表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編

上を向いて歩いた

作者: 天童美智佳

 上を向いて歩こう。


 いつだってそれを心がけてきた。どんなに下を向きたいときも、どんなに立ち止まりたいときも。目頭に溜まった熱い水が溢れないように、顎をぐっと上げて。後ろにいる誰かに怯えながら、私はずっと歩いてきた。‬

 声が言う。もっと上を向けと。‬

 声が脅す。もっと速く歩けと。‬

 果てしない鉛色の空。何もない灰色の道。‬首の骨がみしみしと呻く。ふくらはぎが悲鳴をあげても、ただ前に進み続けた。


 あるとき、足先に何かがぶつかった。同時に、鼻先を何かが掠めた。空ばかり見ていた私は、咄嗟に首を仰け反った。

 あ。

 ばきり、と嫌な音がして、地面に叩きつけられた。気がつくと、まっさらな道にひとつ、赤い花。


 灰に咲く花。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ