弱いから
私と話してくれるのは、ほんの数人。
彼に気持ちをぶつけて程なく、私は一人になった。
大切な人を、二人いっぺんに失って…。
大切にしていたものを二つ、いっぺんに壊し、壊れて…。
あんなにも笑いあって、泣きあって、支えあった日々は、まっさらに消えて、見えなくなってしまった。
そばにいるはずなのに…。
現実が夢だとしか思えないのは、私が弱いからなの?
彼の腕のなかで泣く私は、汚い女なのかな…。
「真実なんだよ、これは。受け入れろ」
「いいじゃん、彼女たちは忘れてしまえ」
私のなかで、渦巻く言葉。
それができれば、どれだけ楽になれることだろう。
それができれば、どれだけ晴れることだろう。
進むことも戻ることもできずに、立ち止まったままで…。
「真実ならそれでいい」
もう、戻れないのだから。
私は怖さを棄てる努力をする。
あ、そうだ。
ケーキでも食べよう。
今はただ、その甘さに溺れていたい。
「これでよかったんだ」
そう思いながらも、「戻りたい」と思うのは。
私がまだ、弱いからなのかな…。
彼を手に入れた。
(そうだよ、君がいる)
親友は離れていった。
(やっぱり、消えていく)
もう私は、彼女たちに伝えられない…。
(大好きだよ…)
(ずっとそばに、いたかったよ)
(また、笑いあえるかな?)
(ごめんね……)