color's 第4話
4話 一難去ってまた一難
意識が戻った時、、最初に見えたのは見たことのない真っ白の壁だった。
しかし俺はその壁が天井であるとすぐに理解した。なぜかというと頭には枕の感触、体には布団の感触、さらにその壁にはレールのようなものが俺を囲うようにくっついていて、さらにさらにそのレールからこれまた真っ白いカーテンがぶら下がっている。...どう考えても今見てるのは天井、そして今俺がいるのは保健室だ。
俺は少し体を持ち上げてみる。俺は保健室とは無縁の存在だった。ケガをしたことがないわけでははないが、保健室に行くほどのものではなく、体調不良などでも行ったことがなかった。だから初保健室がいきなりベッドとは思ってなかった。
けれどなぜか今、とても安心感を得ている。それはきっと今この空間、この光景のおかげだろ。真っ白の天井、真っ白のカーテンに包まれた俺は、とても澄んだ気持ちになっている。まるで現実という暗黒世界によって汚された俺の心を浄化してくれてるような感じだ。
ありがとうカーテン、君のおかげで嫌な記憶を消し去れそうだ!
「あ、やっと起きた」
...えー、神様。悲報です。全ての記憶が蘇りました。
俺は右側を見てみると、そこには大谷沙耶がいた。
「わぁ!!?」
「起きるの遅すぎるのよ、もう昼休み終わるじゃない」
少しイライラしているのか、腕を組みながら強い口調で言ってくる。怖い、怖いよー!
「な、なんで大谷さんがここにいるの?」
そう聞くとギロっと鋭い目でこちらを見てきた。
「あんたが倒れるからだろうが!!」
大きな声を出さなかったが、怒鳴ったくらいの迫力があって、俺は思わずのけぞってしまった。
やばい!怖い!怖いよ!めっちゃ怒ってるよ!激おこぷんぷん丸だよ!すごい迫力だよ!身長ちっちゃいからおとなしいと思ってたけどまるで小さな巨人だよ!
「ごめんなさい!ごめんなさい!許してください!」
俺は超必死で謝罪した。今までにしたことないくらい謝罪した。もちろん、のけぞったままではなく、正座したまま両手と頭を床にくっつける、いわゆる土下座の状態で。
「は?土下座すれば許されるとでも思ってるの?」
…どうやら史上最大の謝罪の効果ゼロの模様。
「どうか、どうか勘弁してください!なんでもします!」
俺は土下座姿のまま許しを乞うてみた。無理を承知で。しかし、
「…あんた、今なんでもするって言ったわよね?」
と、言われた。
あれ?これもしかしたら許してもらえるのでは?
「はい!言いました!」
ここは素直に答えるべきだ!
そう判断した俺は、すぐにそう答えた。すると
「そう、ならまず顔を上げなさい」
言われるがまま、顔だけ上げてみる。するとそこには下卑た笑みを浮かべた大谷沙耶の姿があった。
あれ?俺さっきなんでもするって言っちゃったよな。これ、めっちゃやばいんじゃねーの?さっきの様子からするに相当怒ってたから、やばい命令出されるんじゃないの?
そんなことを考え出すと、急に変な汗が体全体から溢れ出してきた。さらに嫌な命令が頭の中から溢れ出してきた。
休学?退学?いや、さっきの笑みからして、絶対社会的に殺しにかかりに来るはずだ。そうなると考えられるのは…
そして、一つの結論が出た。
「じゃあ今から言うことをしなさい。まず──」
「全裸で学校走り回るのだけは勘弁してください!!」
さっきまで上げていた顔をまた下げてそう懇願した。大声で。
こんな命令されたら社会的に死ぬだけじゃなくて様々な面で死ぬ!てか普通に死ぬ!
しかし待っていたのは長い沈黙と、冷たい言葉だった。
「おい西野、顔上げろ」
さっきよりさらに怖さが増したその声に怯えながら、恐る恐る顔を上げる。するとそこにあったのは金剛力士像よりはるかに機嫌が悪い様子の大谷沙耶の顔だった。そして
「人の話は最後まで聞・け・よ」
その表情は悪魔そのもののような感じだった。
「私がいつそんなこと言った?全裸?ふざけんな陰キャカス。走りたければ勝手に走ってろバカ。あと声でけぇんだよ」
俺は今、全裸になってでも逃げたいくらいだった。それくらい恐怖を感じていた。そして怯えすぎて声も出せなかった。
「いいか陰キャ野郎、今から言うこと、ちゃんと聞いて言われた通りちゃんと演じろ、分かったな?」
殺される!俺殺されるよー!
「返事は!」
「ひぇえええぇええーーー!!!!」
なんとか声が出たが、なんか、まあ、恥ずかしい返事をしてしまった...。
この作品を読んでくださった方々、投稿遅れてしまい、申し訳ございませんでした!
実は、現在受験勉強中でして、次話の投稿は受験終了後となりますか、今後も投稿を続けるつもりなので、また見に来てください!