第一話『黄金都市を継ぐ者3』
睦月久。
それが俺の名だ。
サラリーマンとして働いており今日は外回りで何軒も回っていた。
確か七件目を回った後だった。
次の外回りに行くために歩いていて歩行者信号が青になったので歩き始めた。
時間とメールを確認するために一瞬スマホを見る。
その時にスマホを落としてしまった。
画面にヒビが入っていないのを確認しながら腰を屈めながら拾った。
次の瞬間、信号より手前の路地から異常な速度の車が急カーブをしながら突っ込んきた。
自動車信号はまだ赤で歩行者信号も青を示している。
他の通行者は身を翻し皆ギリギリで避けた。
しかしスマホを拾っていた俺だけはしっかりと撥ねられた。
丁度横断歩道の真ん中に居たのも運が悪かったのだろう身体を捻って避けようとしたが運動不足の俺にはとてもそんな事は出来ずどうにも出来ない質量が俺の体を吹き飛ばす。
身体が爆発したかと思った。
凄まじい感覚が自分を襲った。
息が出来ない。
今まで感じたことのない苦しみが体を襲った。
そして次に自分の中の何かが急速に失われていくのを感じた。
俺は多分死ぬのだろう。
―――そう思った。
しかし、何故か俺はまだ生きて・・いるのだろうか?
痛みは消え去っていた。
俺は体を起こして視線を彷徨わせる。
すると驚愕の事実が飛び込んできた。
「何で俺の体があるん?・・・え・・・へ・・?・・・オレ・・の死体!!?」
目の前には何故か俺の死体がある。
それは最早生きているとは言えない状態で何やら腕やら足やらが折れてしまっているようだ。
俺は死んでしまい今は幽霊・・なのだろうか?
身体から力が抜け何も考えられなくなる。
現実逃避により無意識に視線を彷徨わせた。
自分の手を視線が横切る。
不自然な感覚。
今・・何が見えた?
視線を戻すとそこには見たことも無い黄金の腕が携えられていた。
黄金の両腕。
それも精緻な細工の施された素人目にも凄まじい芸術品が在った。
自分の手であろうモノを凝視する。
それは本当に自分の手であるらしく意思通り滑らかに動く。
どういった技術か金属に多少の弾性があり人体とまではいかないまでも非常に精巧な義手と言えた。
「義手だよな・・金・・属だしなぁ・・でも皮膚感覚があるけどコレ何なんだ?ていうか死んでんじゃないのか?幽霊って金属製なの・・か?」
視線を彷徨わせる。
見慣れない小屋だろうか?
自分が居る場所を確認する。
地獄っぽくも天国っぽくもない。
ではココは何処だ?
何処かの小屋の一室にいた俺は立ち上がると近くにあった鏡を覗きこむ。
「何これ・・黄金の・・・死神?」
一般的な日本人の知識しかない俺は混乱を極めていた。
同じ部屋の中には俺の死体が在りそして、当の本人である俺自身は黄金の骸骨面に成っている。
訳が分からなさすぎて笑った。
ハハハ。
部屋に響く声。
しかしその声は生前と変わらないように感じるのは俺だけだろうか?
というか本当に俺は生きているのだろうか?
「誰か・・教えてくれ・・」
そう呟いた。
返答を期待した訳じゃない。
ただ自分を落ち着かせるために声に出しただけだ。
だが予想と反して俺の質問に答える声が響く事となった。
「オコタエシマス。ゴシツモンヲドウゾ」
振り返るとそこには一体の人形が立っていた。
更に様相から見るにそれはRPGなどで良く見るゴーレムのような形をしている。
「はは、こりゃ・・あれだ・・昨今流行りの異世界へ行く系の・・かな・・?」
などと、また自分を落ち着かせるために口に出した言葉だったがそれが的を得ていると判断するのはそれから直ぐであった。
うーん、やっぱり読み辛いようなそうでないような・・。
難しいなぁと思いますが頑張りたいと思います。
(・w・)つ旦 お目汚し失礼いたしました。




