表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

婚約者は無言を通す

作者: 亀屋たむ

 騒がしくて仕方がない。


 フィリアは視線を僅かに落としながら内心溜息を吐いた。丁寧に手入れされた芝生が陽光を湛えて青々と煌いている。カフェテラスに注ぐ時間はいつも通りの長閑な昼下がりである。今日はお気に入りのお茶をお供に、手に入れたばかりの魔導雑誌を読むつもりだったのに。特に、魔法と香水について書かれた連載コラムは彼女の毎月の楽しみなのである。


「……以上が、この1ヶ月間にカトリーヌ・ヴィニョン嬢へ行われた中傷や嫌がらせだ。いずれも悪質で貴族としての品位が欠片もない。本来であれば自治会の案件とし相応の処罰を与えるところを、カトリーヌ嬢の意志を尊重して事件にはしない。彼女の寛大で高潔な魂に感謝し、大人しく己の非を認め謝罪せよ」


 嫌々ながら彼女は視線を再び持ち上げた。

 7歩先の真正面には金髪碧眼の青年が苛烈な瞳で彼女を射抜いている。眉から額にかけて大層力が入っているご様子で、年頃の令嬢達が頬を染める甘い目尻を吊り上げ、麗しいご尊顔に怒気を露わにしていた。発言しないまでも「ご」を多用したのは、彼がこの国の第2王子という地位にいる為である。


 その三歩程離れた傍らには、暗茶の髪と同色の瞳の、やはり顔の整った男が眉間に皺を寄せている。元々鋭利な印象を受ける切れ長の一重が、獲物を絞るようにフィリアを睨み据えていた。先程まで、やれ「陰湿な噂話を流した」「ドレスを踏んだ」「10日前に階段から突き落とした」等の罪状を読み上げていたのは彼だ。

 先程から耳が忙しくて生憎と全部は聞き取れなかったが、わざわざこんなところでそんなものを投げつけられる云われはない。生家は彼もフィリアも伯爵家である。違うところと言えば彼の父は国の宰相、方やこちらは一介の研究員という点だろう。


 それにしても、寛大で高潔な魂とは一体何を指すのか。そう突き刺したいのを呑み込んで、彼女は表情に「無」を持続させる。感覚で喋るのは程々にして定義をして頂きたい。


 フィリアはサッと周囲に視線を走らせた。中庭を臨むカフェテラスはいつもと違う雰囲気に包まれている。ちょうど昼食後のティータイム中だったので人が多く、彼女達の周りには人垣が出来ていた。彼らのどの顔からもはっきりとした表情は読めず、しかしながら無関心を決め込むつもりもないらしい。ここは大体13~20才までの貴族の子息子女が学ぶ学院で、同様の学院の中でも権威が高い。従って、人垣は完全な野次馬ではなく、学院で起きた事件を各家に報告する為に傍観していると言うのが正しい。

 実際に、あちこちでキラキラと涼やかな音が弾けている。恐らく伝達魔法の一種だろう。この国は魔力を持つ者が多く、簡単な魔法であれば学生であっても使うことが出来る。彼女も魔力を持っているが、その全てが身の周りで魔法が発現すると鈴の音として感知するという魔法に変わってしまう。このような体質を総じて「潜在魔法」と呼び、無意識下で魔法が発現するという特徴を持つ。潜在魔法の所持者はレアではないが数は少なく、学院に約300人いる学生のうち、正式に確認されているのは彼女だけである。


 それにしても、とフィリアはもう1度思った。この衆人監視の場で謝罪を要求する魂が寛大かつ高潔と言うのであれば、生まれる国を間違えたとしか思えない。


 とりあえず今、フィリアは派手に断罪されている。

 視界には王子と宰相令息、庇われるように女が1人と、その隣にまだ一言も喋っていない男が1人。

 どうやらフィリア・バルタール伯爵令嬢は、カトリーヌ・ヴィニョン男爵令嬢に数々の嫌がらせをした事になっているらしい。全くの濡れ衣である。


「恐れながら、身に覚えはございません」

 芯の通った少女の声がカフェテラスに響いた。フィリアの耳にも周囲の音がプツリと絶えたのがわかる。先程からひっきりなしに鳴っていた伝達魔法も一区切りついたのだろう。


 すると彼女の答えから間をおかずに、宰相子息は視線を固定したまま、証拠を1件1件こと細かに述べ始めた。この流れを想定していたのかメモすら使用しない。しかし、内容を聞くにつれ、彼女は表情を保つ方に力を入れざるを得なくなった。

 なぜなら、近くでフィリアの姿を見ただとか、噂をしていた学生とフィリアが挨拶しているのを見ただとか、どれも証拠とは言えないような情けないものばかりだったからである。しかし、フィリアとしても明確な無実の証拠は提示できない。よく観察してみると、宰相子息は眉間に寄せた皺はそのまま、口元をやや引き攣らせていた。彼の人柄はよく知らないが、恐らく彼自身も証拠としては貧弱だと思っているのだろう。周囲の顔色を眺めると、無表情ながらも呆れたような声が漏れ聞こえてくる。

 それはそうだろう。

 チラリと背後へ目をやると、そこには2歩ほど離れた位置に固い表情の騎士団長の子息が立っていた。逃走防止か、成程。

 証拠の列挙が終わり宰相子息が口を閉ざす。すぐさま王子がカトリーヌの魂を讃えながらフィリアに謝罪を命じた。先程よりも苛立っているらしく、やや早口になっている。


 フィリアは無言で王子の腕へ視線を動かした。滑らかで上質の生地に細く白い指がそっと置かれ、肩口から柔らかな金髪がのぞいている。遠慮がちに王子の後ろへ隠れる姿は庇護欲を掻き立てられそうな程に可憐で、小柄な肩に細い首、化粧気のない顔を彩る大きな灰色の瞳は潤んでいた。彼女は怯えるようにフィリアを見つめ、時折目を伏せたり、スッと横へ逸らせたりして忙しい。

 10日前に階段落ちを果たした割に、怪我ひとつ痣ひとつないとは鋼鉄の肉体をしていらっしゃる。是非ともその秘訣を国防に役立てて頂きたいものだ。


 王子の発言が終わってもフィリアは無言を通した。突っ込める箇所が多過ぎて疲れ切ったのもある。

 すると、彼女と対面する男2人の顔がみるみるうちに厳しく引き締まっていき、やがて口々に謝罪を命令し、カトリーヌを讃え、「何とか言ったらどうだ!」とフィリアに怒鳴り散らした挙句、彼女の人格を貶め始めた。どちらとも今日まで1度も言葉を交わした事がないのに、よくもまあそれだけ個人攻撃が出来るものだと感心させられる。しかし残念ながら、彼女には途中からほとんど言葉が聞こえていなかった。

 沈黙に耐えられないとは精神力も忍耐力も足りていない。確か王子と宰相子息は19才だった筈だ。鍛え方が悪かったのではないだろうか。


「わ、私が悪いのです。私がダニエル様と親しくしてしまったから。フィリア様にとって私は婚約者を誘惑した憎むべき女。ですからフィリア様をそのように悪く仰るのはお止め下さい」


 突如、カトリーヌが王子の前へ歩み出て、胸の前で両手を祈るように合わせ膝を付いた。手入れの行き届いた波打つ金髪が陽の光に煌めいて、細い腰まで覆っている。許しを乞うような姿に通常なら衆目は心動かされるのだろうが、その行動を見た瞬間、その場はしらっとした空気に包まれた。表情筋を動かさないのは素晴らしい貴族力だが、微かに溜息や欠伸の音がする。

 彼らがああなるのも無理はない。何故ならこの茶番に付き合わされるのは今回で3回目なのだから。


 王子と宰相子息がカトリーヌを宥め、讃え上げて、か細い体を引き起こしている声を聞きながら、フィリアはのんびりとここ半年程のカフェテラスの騒動を思い出していた。

 半年前もカトリーヌに悪事を働いたとして、証拠らしい証拠もなく騎士団長子息の婚約者の婚約破棄が宣言された。その3ヶ月後に同様の手順を踏んで宰相子息の婚約者も同じ道を辿った。1度目も2度目も婚約者の令嬢方は青褪め、憔悴し切っていて、見ている方としても心が痛んだものだ。

 今、彼女達は学院を休学している。ちなみに第2王子にも当然婚約者がいるが、彼女はこの騒動を知って「返り討ちにして差し上げるわ!」と、嬉々と意気込んでいるらしい。後回しになるのも肯ける。


 カトリーヌ・ヴィニョン男爵令嬢が学院に現れたのはおよそ1年前だと思われる。学院は既定の単位を取得すれば良く、入学日も卒業日も定まっていない為、彼女がいつから学院にいたのか明確な時期はフィリアにはわからない。目に付くようになったのは、第2王子をはじめとする地位ある貴族の子息達を傍に侍らせ始めた頃である。

 ある時は講義室で、ある時はカフェテラスで、ある時は中庭で恋愛遊戯のような甘ったるい世界が展開されていた。愛を語り、笑い合い、男が跪き花と詩を贈る。時と場所を弁えれば、さらに言えば男女が1対1ならば、特に誰も何も言わなかったし気にも留めなかったに違いない。

 しかし、紳士淑女に施される教育において、他人の目がある場所で感情を露にする事はひとつの恥だと教えられる。積極的に関わり合いになりたい筈がない。やがて王族入りの場違いな集団は衆目を集め、遠巻きにされ、彼女と彼らはあっと言う間に有名人となった。

 そこまで思い浮かべ、フィリアはふと思った。――それでも伯爵家の令嬢としては、多少は怯えた方が良いのだろうか?


 いつの間にか元の位置に戻ったカトリーヌが、彼女の斜め後方へと顔を向けるのが見えた。それに合わせてフィリアもそちらを見ると、いかにも「無表情」という表情をした男がいる。

 プラチナブロンドの癖毛に緑色の瞳、容姿は美術品のように隙なく整っており、視線はフィリアを見ているようで見ていない。どちらかと言えば彼女の後方に焦点を合わせているような気がする。

 彼は魔導士長の子息であり、彼女の婚約者のダニエル・ヴォードワイエである。優れているのは容姿だけでなく、魔法を使わせて優秀、魔法研究においても将来を期待されている18才の奇才で、学院内でもかなりの知名度を誇っている。

 彼の姿がカトリーヌの近くで目撃されるようになって早1カ月。当初はご令嬢方の悲鳴があちこちから聞こえて来たものである。悲鳴だけならともかく、「誘惑が足りませんわ!」とか「奪い返して下さいませ!」と泣きつかれ、けしかけられたのはさすがのフィリアも困った。その時になって初めて、フィリアはこの1才年上の超マイペースな婚約者が、学院のご令嬢方に想像以上の人気があるのを知ったのだった。しかし、それよりも何よりも、カトリーヌの女性からの嫌われっぷりが凄まじかった。ちなみに、彼は今のところこの場で1度も発言をしていない。


 カトリーヌが再び潤ませた瞳でダニエルを見て、震える声で「ダニエル様」と呟く。その声は微かだった。過去2つの事例から言えば、ここで男側が婚約破棄を宣言するのである。

 フィリアはダニエルを見つめた。周囲の人々の視線も彼に集中し、静寂と沈黙が辺りを支配する。王子と宰相子息もダニエルの方へ振り返り息を潜めた。

 ダニエルはどこかへ投げていた視線をゆっくりと傍らに立つカトリーヌへと動かす。その表情は涼しいままで、瞳からは何の感情も読み取れない。

 カトリーヌがもう1度縋るように声をかける。今度はダニエルの片腕に弱々しく手を添えた。

「ダニエル様」

 フィリアは目を閉じた。


 ――訪れたのは無音だった。

 ダニエルは口を開かない。それを見守る周囲も物音ひとつ立てようとしない。「婚約破棄」の言葉を予想して誰もが固唾を呑んで彼の言葉を待つが、それでもダニエルは何も言おうとしなかった。

 期待が緊張をもたらし、緊張が不安へ転じ、不安が動揺を呼んで、沈黙はざわめきを生む。波紋が広がるように泡立った空気が辺り一面を包み込んだ。

 潜めた声が満ちるのを待ってからフィリアは目を開けた。そして口元を扇子で覆し再びダニエルを見る。するといつも通りの緑色の瞳に行き当たった。


「フィー」

 ダニエルは婚約者の愛称を呼んで目元を和らげた。その表情は見る角度によっては相当に甘いものに見えるらしく、彼から5時の方角にいるご令嬢方から「ああ!」「しっかりなさって!」と言う声がする。一瞬目を向けると、ぼうっと魅入られたように彼を見つめるいくつもの目があった。まるで魅了でもされたかのようである。しかし、とフィリアは耳に再び意識を集中した。彼は魅了魔法を使っていないし、彼女の耳にも魔法の発現音は聞こえてこない。いつものことだが、婚約者殿の顔面は魔法を超える。

 ちなみに魅了魔法とは潜在魔法のひとつで、他人を意のままに操る類の魔法である。しかも一度操られると一定時間持続されるので、混乱をもたらすとして許可のない使用は禁止されている。


 ダニエルは己の腕に触れていたカトリーヌの手を自然な動きで外した。彼女の色味のない瞳が宙に浮いた己の指先を映す。彼は再び口を開いた。

「あなたは何もしていないよね?」

 ざわめきがピタリと止んだ。

 カトリーヌは目を見開いたまま凍り付いている。王子と宰相子息も息を呑んだのが雰囲気でわかった。フィリアは暫し沈黙し、そして扇子をひらひらひらと仰いで「ええ」と言った。


「そんな!」

 甲高い叫び声が響き渡った。その場に落ちた音はそれだけだった。

「そうですわ、ああ。そうですわ。ダニエル様は何とお優しいのでしょう! 婚約者をお庇いになるのですね。ああ、何ということでしょう! どうか私の浅慮をお許し下さいませ! 愚かな私には十分すぎる幸福だったのです。お優しく私の話を聞き、慰めを下さっただけで私は……」


 カトリーヌは最後まで言わず言葉を詰まらせた。同時に、崩れ落ちるように膝をつき、ドレスの裾が芝生にふわりと降りる。聞きようによってはとんでもない内容だった。フィリアはそんな彼女を半ば感心した思いで眺める。この場にいる誰よりも回復が早い。使い処を間違えなければ良い人材になっただろうに。

 そんなカトリーヌを気に留める事無く、ダニエルはまだフィリアを見ていた。フィリアはその瞳を見つめ返し、ゆっくりと首を横に振る。


 ダニエルはうっすら眉根を寄せ、それからカトリーヌに視線を戻して手を差し出した。表情と行動がちぐはぐな印象を受けるが彼女はそんな些末な事には気付かず、ほうっと息を吐くと頬を染め、自らの手をその上にそっと重ね立ち上がる。一瞬フィリアへ向けた灰色の瞳には、はっきりと愉悦の色が灯っていた。一方のフィリアは両耳を己の手で塞いでいる。


 刹那、空気が重くたわんだ。

 その場にいたほぼ全員が体の支えを失ったような錯覚に襲われ、たたらを踏む。


「きゃあああああああああああああああああっ」


 耳をつんざくような悲鳴がした。その声に散らかっていた思考が足下に戻ってくる。

「何!? 何なの!? 嫌! 嫌、何よこれ!」


 視線が声の主へと集中し、次に訪れたのは混乱だった。誰もが驚きと困惑の表情を浮かべ、最早声を潜めるような者はいなくなった。先程まで場を支配していた王子も宰相子息もただ混乱に呑まれるだけで、立ち竦むばかりである。先程から存在感が消えている騎士団長子息に至っては、完全に全員の意識の外にいるようだった。

 混乱の中心にカトリーヌはいた。座り込んだ彼女の白い肌には赤黒く細かな唐草文様がびっしりと描かれている。彼女の目には手や露出する足首に描かれた分しか見えていないだろうが、周囲の人々の目にはその頬にも首筋にも耳にも同様の文様が映っている。彼女の動きに合わせて肌の上を蠢いているようにも見え、いささかグロテスクな印象を受ける。それは魔法封じの術だった。


 彼女の様子にダニエルはひとつ肯くと、手に乗せていた文様だらけの片手をポイッと宙に落とした。それからフィリアへにこやかに手を振って、彼女の方向へ足を踏み出す。指に嵌められた銀色の指輪が陽光に煌いた。

「皆様! ご静粛に!」

 その時、低く硬質な声が大気を打った。濃紺の制服を着た8人の男達が芝生の上へと雪崩れ込む。彼らは瞬く間に王子、宰相子息、騎士団長子息の傍らに立ち彼らの両腕を拘束した。混乱はまだ続いている。

「私は魔導騎士団のジュリアン・オルタと申します。皆様をお騒がせ致します事、お詫び申し上げます」

 黒い長靴をきっちりと揃え、四方へ軽く腰を折り騎士式の礼を取ると、彼はカトリーヌの真正面に立った。そして懐から書状を取り出し、彼女に見えるように両手で開く。


 波が引くように騒がしさが失せていく。周囲の注意が書状へと引きつけられ、再びこの場に緊張が訪れた。

 その様子を横目で見ながら、ダニエルがフィリアの真正面に立った。そして耳に残っていた彼女の両手を包み込み、ふわりと外す。胡桃色の大きな瞳が問うように彼を見上げた。


「カトリーヌ・ヴィニョン。禁止されている魅了魔法の不正使用により、その身柄を拘束する」

 その言葉に大きなどよめきが上がる。続いて、ジュリアンは王子達へ向き直り膝をついた。

「殿下方は長きに渡り彼女の精神支配をお受けになっております。精神や肉体に何らかの影響が出ている可能性がございますので、御身を魔道騎士団にて保護させて頂きます」

 今度は王子の口から「ふざけるな!」という怒声が飛ぶ。しかし彼らは騎士達に拘束されているため、声を上げるだけで何も出来ない。ジュリアンは立ち上がり、最後にダニエルとフィリアへ騎士の礼を取った。

「ダニエル様、フィリア様、ご協力を感謝致します」



   * * *



 ダニエル達に礼をする騎士の背をカトリーヌは呆然と見ていた。傍らには彼女の片腕を掴んだ騎士が居て、彼女の行動を隙のない目で監視している。

 魅了魔法の使用とは、一体何の事を言っているのか。不正使用がわかれば罪に問われることぐらい常識だ。

 視線は自然とダニエルの隣に並ぶ少女へと移った。真っ直ぐの胡桃色の髪に同色の瞳、物静かな立ち振る舞いで、まるで教本の「淑女」のように面白味のない表情を保っている。肩に届く髪は簡素なハーフアップに纏められ、顔は不細工ではないが、カトリーヌが頻繁に讃えられるような女神の如き美しさはない。寧ろダニエルの方が麗しく、美しいではないか。

 カトリーヌは今までの可憐な演技を捨てて奥歯を噛んだ。嵌められたのだ、自分は。


 彼女は目に涙を浮かべた。それからいかにも弱々しい令嬢を装い、ふらついてその場に倒れ込む。案の定、腕を掴んでいた騎士によって、上半身が地面に付く前に引き上げられた。

「酷いですわ! フィリア様! 私が憎いからと言ってこのような……。婚約者の心変わりにお心を痛められたのはわかります。しかし、人の心を縛る事など出来ない。これ以上ご自分を落とすような真似はお止め下さいませ」


 カトリーヌは震えた声を出しながら注意深く周囲の表情を観察した。王子達は憐れむように彼女を見た後、フィリアへ怒りの眼差しを向け、ダニエルは相変わらず無表情で彼女を視界に入れ、その隣にいるフィリアは扇子を閉じて彼女に顔を向けた。

 ダニエルもそうだが、彼の婚約者が何を考えているのかよくわからない。しかし、先程からフィリアが殆ど発言らしい発言をしていない事を考えると、あまり頭の回転が良くないに違いない。


「可哀想ですが、あなたを憎む理由がありません」

 前置きもなく明瞭な声が落とされた。予想外の方向からの予想外の言葉に、カトリーヌは思わず「え」と声を漏らす。周囲へ走らせていた視線を動かし、急いで声の主を探した。行き当たったのは静かな胡桃色の瞳である。

「色々と。大きな誤解があるようだけれど」

 「淑女」はカトリーヌと視線を合わせた後、小首を傾げて気遣わしそうに眉を寄せて見せた。その瞳が彼女を真ん中に据えて、じわじわと憐むような色に塗り替わる。


 たったそれだけの仕草だった。しかしそれだけで、カトリーヌの頭が完全に沸騰した。舐めてかかっていた分、反撃された衝撃が大きかったのかもしれない。

「誤解ですって!? ふざけないで! 美しく、魅力的で、皆に愛される私が羨ましかっただけでしょう! 恨むなら自分の凡庸さを恨みなさいよ! 魅了ですって? 勝手にでっち上げないで頂戴! 単にあんたが私に負けただけじゃない!」


 カトリーヌは喚き散らしていた。頭に昇った熱が咽を燃やし、火のような息を吐く。覆えない眼球と頬が呼気に触れて微熱を帯びた。その灰色の瞳には貴族然とした佇まいの少女だけが映っている。呼吸の苦しさに肩が大きく上下に揺れていた。

 これこそ、彼女が名だたる貴族子息を侍らせ、公衆の面前で婚約破棄を行わせ続けた理由なのだろう。彼女は愛を得る事を目的としていなかった。男を奪う事で令嬢達を貶め、己の優位を誇示したかったのである。


 言葉を発する者は誰もいなかった。身動きする者もやはりいなかった。人々の口には無言が詰め込まれ、彼らの肉体は地面に縛られているようだった。

 時間にして数分経っていたのか、数秒程度だったのかわからない。彼女の粗い呼吸だけが繰り返される空気の中へ、やがて小さな笑いが落ちた。


「羨む? なぜ? ダニエル様は魔法を調べる為にあなたに近付いただけよ。愛どころか、好意すら向けられていないあなたの、一体何を羨めば良いのかしら」

 胡桃色の瞳には冷徹な色が宿っていた。

「他の方々もそう。あなたを愛したのではなくて、魅了に操られただけかもしれませんわ。ねえ、カトリーヌ様。考えてみては如何かしら?」

 今まで、誰にも愛されていなかった可能性を。


 フィリアは最後まで言葉にしなかった。言葉にしなくとも、頭の回転が早いカトリーヌには十分伝わると思ったのだろう。また、言葉にして反発させるより、自力でその考えに辿り着かせた方が傷が深まると考えたのかもしれない。そして彼女の予想通り、カトリーヌの顔から瞬く間に色が消えた。今まで。そう、学院に入る前も含めて、誰にも愛されていなかった可能性を――。

 潜在魔法とは、無意識下で使用してしまう魔法である。


「カトリーヌ嬢、あなたの事は1カ月調べた。調べた結果魅了魔法と特定した。先程からのやり取りで本人に使用の自覚がないと判断し、あの処置になった。罪に問うかは今後決まる」

「故意の使用であれば、王族への使用ですから。反逆罪でした」

 サラリとダニエルが告げ、そこにフィリアが付け足した。2人はあの断罪のやり取りの中で、カトリーヌを見極めようとしていたのである。カトリーヌが纏う魔法の発現と王子達の行動開始のタイミングはバラバラで関連性に乏しく、また、彼女の魔法自体も音が鳴ったり止んだりで不安定だった。さらにはカトリーヌがダニエルに婚約破棄を促した場面でも、新たな音が鳴る事はなかった。彼女の思い通りに動かなかった彼を従わせるのであれば、あの場で魔法を使わないのは明らかにおかしい。

 カトリーヌは俯いたまま動かない。最早喋る気力さえないらしく、力なく項垂れている。ジュリアンは騎士達を促した。王子達は何かを喚いていたが、元々鍛え抜かれている騎士の手にかかれば、抵抗は無意味である。

 あっと言う間に4人の姿が消え、最後にジュリアンが去ると、その場には何とも言えないがらんとした空気だけが残った。



   * * *



 フィリアはダニエルにカフェテラスから連れ出され、そのままヴォードワイエ邸のサロンでソファに腰掛けていた。さすがにあの場に残る勇気はないので、さっさと立ち去ってくれたダニエルには感謝である。あの騒ぎにより、本日の午後の講義は軒並み休講となった。

 さて、麗しの婚約者殿は現在真横にいる。驚く程ひっついている。ソファは広いので、正直あと人間2人分ぐらいは離れて頂きたいものだ。上質な青色の布地が盛大に余っている様子は少し物寂しい。

 帰りの馬車の中で「今日はよく喋っていたね」と言われたので、「あの方がダニエル様を蔑ろにしていたからです」と答えてからのこの距離である。

 腰からお腹に回された手をペシペシと叩くが、動じる様子はない。

「疲れた」

 でしょうね、と思いながらフィリアはテーブルに置かれた銀色の指輪に視線をやった。それから紅茶のカップに口をつけると、ほんのりとした香りに体の力が抜ける。自分もやはり緊張していたらしい。

 今テーブルの上に置かれている指輪は、魅了魔法を無効化する為にダニエルが着けていた魔道具である。魔道具を使用すると、倦怠感や集中力の低下、慢性的な眠気や感情の起伏の乱れ等、様々な副作用が出るので日常的に使用する物好きはいない。


「1カ月彼らに貼り付くのがこんなに苦痛だとは思わなかった」

 その言葉にフィリアは苦笑した。副作用より大変だったとは、相当馴染めなかったのだろう。

 第2王子の陥落に、立て続けの婚約破棄。さすがに王家や貴族の間でも「若さゆえハメを外しているだけ」と見守る事は出来なくなっていた。そこへ来て着目されたのはフィリアの存在である。王子や貴族子息達が「自らの意志で」カトリーヌに溺れたのであれば相応の対処をしなくてはならないが、もし何らかの力、例えば魔法などによって強制されたのなら、全てカトリーヌに責任を押し付けてしまえる。ましてカトリーヌは男爵令嬢で、ヴィニョン男爵家も国にとって重要な家ではない。


「実際に近付いてみると確かに魔法の発現がありましたし、調べてみると魅了魔法でしたから、ある意味シナリオ通りなのでしょうけど」

 そう零してフィリアは僅かに眉を顰める。彼女とダニエルは、「カトリーヌが魔法で彼らを操っている証拠」を集めるようにそれぞれの父から言い渡されていた。まだ学生の身分ではあるが、家には逆らえない。フィリアはカトリーヌが魔法を使っている事を感知し、ダニエルはカトリーヌに近付いて何の魔法を使っているのか探ることになった。

 とは言っても、最初に魅了魔法に反応する魔道具を使ってみたら、1発目から的中だったので、残りの1カ月は他の魔法の可能性を確認する地味な作業だった。結果的にどれも反応がなく、やはり魅了魔法だと結論付けたのが1週間前の事である。


「本は読めないし、フィーはいないし、会話は阿呆だし、ベタベタ触られるし」

「カトリーヌ様が故意でなかったのがせめてもの救いですわね。首が繋がって何よりでした」

「しかも1カ月間、フィーはウチに来ないって言うし」

「でも殿下があのような方だとは思いもしませんでしたわ」

「フィー」

「魔法にかかっていなければマシになるのかしら……」

「話を逸らさない」


 フィリアの手が大きな手に握り込まれる。顔を上げればどうせ整い過ぎた美形の満面の笑顔なので、視線をそろりと横へ遊ばせた。

 天才かつ奇才、容姿も麗しくて有名なダニエル・ヴォードワイエであり、学院内のみならず社交界の女性から熱視線を送られる男ではあるが、ある1点についてだけ人々は苦笑いを禁じ得ない。それはつまり、彼の婚約者への執着が甚だ酷い、と言う事である。

 幼い頃からの読書仲間ではあるが、フィリアにしてみればなぜこうなったのか全くわからない。


「ソファは緑色でいいよね?」

 頬に手を置かれ、顔を真正面に固定される。問われている意味がわからなくて、フィリアはきょとんとその緑色の瞳を見上げた。視線が合うと美麗な顔がパアアアッと輝きを増し、彼女は思わず両手を握りしめる。通常の顔はどうにか慣れたが、至近距離で予告なくコレを撃たれると非常に心臓に悪い。掌の中は真っ赤になっているだろう。

「ソファですか?」

「そう」

「何でまた」

 鍛え上げた精神力と表情筋で平静を装う。一方のダニエルは、質問を待っていたとばかりに微笑みを浮かべた。先程纏った突発的な煌めきは、幸いなことにすぐに引っ込めてくれたらしい。

 それでもやはり上機嫌である。尻尾が見えるようだ。尻尾的には犬のようなバタバタした動きではなくて、猫のように真っ直ぐ立ててぴっぴっと動いている感じだろうか。


「だってフィーを補填しないと」

「……は?」

「1カ月、フィーと会う時間もフィーとのティータイムも損失したからね」

「え?」

「でもこの家で一緒に住み始めると結婚生活分を消費するだけだから、結局損失は回復しないでしょう?」

「そう、です、わね?」

「だから短期で家を借りたんだ。やっぱりソファは大事だよね」

 フィリアは唖然とした。脳が理解を拒否しているのがわかる。彼は今、家を借りたと言っていた。目の前の、笑み崩れても維持される美形が、「寝室は別だから大丈夫」「寮みたいなもの」と言っているが、全く頭に入らない。


「ええと」

「うん。父にもあなたの父君にも許可は取ってあるから」

「はい?」

「彼女が故意に魅了魔法を行ったか否かの見解を出して、身柄拘束への協力を条件に」

 その一言でようやく納得する。フィリアの断罪計画をダニエルから聞いた時、彼は自覚があって魅了魔法を行ったのか調べたいと彼女に協力を頼んで来たのである。まさかカトリーヌの魔法を封じた後に騎士が乱入する事になるとは、さすがの彼女も思ってもみなかった。


 いや、でもおかしいだろう。おかしい筈だ。

 そもそも父はなぜ了承してしまったのか。そう思うやいなや、即座に「引き換えに研究設備の増設を提示されたに違いない」という考えを脳が弾き出す。あの研究馬鹿め。

 しかし、とりあえずフィリアは反抗を試みた。目下のところの最大の心配事を述べる。

「未婚の男女が同居と言うのは醜聞ではないでしょうか?」

「僕は24時間以内にフィーと同じ空気を吸わないと腹痛になる病だから。仕方ないよね」

「以前は頭痛と仰っていませんでした?」

「あちこち痛くなる」

「でも、この1カ月間は無事だったでしょう?」

「そんなわけないでしょう? ちゃんと計画的に摂取したよ」


 フィリアは視線を上空へ彷徨わせて記憶を探った。そういえば学院内ですれ違いざま言葉を交わしたり、帰宅したらダニエルが待っていたりする頻度が高かったかもしれない。運が良いと内心ほくほくしていたのだが、意図的にやっていたのか。

「でも不足している。損失です。疲労困憊」

 整った眉が中央に寄った。「何が嫌なのか」と目が言っている。原因を1つずつ潰していくつもりに違いない。


「ダニエル様のその奇抜なご病気は、世間の方々はご存知ないですよね? やはり醜聞になりますから駄目ですわ」

「なんだ、そんなこと」

 あっけなく表情が元に戻った。逆にフィリアの口元が瞬時に引き攣る。

「問題ないよ。知人には教えてるから」

 ドッと頭まで血が昇るのがわかった。なんだそれは。まるで恋愛遊戯真っ最中の恋人同士みたいではないか。こちらは常々淑女らしさを保っているのに。周囲にもそう印象付けようと振る舞っているのに。

 彼女の母はマナーの鬼であり、方々から是非娘の教師にと請われるぐらい有名である。そしてその娘であるフィリアは幼少の頃から「淑女たるべし」と叩き込まれていた。


 フィリアは顔を両手で覆い隠そうとして、大きな手に阻まれた。顔が熱くて目尻が滲んでいる。彼の友人知人から生暖かい目で見られているかもしれないと思うと恥ずかしくて仕方ない。

「今更でしょう」

 寧ろ虫除けになって丁度いい、とダニエルが満足そうに笑った。


 ちなみに学院内でのダニエルは基本的に無表情で、唯一人間らしい表情をするのが婚約者といる時な為、フィリアがどう頑張ろうと「大層仲が宜しい」と認識されている。そんな彼の態度が徹底されているので、ダニエルのファンの女性達からも、フィリアとの時間を見守るのが最も眼福だと思われていた。

 さらに言えば、フィリアが慌てたり大きく表情を崩したりするのが彼と会話している時ばかりなので、もうどうやっても「大層仲が宜しい」のである。


 掴まれた両手が膝の上に戻されて、視線を上げればじっくりと観察する緑色の瞳とぶつかる。身を仰け反らせるように体を離すと、再び腰を絡め取られた。そんなに茹で上がった顔を見たいのか。

「でも、世間はダニエル様の周りだけではありませんわ。やはり醜聞に……」

「婚約者だし、親が了承しているし、『仲が良い』で片付くよ。醜聞にはならない」

 腰に回した方の手でフィリアの髪をゆっくり撫でた。温かな感触が心地良く、手の動きに促されるように少しずつ思考が静まり始める。

 ――言われてみれば確かにそうかもしれない。よく噂される醜聞とは違うかもしれない。お互い婚約者なのだし、浮気でも何でもないのだから。

 フィリアは呼吸を整えた。でも、落ち着いて考えてみよう。ついでに顔の赤味もさっさと引いて頂こう。この婚約者殿は、実は意外と常識を気にしないところがある。他にも落とし穴があるかもしれない。


 寝室は別という事だから、食事を一緒にして、お茶を一緒にして、読書を一緒にして、学院への行き帰りを一緒にして、休日を一緒に過ごすという事だ。

 ……随分と一緒にいる気がする。

「使用人はどうするのでしょうか?」

「ウチから手配する」

「でも、書庫までは準備できませんわよね?」

「国立図書館まで徒歩1分の家だから」

 フィリアの長い睫毛が忙しく瞬いた。足場がぐらっと傾くのがわかる。

「……期間は?」

「1カ月かな」

「いつからですの?」

「明後日から」

 視線を膝に戻すと、彼の手がいつの間にか彼女の手を攫っていた。仰向けに開かせて、弄ぶように柔らかい手の平を押したり撫でたりして忙しい。


「他に何かある?」

「……ないですね」

「楽しそうでしょう?」

「うう……。国立図書館……」

 国1番の蔵書数で、国に1冊しかないような珍しい本も取り揃えている。そういった本には開館と同時に人が殺到するのだが、バルタール邸やヴォードワイエ邸と図書館は距離がある為、今まで1度も手に出来た試しがない。


 さすがこの婚約者は抜け目なく良いツボをついてくる。しかし、と考え、フィリアは首をぐっと上げて尋常じゃなく整った顔を見上げた。ダニエルは晴れやかな表情で彼女を見つめている。これだけは言っておかなければならない。

「でも、ダニエル様。勝手は駄目ですわ」

 その言葉に、ダニエルの瞳が僅かに開かれた。眉が持ち上がって、何を言われるのかと不思議そうな顔をしている。フィリアは人指し指で彼の額をちょんと叩いた。

「家を借りる前に相談して下さいな」

 幼い子供にするように「めっ」と叱ると、緑の瞳が何度か瞬きをして、それから顔に喜色一杯の笑みを浮かべた。


 フィリアは引き絞るようにして息を止める。大丈夫だ。この反応は予測の範囲内だ。ダニエルと過ごすようになってから、彼女が精神力と表情筋の鍛錬に力を入れるようになったのは言うまでもない。

 だってそうだろう。

 この麗しすぎる顔と向き合う度に赤面なんかしていられない。脈が跳ね上がり過ぎると疲労困憊するのだ。それでなくともこの顔で、不意打ちで、純粋に可愛い反応をするのだから、もう自分を保つので精一杯だ。


 この彼に対してさえも、カトリーヌがフィリアや他の女性達を貶める為の道具として見なかったというのは、素直に驚嘆に値する。

 でも、だから腹が立った。

 自分でもわざわざ鋭い言葉を選んだと思う。

 フィリアは大きく溜息を吐いた。そして隣の婚約者の肩に少し寄り掛かってみる。触れる腕の感触は意外と固い。

 先程まで春のような雰囲気を放出していたダニエルが、ピタリと静止した気がするが、あえて反応しないことにした。そして顔は見ない。絶対に見ない。

 フィリアはサロンの扉を強引に睨み始めた。すると、タイミングを計ったかのように、室内にノックの軽快な音が響いた。

たくさんのブクマ、評価、及び感想を頂きまして、ありがとうございました。

投稿後の加筆修正が多くて申し訳ございません。こればかりは性分なので生温かく見守って頂けると嬉しいです。


※ 個人的に気になっていた箇所を修正しました(2015/9/10)。

※ ご指摘頂いた誤字等を訂正しました(2015/9/6)。

※ 後半部分を大幅加筆修正しました(2015/9/6)。


***

後日談をがっさり抜きましたので捕捉。

・王子達と各ご子息達は魔法が抜けて元に戻りました。ついでに婚約破棄した2人は平身低頭して婚約も戻して貰いました。

・カトリーヌ嬢は精神のケアと魔法の修行を経て傲慢を修正した後に、以後王家に仕えます。ハニートラップ要因として優秀に違いない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ