第拾壱話 未知なる者との遭遇…
ほう…
満月の夜空に
二筋の流れ星か
珍しいな…
む?
一つは流れて消えたが
今一つは…
落下してくる!
ドッカーンッ!
爆発した!
向こうの海岸へ落ちた様だ…
ここから
そう遠くない砂浜か…?
行って見よう
おっ!
あれか?
砂浜に途轍もない窪みが…
直径が十丈(約30m)はあるぞ…
辺りに煙が漂い
真ん中に何か突き刺さっておる
何だ?
この焦げたような匂いは…?
あれの周りの砂が焼けた匂いか…
いったい…
あれは、何なのだ…?|
東屋ほどの大きさがある銀色に輝く物体…?
鶏卵の様な形をしておる…
あれは…妖では無いのか…?
だが、『斬妖丸』に反応は無い…
あれはいったい…?
むっ?
表面に丸い穴が開いた…?
穴が広がっていく…
むうぅ… やはり妖か…?
はっ!
開いた穴から…
何か出て来る…
シュバッ!
拙者は迷わず『斬妖丸』を抜き放った
だが、やはり反応は無い…
拙者は抜き身の『斬妖丸』を構えたまま
砂浜に転がる岩陰に身を伏せた
銀色の巨大な卵から出て来たのは…
やはり全身銀色に輝く
人に似た姿をした生き物(?)だった…
してみると
あの銀色の卵は乗り物?
あれは銀色をした生物なのか…?
それとも…
銀色の服を着ているのか…?
分からぬ…
むっ!
何だあれは…?
手に何かを持っておる様だ…
やはり銀色で先端のみ赤色に光る…
あれは形状からして短筒か…?
銃… 武器?
されど…
どこにも火縄が見当たらぬ…
はっ!
ヤツがこちらを向いた…
気配を断っている拙者に
気付いたのか…?
拙者と事を構えるつもりならば
致し方あるまい…
本意では無いが
斬るか…
その時だ
『斬妖丸』が震え出した
カタカタカタカタ
うぬ…
やはり、ヤツは妖であったか…
それならば躊躇無し!
成敗致す!
立ち上がった拙者が跳ぶより速く
ヤツの持つ短筒の先端が赤く光った!
ドサッ!
背後で聞こえた音に振り返った拙者が
満月に照らされた砂の上に見たものは…
人間ほどの大きさで
トカゲの様な姿をした一匹の妖であった…
妖は転がっている…
たった今、死んだようだ…
驚いた事に…
そいつの身体の半分が
『ぎやまん』の様に透き通っている
だが、徐々に本来の色が付き
全ての形が現れてきた…
こやつが死んだ事により
身体を透明化していた術が解けたのであろう
この妖なら
以前に同種を退治した事がある
忍者の様に姿を消したり
形状を変化させる事も出来る
厄介千万なヤツだった
確か名を『かめれおん』とか…申したか?
『斬妖丸』が反応したのは
『かめれおん』と同種の
この妖に対してであったか…
しかし…
拙者は急いで振り返った
銀色をしたそいつは
まだ同じ場所に立っていた…
だが…
拙者に向けていた銀色の短筒(?)は
もう構えてはいなかった…
こやつには
拙者を攻撃するつもりは
無いというのか…?
では、ヤツは
『かめれおん』を狙って撃ち…
拙者を救ったと云うのか…?
分からぬ…
だが、何とは無し
拙者もヤツに対して抱いていた
殺気が失せた…
拙者は右手に握った
抜き身の『斬妖丸』を鞘に納めた
銀色のヤツを見ると
向こうも拙者を見ておる様子…
しばらく見つめ合う格好だったが
先にヤツが動き出した…
そして…
銀色をした巨大な卵の
開いていた丸い穴に足から入り込み
姿を消したかと思うと
すぐに穴は閉じ
銀色の卵の表面は
ツルンとした元の状態に戻った
やがて
巨大な銀色の卵は振動し始め
次第に大きく震え出したと思うや
満月の光を全体に反射したまま
空中に浮かび上がった…
拙者は口をポカンと開けたまま
ただ見つめているだけだった…
少しの間
空中に浮かんだまま
停止していた銀色の卵は
瞬く間に
上空高くへと舞い上がった!
何という速さよ!
そして…
見上げる拙者の頭上で
方角を変えるや
海の彼方へと飛び去って行った…
流れ星…
茫然と見送りながら
拙者は小さく呟いた
なあ…
『斬妖丸』よ…
妖では無いのならば…
いったい…
何だったんだ… あれは?
拙者と『斬妖丸』にとって
未知なる者との遭遇だった…




