第3話 古泉雪菜。1年生です。
友達百人できるかな?なんて夢を笑顔で言えるのは、小学1年生までの特権なのかな?
例えそうだとしても、小学生でも、中学生でも、高校生でも、さらにその先の大人になっても、友達は多いに越したことはないでしょう。そのように私は、古泉雪菜は考えています。友達のいなかった日々を、私は知っていますから。
小さいころの私は、わがままで、変なところで意地っ張りで、そして小心者でもありました。そのせいで、私は1人でいることが多く、とても寂しかった。砕けた話し方が、今でも上手にできないのは、多分そのせい。ユウさんやスズさんが、そんな私に声をかけてくれて、連れ出してくれて、本当にうれしかった。今でも私は、2人のことを天使のように思っています。2人のおかげで、団子さんのような、頼りになるお姉さんもできました。友達百人は夢のままです。けれども、私には今、かけがえのない3人の親友がいます。
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「新入部員を勧誘したいと思う」
「せっかくなら、もっと増やしてワイワイとやりたいだろう」
団子さんのその言葉は、私にそんな夢を思い出させました。スズさんが引っ越し、いつも4人だった私たちですが、今ここにいるのは3人だけです。スズさんがあちらでも元気に頑張っている以上、寂しいだなんて言えませんが、そんな感情がないとも言えません。ユウさんやスズさん、そして、団子さんが連れてきてくれたこの場所を、そんな感情を抱いてしまうところにしたくはありません。
新入部員の勧誘。私の後輩さん。お友達。突然のことではありましたが、とても良い提案だと、私は思いました。
「団子団は年下の少女だけの花園にしたい!」
団子団。私がいて、ユウさんがいて、団子さんがいて、そして、スズさんがいる、私の大切な天使さんがいる場所。そんな大切な場所を花園に。とても良い響きです。でも、年下の少女だけ、というのは、どういう意味でしょうか。
団子さんの魅力的な提案に、ユウさんも、力強くうなずきました。私も、それに続きます。
「多くの裸のお花ちゃんたちに囲まれてベッドに深く腰掛けるあたしの姿をリョウに見せつけてやろうじゃないか!」
たくさんのお友達とお泊り会。すっごく楽しそう!みんなで一緒に寝るのであれば、ベッドじゃなくて、お布団の方が良いかもしれません。裸で、というのは少し恥ずかしいのですが、そういうものなのかな。確かに、裸のお付き合いは、親睦を深めるのに良いと聞いたことがあります。でしたら、お泊り会は冬よりは、夏の方が良いかもしれませんね。夢が広がりますね!
「えいっえいっ―――――」
『おー!』
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友達百人できるかな?そう言う特権は、私には、もうないかもしれません。でも、高校1年生になった今の私でも、その夢を目指す権利はあるはずです。団子団をもっと楽しく美しく、スズさんが年に100日ぐらい帰ってきたいと思えるような場所に。
こうして、想いをひとつにした私たちは、さっそく作戦会議をはじめました。