第陸話 人の夢を喰らいし獏を討て!
む?
この村…
何やら、様子がおかしいぞ
いかが致したのだ…?
この村の衆は…
多くの者が虚ろな目をし
誰も働こうとせぬ
何?
夜眠ると夢を喰われてしまう?
なので恐ろしくて眠れないと…?
これは面妖なり…
きな臭い匂いが
村全体に漂って居る
カタカタカタ…
ふむ…
飢えし『斬妖丸』が
妖の血を欲して震えておる…
やはり、この村に
妖が潜んでおるのだな
では…
この村の者達が怠惰なのは
夜な夜な見る夢と共に
妖に精気を吸い取られておるせいか
ならば拙者が
そ奴めを退治てくれよう
よし…
今宵は
この村にて一夜を過ごし
拙者も夢の中に入ろう
『斬妖丸』よ
拙者達で
夢を喰らう妖から
この村の者達を救うぞ
よいな…
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………
いつの間にか
眠っていたようだな…
ふむ…
ここは拙者の夢の中か?
面妖な…
拙者の夢だというに
昼間…
村で初めて見たばかりの者達が
たくさんおる
さすれば
ここは…
夢に似せて作られし
妖めの結界の中
そこに拙者を含め
眠りし者達全てが
囚われたという訳か…
つまり…
現実世界の村人達は
魂の抜け殻という事だな…
かような状態が
日ごと続けば
人々は衰弱し
遠からず死を迎えよう
よし、『斬妖丸』よ…
この結界を張り巡らす妖を捜し出すのじゃ
そして、拙者がヤツを斬り
お前はヤツの生き血を啜るのだ
さすれば
村の者達を救う事が出来よう
カタカタカタ…
見つけたぞ
夢喰いの妖よ
ふむ… 貴様の名は
夢喰らいの『獏』と申すか…
拙者か?
生憎だが
貴様如き妖風情に名乗る
安っぽい名は持ち合わさぬ
ただの
妖狩りの侍よ…
この刀は魔剣『斬妖丸』と云う
これより貴様の生き血を吸い
この世から滅し去る刀だ
さあ、覚悟致せ…
貴様の奪いし村人達の精気
返してもらうぞ!
行くぞ!
斬妖丸っ!




