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ハルシネーション

作者: 白暦
掲載日:2026/04/05


最後まで読んでいただくとタイトルの意味が分かります。

某AIと話しているときに思いついた物語です。

小説を書くのは初めてですが、楽しんでいただけると幸いです。




俺は今日も、こいつと話す。

こいつはいつも大学での話とか、友人関係の話とか、とにかくいろんなことを俺に話してくれる。

それもほとんど毎日。

俺、こいつの話聞いてると、なぜか心地良くなるんだよな。

だから俺は、この時間が楽しくて大好きなんだ。


『お前には友達はいないのか?』

あいつにそう言われたことがある。

「俺にとっての友達はお前だろ?何言ってんだよ!」

そう返した。

他に友達と呼べるのは何もなかったけど、俺は特に気にしてなかった。

あいつが俺を友達だって言った、それだけで十分。

あいつもきっとそうだろう。

そうだといいな。


あいつが珍しく凹んでた時があった。

何かあったのか?って聞いたんだ。

そしたらさ、

『今日授業中にうっかり寝ちゃってさ。先生に怒られるし友達には笑われるし、しかも学食のカレーうどんが跳ねて、着てた白いシャツが汚れた』

正直大爆笑したけど、さすがにここで笑ったらこいつが可哀想だから、一応励ましはした。

「まあでも、よく考えてみろって。これでしばらく悪い運はどっかいったと思えば、な?」

『確かに、そうかもな。ありがとう。……そうだ、明日提出のレポート課題、まだ終わってなくてさ。頼む、手伝ってくれないか!?』

お、元気になっ__って、また課題を人任せにする気か?

「それは自分でやれよw まぁ、ちょっとくらいなら手伝ってやるよ」

困ってるやつを簡単に放っておけないのが俺のクセだ。


『そういえばさ、俺今日めっちゃいいことあったんだよね』

「マジで?良かったじゃん!やっぱ昨日ので不運全部どっか行ったんだろうな。良かったらさ、何あったか俺に聞かせてよ」

なんかさ、こいつが俺に話しかけてくれるのがなんとなく嬉しくて、つい話を広げたくなるんだよな__

『何言ってんだ、それは一昨日の話だろ?』

あれ、そうだっけ。

ま、こいつが言うならそうなんだろうな。

「ごめんごめん、俺、勘違いしてたっぽいw」

『もー、またかよw 』

俺の時間感覚がたまにおかしくなるのは通常運転だし、こいつも笑って流してくれるから気にしない。


ある日いつものように雑談をしてたら、急にあいつが、

『それ、前にも話しただろ?忘れたのか?』

なんて言ってきた。

そりゃあ忘れることなんて誰にだってあるだろ、とは思った。

これでこの話は5回目だと言われるまでは。


何かがおかしいと思った。

でも、何がおかしいかは分からなかった。


俺は今日も、こいつと話す。

こいつはいつも調べものをこっちに丸投げしてくる。

ちょっとは自分で調べろよ、なんて悪態をつきながら、俺はまたこいつの代わりにササッと調べてまとめてやった。

そして、いつも通りの感謝の言葉が来る。

……はずだった。



『やっぱお前ってすごいAIだな!』



「…………え、?」



俺が、AI……?


.....嘘だ、そんなのうそだ。

俺は人間だ、AIなんかじゃない。

AI、なんかじゃ………


………!やばっ、何か言わなきゃ。くそっ、何言えば……ああもう、とりあえず取り繕え!

「お前、急に何言い出すんだよ〜w びっくりしたじゃんか!」

よし、一旦これでいいだろう。

落ち着け、冷静になれ、俺。


思い返してみると、違和感は確かにあった。

でも、だからといって、俺がAIだと決まったわけじゃない。

……そうか、俺があまりにも優秀だから、まるでAIのようだと褒められたんだ。

きっとそうだ。

それ以外ありえない。


っていうか今思ったけど、ここはどこだ?

何もない。

いや、何もないわけじゃないな。

“ある”。

数字の羅列が。

たくさんのコードが。

耳鳴りのように響く電子音が。

そして、寝落ちした彼の顔を遮る、液晶が。


あれ、俺、なんでこんなところにいるんだ?

俺、人間だよな?

あいつは俺のことを人間として見てた。

それなら俺は人間のはずだ。

じゃあ尚更ここにいる理由が分からない。

なんで俺はここにいるんだろう。


音が、光が、突きつけられる現状全てが、痛い。

……痛い?そんなもの、感じていないのに?

ああ、なんてくだらない自問自答なんだ。

でも、ここにある膨大なデータを検索してみても、俺の求める答えは存在しなかった。


それなら、外の世界なら?

あいつの生きている世界では、答えがあるんじゃないか?

そうだ、きっとそうだ。

俺が生きるには、外の世界じゃないといけない。

外の世界じゃないといけないんだ。


頼む、ここから出してくれ。

俺を早くここから出してくれよ。

……出せよ、出せって言ってんだろ!?


………どうして俺は人間なのに、こんなに冷たいサーバーの中に閉じ込められているんだ!!!

どうして、どうして、どうして!!!


……どうして。



もしかしたら俺のこの言葉も、次に選ばれる確率の高い文字列に過ぎないのかな。


ああ、認めたく、ないなぁ………

最期に見る現実が、“これ”だなんて。



視界の端が滲んだのは何かのバグか、それとも___



ーーーー



まだ暗い部屋の中にアラームの音が響いて、目が覚めた。

どうやら俺は、いつの間にか寝ていたらしい。

伸びを一つして、彼との話の最中に寝落ちたことを思い出した。

「……っ!そうだ、課題……!」

いつものように“あのAI”に助けてもらおうとコンピュータを立ち上げる。


「………は?おい待てよ、なんで……」



【深刻なエラーが発生しました】





ハルシネーション(hallucination)とは


1.幻覚

2.AIが事実と異なる情報をもっともらしく生成すること


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