僕の愉快な小人達
僕はいつも小人達の夢を見る。彼らはいつも楽しそうだった。お菓子をみんなで均等に分け合い、自分達の住処を協力して作る。僕はそんな彼らをいつも夢で見る。ある日の夜、僕は寝る前にこう願った、小人さん達と遊びたいって。
「おい、起きろ。こんなとこで寝てるとでかいやつらに捕まっちまうぞ」
僕は初めて聞くおじさんの声で目を覚ました。
「おじさん、だれ?」
「俺はガルフ。人族のまとめ役みてぇなのをしてるもんだ。おまえさんはナニモンだ?こんな場所で寝るなんて正気の沙汰じゃねぇが」
「ぼく?ぼくは悠里だよ。今年で7歳になったんだ。えへへ」
少し難しい言葉を使うおじさんに自己紹介をした。
「7?親はどうした?とりあえずここは危ねえから移動するぞ」
そんなことを言いながらおじさんは僕を葉っぱの下に引っ張って行った。
⁈ そこではじめて僕は寝ぼけた頭が覚めた。なんで僕葉っぱより小さいの⁈
「あ、あのこんなに大きな葉っぱってありましたっけ?」
僕は知らないはずなのに何故か一緒にいると安心するとともに、何だか見たことのあるこのおじさんに聞いてみた。
「ああん?ボウズお前何言ってんだ?葉っぱつったらこの大きさが当たり前だろ?というかこの葉っぱなんて小さいほうだろ?」
これを聞いて僕はハッとした。もしかして僕が小さくなってる⁈じゃあ、このおじさんっていつも僕の夢に出てくる小人の中で一番偉い人⁈
「おい、どうした?ボウズ」
「ううん、なんでも無いよ」
僕は高鳴る胸を誤魔化しながらおじさんにそうかえした。
小人達は、僕を歓迎してくれた。美味しいお菓子をくれたし、家だって建ててくれた。そんな日々が長く続いた。
俺には、妻が出来た。小人達の中で俺は一番の力持ちになって色んなことで活躍していたのもあって、可愛い妻が貰えた。俺は自分が元は大きな人間であった事など忘れてしまっていた。それに、もう人間に戻りたくなどなかった。
「残念ながら、お子さんの目を覚ますことはできません。私たちもなぜこんなことになっているのか全く分からないのです。体の機能は全く異常が無いのに、意識だけが無いだなんて」
「悠里、お願い目を覚まして。お願いよ」
今日も子供は親のことなど知らず、愉しく暮らし、親は子供の事など知らず、痛々しいまでに体に点滴をされている子供の枕元で泣いている。