晩餐会
俺は夜になったから隣の家の前にいた。まあ、燐那を呼ぶためなんだが、
「夜に人呼びつけるのもどうかってことだよなぁ・・・・」
とりあえずチャイムを鳴らして呼びつけた。
「はい、って狼牙さんじゃないですか。珍しいですねこんな夜にそんな服装で。」
「まあ一応晩餐会へのご招待だしな。少しは真面目な格好もする。つか来ね?」
「は?」
「いや、晩餐会。てか来いよ。」
「いやいやいや、ちょっと待って下さいよ。なんで私なんですか!?凜さんとかでは駄目なんですか?」
「あいつは寝てる。多分」
まああいつは時折異常なまでの速さで寝る。さっき電話したときも
「あー悪い。なんかすっげえ眠いから用事なら明日にしてくれ、じゃあな。」
っつって切っちまいやがった。今日中に片付けなきゃならない用事を何で明日言わなきゃいけねえんだよとかぼやきながらも他の人間を当たったら燐那にたどり着いたと言うわけだ。そんなことを説明すると。燐那はしょうがないですね。と言いつつも少しうれしそうに着替えに行った。待つこと数分、燐那は学生服で出てきた。なんで学生服なのかを聞くと、礼服を持ってないからだと言う。内輪の晩餐会なんだからそう堅苦しくする必要もないと思うが、まあ親父への覚えも良いだろうって事で。
「んじゃ行くか。」
「え、どこにですか?」
「俺の実家。いわゆる本家だな。」
そんな重要な場所に私なんかが入ってもいいんですかー!!という燐那の叫びは無視しながら俺は車に乗る。迎えをよこす。とだけ親父は行っていたが、確かに迎えの車が来ている。
「お待ちしておりました。こちらの方が同伴者でよろしいのですね。」
「ああ、そうだ。」
隣で借りてきたネコ状態の見本ですとでも言わんばかりにガチガチになってる燐那をまたもや無視しているため車内は完全に無言となる。そうこうしている内に本家に到着したので隣でまだ固まったままの燐那をつっついて車から降ろし、俺も車から降りる。そして元・俺の部屋に通された。
「晩餐の準備があります故、少々、お待ち下さい。」
「ああ、分かった。」
そう言い残し執事が出て行ったので、すこしは落ち着いたのか、燐那がため息をついていた。
「せめて説明くらいしてくれてもよかったじゃないですか。」
「だって説明したらお前来ないだろ。」
「そりゃ来ませんよ!!お見合い兼ねた晩餐会だなんて聞いてませんから!!」
燐那がわめいていると、執事が呼びに来たので、俺は燐那に諦めろ。と、だけ伝えた。幸い親父はそこまで作法にはうるさくない。最低限のマナーさえ守っていれば何も言う事はない。母親はガチガチだからどうかはわからないが、まあ黙らせることは可能だから大丈夫だろう。盾也にでも燐那は預けておけば問題は無いだろう。
「盾也。燐那の事任せた。」
「いいだろう。お母様の逆鱗に触れないようにすればいいのだろう?」
「わかってんじゃねーか。後、一応俺本名参加した方がいいのか?」
「その方がいいだろう。お母様の逆鱗に触れたく無いのならな。」
それだけ言ってあいつは会場に入った。後ろでガチガチになっている燐那に食事中は発言を控える事と、食器を落とすなよ、とだけ伝えた。
落としませんよ!!とか言ってた気がするが無視した。割とどうでも良いしな。会場に入ると、上座に両親。左側に盾也、その正面に俺の席その横に、これからお見舞い予定のお嬢様の席。そして盾也の横が燐那の席だった。俺は燐那に、盾也の隣に座れ。とだけ伝えると、両親に挨拶をしに行った。俺の両親は、会社を経営し、一代で富を築き上げた成金だ。親父は肝が据わった、男らしい人だ。母親は、どっかの名家の令嬢。まあ良くある話だ。
「工藤大河。帰りました。」
「久しいな、大河。」
「お久しぶりです。お元気なようで何よりです。」
「今までどこで何をやっていたのです。あなたにはこの会社を継ぐという使命があるというのに。」
「それは盾也がやるでしょう。自分には向いてませんよ。」
そう笑って俺は席に着く。これ以上母親と話していたくは無かったのもある後はお嬢様待ちって訳だ。
ま、ろくな事にはなんねーだろうな
とりあえず、久々の投稿ですw