ひとりよがり倶楽部/半径二百メートルの自尊心
少し湿度の上がった部屋であなたは言った
傷ついてもクールなのね
何処までも深い夜だから
びっくりして僕はレコーダーを切って
自分がどんな顔かもわからなかった
ああ カーテンを閉じてくれ
端っこまで
おれの姿がバレないように
カーテンを閉じてね
ぴったりと
首の痛みを誤魔化すように僕は言ったさ
今はそうでも ほんとバカだよ
何処までも深い夜だから
近づいた君はあからさまに笑って
それが僕はうれしくて哀しくて
ああ カーテンを閉じてくれ
端っこまで
おれの姿がバレないように
カーテンを閉じてね
ぴったりと
何処までも深い夜だから
人のことをよく見るよね
自分を愛してるつもりだよ
とても疲れやすいんだ
ふたりだけの夜明けを…
(それから二人は暗い道を別れた
別れて、もう二度と会うことはなかった
それでも男は幸せだった
分かち合うことはなかったけれど、
彼は彼自身をあばかれることによって、
非常に満足していたのである)