試験
俺とセレーネは一度街に戻り俺の家へと向かった。
ガチャ!
ーーー自宅ーーー
「アイリス悪い!この人を頼む」
「ちょっと!兄さん汗びしょびしょで、って!何急に!って!どこ行くの!!」
俺はセレーネを半ば強制にアイリスに頼み城へと向かった。
ーーー会議室ーーー
「リン隊長!俺たちの仲間が誰かに殺された!」
リンは待ってたかのような笑みを浮かべ今回の件の真相を話した。
「リオス、セレーネの姿は見えないが察した所お前の家に連れて安静にさせてるのだろう。確かに女性には死体を見せるのは酷だからな‥」
リン隊長が発した言葉の意味がわからず硬直してしまう。
「今回の東の森で魔物討伐を任せたな?それとは別に重要な事を身体と頭に知ってもらうために仲間殺しのセッティングをこちらでさせてもらった」
「ちょっと待ってください!じゃあ、あの死体は偽物なんですか!?」
「おい、入れ」
リンがそう言うと会議室の入口の扉から男二人組が入室してきた。
「君ら同期に混ぜてもらった。第三部隊所属デクノ隊員とボウ隊員だ」
その男達は先程森で死体だった人達だった。
デクノとボウは今回の件を簡単に説明した。
「君達の同期の中の2人はこの事を知っているんだが少し王様が話そうとしていた20年前の悲劇を話そう」
20年前の悲劇とは王国騎士の裏切り者が前国王を殺した事件だったという。
住民には病で倒れたという事を知らされていた。レーヴィの重役と兵だけがこの事を知っている。
だが、その犯人は前国王の弟前王国騎士総隊長だった。
そして今回の目的はいついかなる時でもこういう事態があるかは分からないその時に備えての訓練との事だった。
だが、それから会議室で一時間の待機の中帰ってきたのは落ち着いたセレーネと付き添いにきたアリエス。
そして、ヴェルツとアキスだけだった。
他の同期はなんとその死体を見ただけで驚いて辞退したという。
それもそのはず、何年もの月日を平和に暮らしてきた者達には死体を見るのは酷すぎたのだろう。
何も知らず、知らされず、ただ騎士というカッコいい役柄が欲しかっただけなのだ。
ただ。俺は死体を見るのは初めてでは無かった。
故郷の惨劇を見たから、この話は今は話す気はない。