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怒りの代償

処女作になります。拙い文ですが楽しんでいただければ幸いです。ミスがありましたら逐一報告お願い致しますm(_ _)m。

      序章  魔王への道のり


「また空虚な一日の始まりか」そう独り言を残すと布団から這い出た。目が覚め、冷えた飯を喰らい一日中外を見てぼんやりして布団に入り眠りにつく。そんな日を500年以上続けている。

こんなにつまらない日常を繰り返しているのには2つの訳がある。

1つは私が最強の魔王である事

もう1つは私がいるこの場所「最果ての魔界」に城を構え住んでいるという事だ。

そもそも私はもとは人間だった。だが今では私と同じ種族であるはずの人間から敵視され滅ぼすべき対象、つまり魔王として生きている。

なぜ私が人間から魔王になったのかは当然理由がある。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕は田舎のとある貴族の家に生まれた。

貴族と言っても爵位は下から2番目の男爵。しかも辺境の地が領地なのだから他の貴族たちからは、田舎者や貧乏貴族、ときには、領地持ちの農民とさえ呼ばれている。だが僕達の領地は豊かな所だ。農業も漁業もどちらとも技術が発達して食べ物に困ったことは一度もないし、領民たちもみんな慕ってくれている。こんなに素晴らしいところなのに王都の近くの貴族たちはひたすら馬鹿にしかしてこない。いつか見返してやろうと今はひたすら勉学に勤しんでいる。

そんな僕のお父さんとお母さんはいつも忙しそうにしている。それもそのはず、貴族である為にやらなればいけない仕事があるくせに直ぐに農業や漁業の手伝いに行って泥まみれかビショビショになって帰ってくる。

その後に「大変だ大変だ」と急いで書類の仕事をしている。いつも僕は自業自得のいい例だと思いながらその光景を見ている。


ある雨の日、いつもより早く起きた僕は外の様子を見たあとにお父さんとお母さんを起こしに行った。

この屋敷は、この町では1番の大きさを誇る家でメイドや執事は合計で4人もいる。大きな町や王都の方では20ほどいるのは当たり前で、むしろ少ない方らしいが、こんな辺境の町の屋敷にしては多いと思っている。そんなこの屋敷は2階建てで部屋が12個もある。その中の1番奥で1番大きな部屋が両親の部屋なのだが、その日はなぜか誰もいなかった。

いつも両親を起こすのが僕の、日課でどんな日でも両親はそこの部屋にいた。仕事をためすぎたのかな?とその時にはしっかりしろよ!僕の親!としか思わなかった。その日は1日中屋敷の書斎に篭りっぱなしだった。

「ふうぁーわ」と吠えながら目を覚ました。どうやら本を読んでいる最中に寝てしまったみたいだ。「今日も1日頑張るぞ!」と心の中で自分を奮い立たせたあと、ドアノブに手をかけた。ご飯を食べようとスタスタとキッチンのある部屋へ向かっていると

「ミモ様とヘル様が」とメイドのリモネスが真っ青な顔で僕を呼び止めた。僕が詳しく聞こうとする前にリモネスが話を続けた。

僕はリモネスの話を1時間ほど聞いたあと


「1人にしてくれ」


とリモネスに伝えて自室に入った。

お父さんとお母さんは、王都に行く途中の道で倒れていたところを、商人に見つけられ近くの村で、治療されたが、夜が開ける頃に息を引き取ったと言う。

どうして両親が王都に向かっていたのかはわからないし、どうして道端で倒れていたのかも当然わからない。

この時の僕は悲しみやら、ぶつけようのない怒りやらで頭の中が窓の外から見える雨のように土砂降りだった。


両親の葬儀が終わり3ヶ月がたった頃、何もやる気の出ない無気力状態が続いていた僕に、2つの変化が起きた。

1つは僕がこの家を継ぐことになったため王都へ、研修しに来いとお達しが来たこと、

もう1つは、僕が悲しみにふけていたときに僕を慰め続けていたメイドのリモネスや執事のコクットックが、王都の次に大きな町の領主デスモスのところに行ったことだ。


彼らは、もともと行く気は全くなかったのだがまだ領主なりたてで右も左もわからない若造の僕の、後ろ盾を得るためにデスモスのところへ行った。彼らは、僕が成人したときにこの屋敷に帰ってくると約束し出ていった。彼らがいなくなったぶん新しい執事とメイドが入ってきた。新たに入ってきた彼らは1つの家族らしく、大人2人子供2人が新しく僕の従者になった。その家族の父にあたる者が僕の専属執事として、母に当たる者が給仕として、姉にあたる者は僕と同じ年だった。その者はトレネルという名前でとても美しい女性だった。その娘はメイドとして、妹はまだ小さいためメイド見習いとして働いてくれていた。トレネルとは、はじめ壁のようなものがあったが同じ時を過ごしていると自然と仲良くなった。主人と従者の関係のためどちらも踏み込めずにいたため、恋人未満友達以上のような関係が続いていた。彼女の、父フルは、僕に彼女がいかに素晴らしいかをよく聞かせてくれていた。親ばかではあったが僕も、彼女に好意を持っていたためその話は飽きることはなかった。16歳になったある日王都に研修とは名ばかりの田舎の貴族いじめ会に出席するために、準備をしていた。準備が終わり寝ようとしていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。誰かと思ってみるとトレネルがそこにいた。


「王都へはどれくらいいるのですか?」


と少し悲しそうな顔をして聞いてきた。


「1年かそれ以上になると思うけど、年の終わりには、帰ってくるよ」


と少し濁す感じで答えると突然トレネルが僕を抱きしめてきた。


「私は貴方様の事を1番に想い1番に愛しています」


そう言うと彼女は笑いながら僕の唇に彼女の唇を押し付けてきた。

僕は、混乱していたが彼女の腰に手を当て、押し付けてきた唇を優しく包み込みながらシーツの海に2人で潜り込んだ。


次の日の朝、彼女は生まれたままの姿で僕の横で寝息をたてていた。別れは寂しいが、彼女が起きて、行かないでと言われてしまったら僕は王都に行くことはできないと思ったために彼女を起こさず屋敷を出た。



王都への道のりは退屈で大変なものだった。

馬車は馬鹿みたいに揺れるし、そんな馬車の中ではイチャつくカップル、機嫌の悪いおじさん×2、小さな女の子とお父さん。それぞれがそれぞれのことをしていて、静かなときは夜がふけてからだけだったが、僕は誰とも会話を交わさず馬車の中の時間を過ごしていた。退屈そのものだった。


王都に着く前に1つ事件が起きた。

馬車の中で1番にうるさく、苛つく原因だった、カップルが喧嘩をしたのだ。理由はわからないし知る気にもならないが、カップルが喧嘩をしたあと馬車の中はギスギスしていた。


「着きましたぞ。長旅お疲れ様でした。」

馬車の操縦者はマニュアル通りの言葉を述べるとすぐに何処かへ行ってしまった。僕は王都にいる間お世話になる貴族様に挨拶をしに屋敷へと足を動かした。



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