬱は召天した。

途中、沙羅からのよくわからないお願いを聞いたがそれ以外は日常どおりの日をぼうっと過ごした。

時刻は昼に差し掛かり昼ご飯を食べ終わる。

夏八木やその他の人間たちと無駄な話をしながら時間を浪費した。

昼休みの終わりを告げるチャイムを聞き一斉に人が自分の席に帰っていく。

午後からの授業も頑張ろう。その決意をあくびに表し席に向かう。



窓から差す光の刺激によって起きている事が奇跡であった5限目。

悪夢のような時間を終わらせる音が鳴り響き先生の号令によってクラスは解放された。

眠りの世界に堕落しようと考えていたがそれも空しく夏八木に呼び出された。

そこは、男子トイレという悪臭漂う密閉空間でありあまり長く滞在はしたくなかった。

そこで、紙を渡され読むように促された。

その、紙を読み何かを悟った。沙羅からのお願いとこの紙の内容。

それらが、上手く繋がった。

それは、パズルのように。







夏八木は、無事に振られ。

ほとんどが、もとに戻った。

莉紗とは、数日前から挨拶運動をきっかけに一緒に行くようになった。

出会ってからは随分経ち、秋は終わりを迎え寒くなり始めていた。

寒空の下で。二人肩を並べて。ゆったりと話し。

そんな、朝を過ごした。

すごく。すごく好きな人とそんな朝が来るのが本当に楽しみで。

あれだけ憎らしかった朝が愛しくなる。

勿論、莉紗の次に。

愛しい彼女の前でふと思う。

もし、この気持ちを口に出せたら。そんな勇気が俺にあったなら。そう思うだけだった。


夏八木にも相談したが、奴は「告れ告れ」というばかりだった。


好き。という感情は尊いがとても辛いものだな。そう実感した





次の日次の日と時間を浪費する。

楽しい日々はすぐに過ぎるというが御もっともな意見だと思う。

日々が駆け去るたびに増える言葉は受験という劣悪な2文字だけだった。

いつしか気づく。

タイムリミットが存在するのだと。

いつまでも、こんな暮らしが続けばいいがそうもいかない。

高校に進学して大学に行って就職するそして結婚するかもしれない。そうまだまだ人生は続くのだ。

そして、その気が遠くなるほどの人生の中の中学生活は今しかないのだ。




焦りと迷いが同時に攻めてくるこの状況に呆れかけていた。

その、呆れる時間さえ勿体無い限りであった。

そうは理解しているがどうも行動には移しがたかった






数日後。ここまで思案するのに労力を使い果たしたので正確な日にちは覚えていない。

労力を伝い果たしたと表現したが、莉紗の事を考えているうちは幸せで満たされている。

問題は、その後に自己嫌悪に陥ってしまうことだった。

友人たちに相談すると、決まって「今しかない」という結果に終わるのだが、如何せん勇気が出なくていじいじと日が過ぎた。


諄い諄い諄い諄い。もやもやする。胸が悪い。嗚呼辛い。


恐怖という呪いに締め付けられた。

首を絞められたように息が苦しい日々。

ふと思った。振られても死ぬわけじゃないしチャンスは何度かあるのだと。

恐怖に立ち向かい僅かでもある可能性に賭けてみよう。そう考えた時には不思議と過去が馬鹿らしくなった。

気持ちを伝える。それだけになぜ苦しがっていたのだろう。辛がっていたのだろう。


緊張はする。けどそれらにはもう負けない。

夏八木に告白すると伝え激励される。



明日。明日だ。気持ちがぶれないように。逃げてしまわないように。

いつもの待ち合わせ場所に着く。


少し、馴染んだこの場所は緊張の所為か日常とは違うように見えた。


手は少し震えていた。


少しして莉紗が来た。


歩きだした二人はいつものように話す。


感づかれない絶妙なタイミングで好きな人への話題へとすり替える。


しばらくのとりとめのないやり取りをした。


「斎の好きな人は?」そう莉紗から切り出される。


遂に。思うと緊張で胃のなかのものを全て吐き出したくなったが我慢した。

自分を落ち着かせ。勇気を絞りだす。


「目の前に居る人だよ…!」


彼女は、驚きなにも言わなかった。


無言の時間がしばらく続いた。


「じゃ、じゃあ明日は莉紗の好きな人言うから…」


そういい、二人は自分の教室に入った。


後悔という気持ちは多少あったかもしれない。


けど、後悔よりもほかの感情の方が大きかったかもしれない。







次の日。


莉紗の好きな人は自分ではないだろう。


なので、今日莉紗の好きな人を聞いてしまうのは振られるということと同義なのだと思った。


絶望のうちに希望という光を隠し持ち場所にむかった。


二人ほぼ同時に場所に着き驚いた。


おはよう。そう小さく挨拶し合い歩き出す。


しばらく沈黙した後に莉紗が話し出す。


「好きな人の話なんだけどさ。」


話が始まり、覚悟を決める。


「実はさ…。斎が好き。」

なにか分からなかった。


なにを言っているかも。


自分の想定と全く違う。


聞き間違えじゃない事を自分に問い、余計に心臓が高鳴る。


「本当に?」そう問う。


「本当」彼女は少しはにかみそう言った。






短編にしようと思っていた寒空ノ下デでしたが

「別視点も書きたいなあ」という事で連載にしました。

いつ書くかはわかんないです!

忙しい日々からも解放されるので書きたいのを書きたいだけ書けます!

では、また!

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